映画と本の『たんぽぽ館』

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モーリタニアン 黒塗りの記録

2022年10月19日 | 映画(ま行)

容疑をかけられた時点で、お終い

* * * * * * * * * * * *

実話に基づいています。
モハメドゥ・ウルド・スラヒ「グアンタナモ収容所 地獄からの手記」より。

米国弁護士ナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)と
テリー・ダンカン(シャイリーン・ウッドリー)は、
モーリタニア人青年、モハメドゥの弁護を引き受けます。
モハメドゥはアメリカ同時多発テロに関与した疑いで逮捕され、
裁判さえ受けられないまま、キューバのグアンタナモ米軍基地で拘禁され続けているのです。
その真相を明らかにするため、調査に乗り出す2人。
やがて明らかになる隠された事実とは・・・?

モーリタニアンとはすなわち、モーリタニア人。
イヤ、そもそもモーリタニアという国がどこにあるのかも知らなかった私。
アフリカの北西部です。
イスラム教の国。
そしてまた、キューバに米軍基地があるというのも、いかにも意外。
なんとも、知らないことばかりでお恥ずかしい・・・。
アメリカは、あの9.11テロの後、なんとしてもその首謀者や実行犯、その他関係者を
あぶり出して処罰しないと気が済まないという状況に陥っていたわけです。
そんなわけで、本作のようなムチャクチャなことが起こる。

容疑が事実かそうでないかは二の次。
容疑をかけられた時点でもうおしまい。
後は拷問で口を割らせるだけ・・・
こんなやり方はこれまでもいろいろな時代にどこでも行われたことは知っているけれど、
それは現代のアメリカも例外ではない、というのがショックです。
正義の国アメリカはそんなことはしない?
いやいや、それこそは幻想に過ぎないわけで。

なんともやりきれない話です。

そんな中で、唯一喝采を送りたくなったのは、
ベネディクト・カンバーバッチ演じるところの軍側の弁護士、スチュアート・カウチ中佐。
彼はモハメドゥに対して拷問や家族に危害を加えるとの脅しを行ったことを知り、
役の継続を放棄します。
というより外されたというべきなのか。
ごくごく少数ではあるけれど、おのれの正義を貫こうとする方もいるものですね。

しかしそれは人生の道を踏み外すことでもあるのだけれど・・・。

 

結局モハメドゥは14年もの間拘禁され続けたのです。
よくぞ生き抜いたものです。
人間は弱いものではあるけれど、強くもあるのですね。

 

<WOWOW視聴にて>

「モーリタニアン 黒塗りの記録」

2021年/イギリス/129分

監督:ケビン・マクドナルド

出演:ジョディ・フォスター、タハール・ラヒム、ザカリー・リーバイ、
   シャイリーン・ウッドリー、ベネディクト・カンバーバッチ

 

人権問題度★★★★★

満足度★★★★☆



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