新しい「美」の形を支える人々
* * * * * * * * * *
ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けたクロード・モネ。
その傍には義理の娘、ブランシュがいた。
身を持ち崩したパトロン一家を引き取り、制作を続けた彼の目には何が映っていたのか。
(「ジヴェルニーの食卓」)
新しい美を求め、時代を切り拓いた芸術家の人生が色鮮やかに蘇る。
マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌら印象派たちの、
葛藤と作品への真摯な姿を描いた四つの物語。
* * * * * * * * * *
印象派。
19世紀後半のフランスに発した絵画を中心とした芸術運動。
当時は、写実的な宗教画や、風景画、肖像画、
重々しく描かれるそういうものこそが「絵画」と思われていたのです。
そこへ、これまでの『絵画』の常識をくつがえす
風変わりな絵を描く者達が現れた。
当時の絵画を権威づけるのは「官展」だったのですが、
規格はずれの彼らのような絵は、酷評を受けて無論落選。
けれどそれを惜しいと思う人も現れたのです。
そこで「落選展」が開かれたのですが、
当の「官展」よりも人が集まるようになったとか。
こんな風に芸術に新しい息吹を吹き込んだ印象派、
マティス、ドガ、セザンヌ、モネ4人の画家を、
それぞれに関わった人たちの立場からの視点で描いています。
「タンギー爺さん」では、全く売れない貧乏な『新しい絵』を描く画家たちの絵を預かり、
絵の具などの画材を提供し続けた画材屋さんのことが描かれています。
言ってみれば現代美術の萌芽を支えた人物でもありますね。
人が良くて、ただただ「絵」が好きで。
でも一本気で頑固でもありそうだ。
「ジヴェルニーの食卓」
ジヴェルニーは、あの睡蓮の池のある美しいモネの庭のある地です。
一端は目を病み、筆を折りかけたモネを支え続けた義理の娘ブランシュ。
複雑な家庭事情にありながら、
モネを支えること自体に自らの生きがいを見出す、
そんな生き方もまた、鮮烈な印象を残します。
6月の陽光。
美しい庭を眺めながら心尽くしのランチを頂く。
何やら至福を感じますね。
本作は「楽園のカンヴァス」と同じく、
著者のキュレーターというキャリアを活かす、素敵な作品でした。
美を愛し、自分なりの表現を固守する芸術家たち、
そうした新しい美術を徐々に受け入れていく人々、
そうした息吹を感じさせます。
今度は誰か、レオナール・フジタを題材に物語を書いてくれないかな?
「ジヴェルニーの食卓」原田マハ 集英社文庫
満足度★★★★☆
ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫) | |
原田 マハ | |
集英社 |
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ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けたクロード・モネ。
その傍には義理の娘、ブランシュがいた。
身を持ち崩したパトロン一家を引き取り、制作を続けた彼の目には何が映っていたのか。
(「ジヴェルニーの食卓」)
新しい美を求め、時代を切り拓いた芸術家の人生が色鮮やかに蘇る。
マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌら印象派たちの、
葛藤と作品への真摯な姿を描いた四つの物語。
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印象派。
19世紀後半のフランスに発した絵画を中心とした芸術運動。
当時は、写実的な宗教画や、風景画、肖像画、
重々しく描かれるそういうものこそが「絵画」と思われていたのです。
そこへ、これまでの『絵画』の常識をくつがえす
風変わりな絵を描く者達が現れた。
当時の絵画を権威づけるのは「官展」だったのですが、
規格はずれの彼らのような絵は、酷評を受けて無論落選。
けれどそれを惜しいと思う人も現れたのです。
そこで「落選展」が開かれたのですが、
当の「官展」よりも人が集まるようになったとか。
こんな風に芸術に新しい息吹を吹き込んだ印象派、
マティス、ドガ、セザンヌ、モネ4人の画家を、
それぞれに関わった人たちの立場からの視点で描いています。
「タンギー爺さん」では、全く売れない貧乏な『新しい絵』を描く画家たちの絵を預かり、
絵の具などの画材を提供し続けた画材屋さんのことが描かれています。
言ってみれば現代美術の萌芽を支えた人物でもありますね。
人が良くて、ただただ「絵」が好きで。
でも一本気で頑固でもありそうだ。
「ジヴェルニーの食卓」
ジヴェルニーは、あの睡蓮の池のある美しいモネの庭のある地です。
一端は目を病み、筆を折りかけたモネを支え続けた義理の娘ブランシュ。
複雑な家庭事情にありながら、
モネを支えること自体に自らの生きがいを見出す、
そんな生き方もまた、鮮烈な印象を残します。
6月の陽光。
美しい庭を眺めながら心尽くしのランチを頂く。
何やら至福を感じますね。
本作は「楽園のカンヴァス」と同じく、
著者のキュレーターというキャリアを活かす、素敵な作品でした。
美を愛し、自分なりの表現を固守する芸術家たち、
そうした新しい美術を徐々に受け入れていく人々、
そうした息吹を感じさせます。
今度は誰か、レオナール・フジタを題材に物語を書いてくれないかな?
「ジヴェルニーの食卓」原田マハ 集英社文庫
満足度★★★★☆
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