アマチュア劇団の場合、公演はよくて土日使って3回、まあ、せいぜい昼・夜公演の2回。だいたいは1回こっきりで終わりって場合が多い。一回勝負の潔さなんて団員にも言い、自分にも言い聞かせて、たった一度の機会に全力投球することを目指してやってきた。
でも、同じ芝居の公演は何度でもやった方がいいに決まってる。やるごとに自分たちの演技がどう受け取られているかわかって来るし、何より役が自然と自分のものになっていく。後があることで惰性に流れることもないわけじゃないが、繰り返すことでせりふもばっちり入り、動きもぎこちなさが取れ、感情の移入もスムーズになって見違えるような出来になってくる。できるものなら、3回、4回、10回、15回、納得のいくまで、見たいって人のいる限り続演が続けられると幸せだなぁ。
で、その幸せを、子どもミュージカルで実感してるってことなんだ。5月までに6回、6月三回公演し、さらに7月テスト明けには3回が予定されている。6月の小学校三校での公演は、誰の目にも着実にレベルが上がったことを感じさせた。それまで笑いの起きなかったシーンやキャラクターでも大いに湧くようになったし、しっとりと情感を込めて演じる場面も、ぐっと心に迫るものが出つつある。そう、あくまで出つつある、んだけど。これからさらに回数を重ねるに従って、見る子どもたちの心に突き刺さって行くようになると思う。これって、続演の効果そのものだよね。
小学校や公民館や児童館や、いろんなところが呼んでくれるから、こんな続演、続演、また続演が可能になるわけなんだけど、それを可能にした一番の原因はレパートリー方式の採用ってことだろうね。この言い方が正しいのかどうかわからないけど、ようするに、一時に集中して上演するんじゃなくて、間に他の公演や行事挟みつつ、とびとびで公演していくってやり方。そう、持ち歌のように持ち舞台作ってしまうってことだ。
3,4分の歌ならともかく、一時間以上のお芝居やミュージカルでそんなことできんのか?せりふ覚えていられないだろ。普通、そう思うよな。でも、そうじゃないんだ。少なくとも高校生は。その驚異的な能力については、もう何度か書いた。ともかくできるんだよ。後は公演をプロデュースする顧問が面倒くさがらないことだけ。
7月の舞台はまたさらによくなっていることだろう。さらに、9月では、さらにさらに、11月も、さらにさらにさらに、1月は東京町田公演で、・・・・そして、もちろん、役者たちも確実に力をつけ、今まで見せなかったような底力を見せるようになる。
でも、公演の数を漫然と積み重ねていてもダメだ。一回一回、次はもっとおもしろく、次回はここを克服して、と、常に課題を設定し、地道に手直ししつつ続けることだ。また、そうすることで、生徒たちも、しっかりと課題意識をもって公演に臨めるようになる。それが数ある舞台の一つ一つを、一期一会、おっと、大げさだけど、としてひたむきに取り組めるようになるのだと思う。せっかくいただいた大切な大切な上演の機会、せめてそのくらいは心がけなくちゃならないよね。