映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

サイレント・ナイト

2022年12月03日 | 映画(さ行)

苦痛に耐えても、最後まで生き抜く覚悟はあるか?

* * * * * * * * * * * *

イギリス人夫婦ネル、サイモンと3人の子どもたちが田舎の屋敷で
クリスマスのディナーパーティーを開きます。
夫婦の学生時代の友人達とその家族が集まり、全12名の男女が再会を喜び合います。

・・・と、ここまではよくある話。
この人物たちのすったもんだの感情のもつれか何かの物語なのか?
とおもいきや、さにあらず。

今、地球全土にあらゆる生物を死滅させる謎の毒ガスが広がり、
明日にもこの地に到達するところなのです。
この人々は、毒ガスで苦しみもだえて死ぬよりも、
その少し前に安楽死できる薬“EXITピル”を飲み、
尊厳ある死を迎えようと決意して集まったのです。

ごちそうを食べながらも、まもなく迎える「死」の時を思い、皆穏やかではいられません。
特に、アート少年(ローマン・グリフィン・デイビス)は、
「安楽死なんておかしい。
毒ガスを吸ったら本当に死んでしまって、生きる可能性がないのかどうか、
誰にも分からない・・・」
と、素直な疑問をのぞかせて、自分はピルを飲まないと言い張ります。

そしてまた、ある女性は自分が妊娠していることに気がつきます。
ピルで自分が死ぬことはいいのだけれど、
それだと、お腹の子供も道連れに「殺す」ことになってしまう。
そんなことはできないから、ピルは飲まない、と彼女も決心します。

こんな時、私などは迷わずピルを飲んでしまいそうですけれど。
たとえ血反吐を吐きながらも、最後の最後まで「生きよう」という意志を持ち続けたいと思うことも自由。
生きることの意義、死ぬことの意味、色々考えさせられてしまいます。

そんなこんなで、ゴタゴタの夜。
いよいよ毒ガスの嵐が迫ってきて・・・。

人類最後のクリスマス・イブ。
これも、あまりにも人間に蹂躙された地球とその大自然の怒りの物語なのかも知れません。

 

えーと、このアート少年役は、「ジョジョ・ラビット」で印象的だったあの、
ローマン・グリフィン・デイビスくん。
なんと本作の監督カミラ・グリフィンの息子で、
作中のアートの双子の弟もまた、実際のローマンくんの弟だそうで・・・。
ホーム・ムービー???

 

< サツゲキにて>

「サイレント・ナイト」

2021年/イギリス/90分

監督・脚本:カミラ・グリフィン

出演:キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード、ローマン・グリフィン・デイビス、
   アナベル・ウォーリス、リリー=ローズ・デップ

 

生の意味を探る度★★★★☆

人類の危機度★★★☆☆

満足度★★★☆☆



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