映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

トリとロキタ

2024年06月05日 | 映画(た行)

理不尽な現状

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アフリカからベルギーのリエージュにやって来た少年トリと少女ロキタ。
2人は偽りの姉弟として暮らしています。
年上のロキタは社会からトリを守り、
しっかり者のトリは、時々不安定になるロキタを支えています。

ロキタにはビザがないため、正規の職に就くことができず、
ドラッグの運び屋をしてお金を稼いでいます。
しかし移民の仲介業者に借金があって、ほとんどそちらに取られてしまい、
故郷の母に送金したくてもほんのわずかしかできません。

ビザを取得するための面接では、トリとの姉弟関係をうまく言いつくろうことができずに失敗。
なんとしてもビザを取得して、まともな職に就きたいと思うロキタ。
やむなくロキタは偽造ピザを手に入れるため、さらに危険な仕事を始めるのですが・・・。

 

本当の姉弟ではないこの2人が、
どのように出会い、どのようないきさつで姉と弟を演じることになったのか、
本作ではそのことには触れられていません。
でも、異国の地にやってくるという2人にとって極めて困難な道のりの間に、
2人は互いに助け合い、強い信頼と親愛の情で結ばれるようになったに違いありません。
その絆は実際の姉弟以上のように思われます。

それにしても、移民という立場の弱いものにつけ込んで
搾取しようとする人々の悪辣さには腹が立ってなりません。
本作はもちろんフィクションですが、実際にもこんなことが普通に行われていそうです・・・。
本作もなんとも言えずショッキングなラスト・・・。
世界はなんとも理不尽で悲しい・・・。

 

<WOWOW視聴にて>

「トリとロキタ」

2022年/ベルギー・フランス/89分

監督:ジャン・ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ

出演:パブロ・シルズ、ジョエリー・ムブンドゥ、アルバン・ウカイ・ベティム

 

姉弟愛度★★★★☆

社会の矛盾度★★★★★

満足度★★★★☆



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