双子の兄弟が織りなすミラクル
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伊坂幸太郎史上もっとも切なく、でも、あたたかい。
僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。
双子の兄弟が織りなす、「闘いと再生」の物語
常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。
双子の弟・風我のこと、幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの、
誕生日にだけ起きる不思議な現象、「アレ」のこと――。
ふたりは大切な人々と出会い、特別な能力を武器に、邪悪な存在に立ち向かおうとするが……。
文庫版あとがき収録。
本屋大賞ノミネート作品!
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伊坂幸太郎さんのミラクルワールド。
優我(ユーガ)と風我(フーガ)という双子が主人公です。
彼らは父親から常に暴力を受けながら成長しました。
そんな彼らにはある秘密の力があります。
それは年に一度誕生日にだけ起こる。
二時間おきに彼らの立ち位置が入れ替わってしまうのです。
例えばAさんと向かい合っていたユーガと、道を散歩していたフーガが、
一瞬で入れ替わってしまう。
ユーガとフーガは普通の人なら見分けがつかないくらいそっくりなので、
Aさんは突然ユーガが立ち上がって、
場合によっては服まで着替えたように見えて、驚いてしまう。
こんな能力は不便なだけのようにも思えるのですが、
そこがそれ、伊坂幸太郎ワールドですので、
彼らはこのことを利用して様々なピンチを乗り越えていくのです。
それにしても、この二人が受けるいわれのない父親からの暴力や、
ある少女の受ける虐待など、読み進むにはつらすぎる描写も多いのです。
私はフィクションだとしてもやはりこういうシーンは苦手で・・・。
もちろん、やられっぱなしではないですけれど。
でもやはりショッキングなできごともあって、なかなか切ないのです。
ムチャクチャ心を揺さぶられます。
「フーガはユーガ」伊坂幸太郎 実業之日本社文庫
満足度★★★★☆
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