家族のタイムリミット
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生後18か月のシモンを里子として迎え入れたアンナ(メアリー・ティエリー)と夫・ドリス(リエ・サレム)。
夫妻の実の子どもたちとシモンは実の兄弟のように育ち、4年半の幸せな月日が流れます。
そんなある日、シモンの実父エディ(フェリックス・モアティ)が
息子を引き取り、手元で育てたいと申し出ます。
そんなことは予想していなかったアンナは狼狽してしまいますが、制度上拒否はできません。
シモンはしばらくの間、週末を実父と共に過ごすことに。
アンナら家族がシモンと家族でいられる時間にもタイムリミットが迫ります。
本作は、監督自身の幼少期に両親が里子を迎えて
4年半一緒に暮らした経験を元にしているとのこと。
幼子を家族として迎え入れて共に暮らす。
よい話です。
1歳から5歳くらいといえば物心が付く一番大切な時期。
特にアンナにとっては、シモンは実の2人の子ども以上に気にかけ、
庇護しなければならないとの意識が強いように思われます。
確かに、一番小さいし、かわいいですもんね・・・。
ところが突然実父が現れて、この家族を引き裂こうとする・・・。
制度というのはなんと非情なモノか・・・と、思いながら見ていたわけですが、
でも途中で一概にそうも言えない気がしてきました。
本作、アンナの視点から描かれているわけですが、
実父・エディの視点で見るとどうでしょう。
思いがけず最愛の妻を亡くしてしまう。
その衝撃が強すぎて、まだ手のかかる赤ん坊の世話まで気が回らない。
やむなく人に預けることにして、しばらくして気持ちが落ち着いてきたら、
やはり我が子と暮らしたいと思う。
最愛の妻の忘れ形見でもあるし。
ところがこの里親が、あまりにも息子をかわいがりすぎて手放したがらない。
息子がなついているのをいいことに、
こちらが引き取ることを「横暴」であるかのように思っている。
エディからアンナを見るととんでもなくイヤな女、と見えるでしょうね。
双方、シモンを愛し大切に思っているだけで、どちらが悪いわけでもない。
こんな、人の感情だけではどうにもならない問題に対しては、
やはり「制度」をよりどころにするほかないのでしょう。
こんなストーリーもあれば、育児放棄とか虐待の問題も世間にはあふれています。
単純には割り切れない親と子の関係。
とにかく子どもが笑顔でいられればいい。
そういう世の中でありたいです。
<WOWOW視聴にて>
「1640日の家族」
2021年/フランス/102分
監督・脚本:ファビアン・コルジュアール
出演:メラニー・ティエリー、リエ・サレム、フェリックス・モアティ、ガブリエル・パビ
家族愛度★★★★☆
満足度★★★★☆
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