犯人に感じる共感・連帯感
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誘拐・監禁事件の被害者と加害者が長い時間をともにすることで、
犯人に対して連帯感や好意的な感情を抱いてしまうという“ストックホルム症候群”。
本作はその語源となった事件を題材にしています。
何をやってもうまく行かない悪党ラース(イーサン・ホーク)。
自由の国アメリカに逃れるため、ストックホルムの銀行に強盗に入ります。
ビアンカ(ノオミ・ラパス)という女性ら3人を人質に取り、
刑務所に収監されていた仲間のグンナー(マーク・ストロング)を釈放させて仲間に加えます。
ラースは人質と交換に金と逃走車を要求。
しかし、警察は彼らを銀行に閉じ込める作戦をとり、事態は長期化していきます。
そんな中、犯人と人質の間に不思議な共感が芽生え初め・・・。
監禁被害者が犯人に対して共感を抱き始める、というのは、
本作を見ればなるほど確かに、とすごく納得できる気がします。
一応犯人が積極的には自分たちを傷つける意志がない、という前提ではありますが、
こんな時に外部の警察は何もしてくれず、
そればかりか自分たちの命を軽んじているようにすら思える。
それに引き換え身近にいるこの人たちは、
一応話は通じるし、長く時間を共有し、時には時間つぶしにゲームを共にしたりして、
親しみを感じてしまうわけですね。
ビアンカはラースの提案に乗って、防弾チョッキを着て
ラースに撃たれたフリ、死んだフリまでして見せます。
人と人との心の距離というのは実に不思議なものです。
ラースはアメリカに憧れ、ロン毛のかつらにカウボーイハット、サングラス。
ボブ・ディランを歌ってみせる。
チョッピリおかしみのある興味深い作品です。
<WOWOW視聴にて>
「ストックホルム・ケース」
2018年/カナダ・スウェーデン/92分
監督:ロバート・バドロー
出演:イーサン・ホーク、ノオミ・ラパス、マーク・ストロング、ビー・サントス
歴史発掘度★★★★☆
満足度★★★.5
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