映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ディア・ファミリー

2024年06月18日 | 映画(た行)

お約束の感動作

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世界で17万人の命を救ったIABP(大動脈内バルーンバンピング)
バルーンカテーテル誕生にまつわる実話を映画化したものです。

1970年代。
小さな町工場を経営する坪井宣政(大泉洋)と妻・陽子(菅野美穂)。
娘・佳美(福本莉子)は生まれつき心臓疾患を抱えていて、
幼い頃に余命10年を宣言されます。
どこの医療機関でも治すことはできないと言われ、
宣政は、娘のために自ら人工心臓を作ることを決意。
とはいえ、医療の知識も経験もありません。
宣政と陽子は必死で勉強し、有識者に頭を下げ、資金繰りをし、
何年も開発に奔走しますが・・・。

まずは、医療知識ゼロの所から始めて、
周囲の人々にはあきれられ、変人と思われ、
それでも娘のためにと無理難題に取り組み続ける。
その姿にはただ圧倒されてしまいます。

このような医療器具の開発には、医師としての発想や意図が必要なのはもちろんですが、
それを具体的な形に作り上げる「もの作り」の技術も必要なわけですね。
だから双方のガッチリした連携必要なのだけれど、
この場合は結局医師の側(大学)に裏切られる形になってしまうわけです。

完璧なる挫折・・・。

けれどその挫折をも乗り越え、別の形ではありけれどまた動き出すという、
ここのところが実話ならではで、
フィクションならこういう展開は通常ないだろうとも思います。

確かテレビドラマの「下町ロケット」で、
町工場である佃製作所が、心臓の新型人工弁「ガウディ」を開発する
という話があったと思うのですが、
本作の実話の部分がヒントとなって作られたストーリーなのかなと思いました。

本作を感動的に盛り上げているのはもう一つ、家族愛のことです。
妻は夫の現実離れしているような提案をするっと受け入れ、応援し手助けします。
佳美の姉(川栄李奈)も妹(新井美羽)も、そんな両親を尊敬し、応援。
一家が一団となって佳美をいたわり、その未来へ向かってやるべきことをやろうとする。
皆がポジティブで温かい。
まあちょっとベタではあるけれど、この物語にこのポジティブさは必要です。

松村北斗さんもおいしいところの役で、ナイスでした。
実に松村北斗さんはいつも良い役を引くなあ・・・。

 

<シネマフロンティアにて>

「ディア・ファミリー」

2024年/日本/116分

監督:月川翔

原作:清武英利

脚本:林民夫

出演:大泉洋、菅野美穂、福本莉子、川栄李奈、荒井美羽、上杉周平、満島真之介、有村架純、松村北斗

 

執念度★★★★★

家族愛度★★★★★

満足度★★★★☆



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