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男と女、モントーク岬で

2020年04月18日 | 映画(あ行)

ダメ男への評価

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ドイツ・フランス・アイルランド制作作品でありながら、ニューヨークが舞台という異色作品。



ベルリンを拠点として仕事をしている作家マックス(ステラン・スカルスガルド)は、
新作のプロモーションのため、ニューヨークを訪れます。
妻クララ(スザンネ・ウォルフ)は彼の作品を売り込むため、
ニューヨークの出版社に務めているので、普段は別居。
この度久しぶりに会ったのです。

そんな中、マックスはかつての恋人・レベッカ(ニーナ・ホス)と再会。
実は今回のマックスの新作は、彼女との実らなかった恋の思い出をモデルに描かれていたのです。
レベッカは現在弁護士として成功しており、
しきりに彼女との思い出に浸るマックスを尻目に、親しみを見せようとしません。
しかし、マックスが間もなくニューヨークを去るというある日、
レベッカからかつての二人の思い出の地、モントーク岬への旅に誘われます。

本作、男女によって、いえ、昨今は男女の差なんてさして普遍的なモノではないので、
「人によって」というべきかもしれませんが、評価が分かれるのではないかと思いました。



妻とかつての恋人との間で揺れて苦悩し、その狭間の悲哀に浸る中年男・・・
というのに切なさとロマンを感じる人は確かにいるのかもしれません。
けれど私はダメでした。
このダメ男には何らの同情すらわきません。
私が連想してしまったのは、あの、
不倫がばれて世間から大バッシングを食らった若手男性俳優。
言い訳しようもなくひたすら小さくなっているだけの彼の姿には悲哀を感じます。
(しかしまあ、当事者間の問題なのだから、
ここまで芸能界から抹殺してしまうほどのことではないと、私は思います)。
まあ、若さゆえとも言えます。
しかるにこのマックスは、こんなにいい年をしても、
まるで子どもみたいに、ただ目についた女を追い求めるだけ。
そうしたことの相手への責任感が欠如している。
女性にだってその人なりの思いがあり、人生があり、自由がある。
女なら誰もが自分のためいると思っているマックスには、身勝手な自分が見えていない。



まあ、そうした本当のことが何も見えていない哀れな男の物語、ということであります。
そのことを描き出したと見ればなかなかの作品。

<WOWOW視聴にて>
「男と女、モントーク岬で」
2017年/ドイツ・フランス・アイルランド/106分
監督:フォルカー・シュレンドルフ
出演:ステラン・スカルスガルド、ニーナ・ホス、スザンネ・ウォルフ、ブロナー・ギャラガー

ダメ男度★★★★★
満足度★★★☆☆

 



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