歴歩

歴歩 歴史は歩く。ゆっくりと歩く。それを追いかける。

伊東市・井戸川遺跡 12世紀後半~13世紀前半の宋の陶磁器が多数出土 伊東祐親に関連か

2010年04月15日 | Weblog
 伊東市教委は14日、井戸川遺跡(同市和田2丁目)で、平安時代末期~鎌倉時代初めの地層(深さ約1m)から青磁や白磁などの中国・宋から輸入した陶磁器の碗や皿、常滑・渥美窯系の国産陶器片などが多数出土したと発表した。
 市教委は、遺跡内の個人住宅の建設用地(約115㎡)で3月16日から1か月間発掘調査を行った。
 井戸川遺跡は広さ約4・5ヘクタール。伊東港の南約300m、海抜4~6mの住宅街にある。にある遺跡。縄文時代後期から平安時代にかけての住居跡がこれまでに30軒以上確認されているほか、県内でも数少ない貝塚もあり、縄文時代以降の食生活を示すアワビの貝殻やカツオ、イルカ、クジラの骨などが多数出土している。日本で初めて造られた貨幣「和同開珎」も発見されている。
 中国産の陶磁器は当時の高級品で、伊豆の国市寺家の北条氏邸跡でも類似した陶磁器が出土している。年代が地元の有力一族・伊東祐親(?-1182) が支配していた時代と重なることから、伊東氏が港に陸揚げした物資の集積・管理した施設が付近にあったとみられるとする。
 また、戦国時代の地層(深さ70cm)からはイルカの背骨なども多数見つかった。縄文期のイルカの骨も見つかっており、イルカを食べる習慣が根付いていたことがわかるという。
 これらの出土品十数点を、4月末から市文化財管理センターで一般公開する。
[参考:静岡新聞、中日新聞、毎日新聞、読売新聞]

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 2008.7.15 日向市塩見城跡 中山遺跡 国内初の土製キリシタン遺物が出土
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松原市・河合遺跡 市立学校給食センター建設によって壊される危機に直面か

2010年04月15日 | Weblog
 奈良時代の地方役所跡(郡衛「丹比郡家」)とみられる大規模な建物跡が出土した河合遺跡が、市立学校給食センター建設によって壊される危機にさらされていると読売新聞が報じている。
 同給食センター建設用地の約4500㎡で事前に発掘調査した結果、ロの字形に復元できる、整然と並んだ大型建物跡が出土した。数度にわたって建て替えられたとみられ、瓦も出土しており、瓦葺の建物だったとみられている。
 古代の運河「丹比(たじひ)大溝」に近く、運河を管理した郡役所などと推定され、遺構は西側に広がる。
 市教委は3月9日に記者発表したものの、市民らに調査成果を知らせる現地説明会は開かなかったし、遺跡の価値や保存方法などについて、専門家に広く意見を聞くこともしていない。十分な保存協議をすることなく建設計画を進め今年度中にも着工する予定としている。これに対し、専門家から「近畿では類例が少ない価値のある遺跡。建設計画を見直すべきだ」と疑問の声が上がっている。
 文化庁は3月末、市教委を指導する立場の府教委文化財保護課に、保存協議などがどうなっているか事情を聞いたところ、同課は今月6日、市教委に遺跡の重要性を指摘し、「工法や設計の変更などセンターと遺跡が共存する方法を考えてほしい」と要望している。
[参考:読売新聞]

過去の関連・ニュース・情報
 2010.3.10松原市・河合遺跡 奈良時代の役所跡、長さ50mの建物を含む10棟が出土
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