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邂逅<めぐりあい>

2011年11月21日 | 映画(ま行)
すれ違いメロドラマは、永遠なり

            * * * * * * * *

1939年、モノクロ作品。
たまにはこういうのもいいですね。
この作品は、世によくあるすれ違いラブストーリーの元祖ともいえるもので、
その後何度もリメイクされています。
と言うことで、
“めぐり逢い”関連作品 3日連続企画!!

まずは、この元祖「めぐり逢い」。
ヨーロッパからアメリカへ向かう豪華客船の中で出会った
ミシェル(シャルル・ボワイエ)とテリー(アイリーン・ダン)。
二人は互いに婚約者、恋人がいながらも恋に落ちます。

豪華客船が立ち寄った島に、ミシェルのお婆さんが住んでおり、
二人で訪ねるシーンがことさら印象的でした。
実はミシェルは社交界でも名うてのプレイボーイなのです。
お婆さんはテリーに言います。
「あの子はこれまでいい思いをしすぎている。
きっと今にそのお返しが来るかも知れない。」
これは二人の愛が決して思い通りに行かないことの暗示となっています。
二人は半年後にマンハッタンのエンパイアステートビルで出会うことを約束し、別れました。
ところがその約束の当日、テリーは事故に遭い、行くことができません。
そしてまたしばらくの後、偶然に二人が出会うのは劇場なのですが、
その時はお互いが恋人と二人連れ。
この何とも皮肉な出会いと、二人の切ない心境・・・。
見ている私たちも心が張り裂けそうになってしまいます。
互いに愛し合いながらも、出会うことができない。
出会えたと思えば、巧く気持ちを伝えられない。
その切なさ、もどかしさ・・・。
時代は移り変わってもそういう気持ちは変わらないですね。
メロドラマは永遠なり。


テリーはシンガーなので、この作品では音楽が大きな要素を占めています。
お婆さんのピアノに合わせた歌。
孤児院の子ども達との歌。
どれも美しくて、ムードを盛り上げます。
確かに古い作品なのですが、こういうのはさほど違和感がありません。
ラブストーリーには作品のテンポはあまり関係ないからでしょうか。
今なら飛行機の旅で、たとえ席が隣同士でも、ここまで親しくなる時間がありませんね。
この船旅は全9日間。
これだけ毎日顔を合わせれば、恋の一つや二つも生まれるでしょう。
ケータイもナシ、パソコンメールもなしのこういう時代のストーリーですが、
なにやらそのゆったり感が、今となっては心地よく感じてしまうのです。
たんなる年寄りのノスタルジーかも知れません。


原題はLOVE AFFAIR。 
これをよくぞ「邂逅<めぐりあい>」としましたよね。
往年の名画といわれる作品の邦題は実に情緒があります。


さて私はシャルル・ボワイエをみて、ちょっぴりジュード・ロウに似ている気がしました。
いい感じですよね。
ジャレッド・レトの次はこちらに凝ってみようかしら。

邂逅(めぐりあい) [DVD] FRT-164
アストリッド・オールウィン/リー・ボウマン/シャルル・ボワイエ/マリア・オースペンスカヤ/アイリーン・ダン
ファーストトレーディング



「邂逅<めぐりあい>」
1939年/アメリカ/87分
監督:レオ・マッケリー
出演:アイリーン・ダン、シャルル・ボワイエ、マリア・オースペンスカヤ


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