映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

テーラー 人生の仕立屋

2021年11月03日 | 映画(た行)

人生の転機。いつだってダメということはない。

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アテネで36年間、父と共に高級スーツの仕立屋を営んできたニコス(ディミトリ・イメロス)。
ところがここに来て、不況で店は銀行に差し押さえられ、
ショックで父は倒れてしまいます。
待っていても客は来ないと思ったニコスは、手作り屋台で移動式の仕立屋を始めます。
しかし、道ばたで高級スーツが売れるはずもありません・・・。

そんなある日、通りがかりの人からウェディングドレスをつくって欲しいと頼まれます。
ニコスは隣人の母子に手伝ってもらい、
女性服の仕立てを学びながら人生初のウェディングドレス作りに挑みます。

ニコスはひたすら実直、きまじめ。
こんな性格が高級紳士服の仕立てにはまさにピッタリだったのでしょう。
けれど、女性向きの美しいドレスを作るセンスも持ち合わせていたようです。
ニコスの屋台では、ウェディングドレスだけでなく
比較的安価な女性用のワンピースなども扱うようになり、
なかなかの人気になっていきますね。

ニコスの父は始め、屋台で服を売ること、
しかも女物の服を作ることなど堕落でしかないと思っていたのです。
長く紳士服を作り続けたことに誇りと自信を持っていた。
でも次第に女性服を作る息子の本気度を理解していくようになる。

息子は息子。
自分と同じ道を歩まなければならないということはないのだ・・・。
そういうことですね。

サイドストーリーとして、ニコスとその隣人の人妻の恋。
2人は服を作るということにおいて、等しい価値観を持っているようです。
こういう形の2人は理想型でもあるけれど・・・。

日常生活に必要以上に大きな波風を起こしたくない
女性の気持ちもまた、確かなんですね。

ここの娘は、母とニコスが怪しい関係になるのがイヤだ、
というよりも、ニコスが自分よりも母を好きなのがイヤだったのかも知れません。

人生の彩りはどんなところで現れるか分からないものです。
様々なウェディングドレスは見ているだけでもステキでした。

 

<シアターキノにて>

「テーラー 人生の仕立屋」

2020年/ギリシャ、ドイツ、ベルギー/101分

監督:ソニア・リザ・ケンターマン

出演:ディミトリ・イメロス、タミラ・クリエバ、タナシス・パパヨルギウ、スタシス・スタムラカトス

 

人生再生度★★★★★

満足度★★★.5

 



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