待ってられない未来がある。
高校2年生の紺野真琴は、理科実験室に落ちていたクルミをうっかり割ってしまったことがきっかけとなり、時間を飛び越えて過去に戻る力「タイムリープ」を手に入れる。
彼女はさっそく「タイムリープ」の力を試すべく、妹が食べてしまったプリンを食べにいく。 自分が ”飛べる” ことを確信した真琴は、男友達の間宮千昭や津田功介とカラオケでノドが枯れるまで歌ったり、3人で何度も野球をして好プレイを連発してみたり... 何気ない日常を思う存分満喫するのだった。
何があっても大丈夫、また戻ればいい、何回でもリセットができる。そんな楽しい毎日が続くはずだった。千昭が真琴に「俺とつきあえば?」と告げるまでは。Time waits for no one.(時は人を待たない)。
タイムリープ」を繰り返し、残り回数が底をついたとき、真琴は自分にとって一番大事なかけがえのない時間がそこにあったことに気づくのだった...
10日(土)「時をかける少女」(’06,アニメーション版)を見た。
本作、もう公開から15年! ずっと劇場で見たかった作品、4DX2D版での鑑賞である。かなりの回数TVで放送されているが、劇場で見る機会がなかった作品である。
紺野真琴(こんの・まこと,CV仲里依紗)
主人公。高校2年生。ショートヘアで快活な性格。
間宮千昭(まみや・ちあき,CV石田卓也)
真琴のクラスメイト。高校2年春に転校して来た。
ワイシャツのボタンはすべてはずす、少しだらけたファッション。
津田功介(つだ・こうすけ,CV板倉光隆)
真琴のクラスメイトで、遊び友達。
津田家は開業医。彼も医者を目指している。
芳山和子(よしやま・かずこ,CV原沙知絵)
真琴叔母。原作の主人公。美術館で絵画の修復をしている。
独身。真琴は彼女を「魔女おばさん」と呼んでいる。
戻らない 「あの時間」を もう一度
時は人を待たない。(Time waits for no one.)
あの時、~していたら。
あの日、~しなければ。
生きることは何かを選ぶこと。それは二者択一かも知れないし、もっとたくさんのものから、一つを選ぶこともある。ひょっとして、選ぶものが一つしかないこともある。選んではいけないものしか、提示されないこともある。
千昭に告白された真琴の選択は、単なるリセットとしてのタイムリープ。でも、それは選んではいけない選択。しかし真琴は未来を消したことが、自分以外に及ぼす影響に気づかない。
毎日を楽しく過ごすことができるのはとてもいいこと。願わくば選択が常に正解であれ。でも、そうはいかない。違うことはままある。高校生にはそれがわからない。だから子どもは...そんなことを言うつもりは毛頭ない。大人だってみんな同じである。ただ、大人の方が長く生きてきた分、ずるく、要領よくたち振る舞えるだけだ。そんなことを考えた。過去は変えられない。そのことを実感した回数が多いほど、本作は「ささる」のだ。
大林作品へののhomage
芳山和子の研究室(?)にhomageと思えるシーンがある。ラベンダーの花、吾朗と深町と一緒の写真である。
ラスト近くでだが、千昭、功介、真琴の関係性が和子たち3人と重なった。
このアニメ、実写だったら...
何となく千昭は5、6年ほど前の菅田将暉かと感じた。「暗殺教室」の赤羽業の印象のせいだと思う。真琴と功介は思い当たらない。不思議な感じだ。
やはりこれは見るべき作品
筒井康隆氏の原作は、本作を含めて2021年までに4回劇場映画化されている。僕は2作目は未見だが、それ以外の3作では一番「青春」にフォーカスを当てている作品。青春が全面、若者たちの恋愛模様はそれほど大きく見えず(実際は違うけど)、SF的要素も強く出ていないように思えた。
「時をかける少女」
1983年・大林宣彦監督作品(’16-08-31のエントリ)
2010年・谷口正晃監督作品(’10-03-14のエントリ)
文中敬称略