全英連参加者のブログ

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令和4年度埼玉県公立高等学校入試英語リスニングテスト分析

2023-01-10 04:00:00 | 教師の仕事 2021+a

 例年通り夏休み期間に英語実音テスト問題の音源CDを借り受け、リスニングテストの分析を開始した。分析ポイントは、例年通り前年度問題形式との比較。変更の有無、wpm*の確認である。加えて令和3年度、大幅な語数減で実施されたリスニングが、令和4年度どのように変化したかの考察である。

 ...放送原稿はすぐ完成。語数チェックも終了したのだが、計時と文をまとめることがなかなかできず、越年してしまった。


 2月26日(金)14時40分、英語学力検査の開始チャイムが鳴る。その数秒後「放送を聞いて答える問題」が始まる。この問題が終わらなければ、他の問題に手をつけることは、実質的に不可能である。令和4年度入試も、試験は全部で7問、求められる解答数が11である。
 英語学力検査のリスニングは、平成31年度から問題の解答の仕方の説明以外、すべて英文・英語の音声指示に変更された。令和4年度入試も同様である。

 問題1から問題3
 会話を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一、ヒントのイラストがついている。
 問題4と問題5
 それぞれ「ある場面」を説明する英文を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一で、英文の答えが出ている。
 問題6
 Saitama Restaurantについてのガイドの説明を聞き、内容に関する三つの質問を聞き取り、問題用紙にある英文の解答から選択する。四者択一問題。
 質問は印刷されていない。解答選択肢は印刷されている。
 問題7
 カヨとアメリカ人の生徒ジョンの会話を聞き、会話の内容に関する三つの質問を読み、解答する。解答は空所補充・文完成を求める形式。
 質問は印刷されている。
 *問題7以外はすべて〇 or Xの採点になる。

 使用音源
 令和4年度 英語録音CD1枚

 計時使用機材
 計時はWindows 10のWMPによる。ストップウオッチも使用。CDプレーヤーも使用。
 ・・・毎年同じ作業である。

 分析手順
 ①語数とセンテンスの数をカウント。
 ②何度も聞き直し、各英文の時間を計測。
 ③問題~問題の間のポーズを計測。
 ④はじめから、「以上で問題は終わりです」までの実時間を計測。
 ⑤前年の数値と比較。
 ①から④は手作業(耳作業)である。
 ・・・ここも昨年と同じである。

 以下、音源CD構成と計時データ

 トラック1 音量調整のための放送
 試験当日朝に試聴のために用いる。
 (試験とは関係ない。)

 トラック2 無音
 トラック1をかけたままにしていると、注意される。
 (間違えて、問題を誤放送させない配慮。)
 トラック構成も昨年度と同じである。

 トラック3(0:53)
 0:00- 「放送を聞いて答える問題」のアナウンス。(日本語)

 トラック4(1:02) 問題1
 0:01-0:09 問題1から問題3の解答方法の説明(英語)
 0:14 問題1放送 1回目
 0:28 問題1放送 1回目終了
 問題1 Question 1回目
 0:38 問題1放送 2回目
 0:52 問題1放送 2回目終了
 問題1 Question 2回目
 問題1は、AとBの会話である。A→Bが2回。14秒で話者2、総語数36語である。
 このペースで会話が続いたとすると、14秒は1分の23.3%なので、36を0.23で割る。
 154wpmとする。(141)カッコ内は、R.3データである。以下同じ。なお、問題番号(No.1)やLet’s Start.等は計測から除外している。

 トラック5(1:04) 問題2
 0:02 問題2放送 1回目
 0:24 問題2放送 1回目終了
 問題2 Question 1回目
 0:33 問題2放送 2回目
 0:55 問題2放送 2回目終了
 問題2 Question 2回目
 問題2も、AとBの会話である。A→Bが2回。22秒で話者2、総語数59語。
 このペースで会話が続いたとすると、22秒は1分の36.6%なので、59語を0.36で割る。
 161wpm(133)

 トラック6(1:07) 問題3
 0:02 問題3放送 1回目
 0:25 問題3放送 1回目終了
 問題3 Question 1回目
 0:35 問題3放送 2回目
 0:58 問題3放送 2回目終了
 問題3 Question 2回目
 問題3も、AとBの会話。A→Bの回数も同じ。23秒で話者2、総語数61語。
 このペースで会話が続いたとすると、23秒は1分の38.3%なので、61を0.38で割る。
 159wpm(150)

 トラック7(1:00) 問題4
 0:01 問題4と問題5の解答方法の説明(英文)
 0:11 説明終了
 0:15 問題4放送 1回目
 0:27 問題4放送 1回目終了
 問題4 Question 1回目
 0:38 問題4放送 2回目
 0:50 問題4放送 2回目終了
 Question 2回目
 この問題は「ある場面」についての説明文を聞き、それについて解答を求めるものである。12秒で話者1、総語数31語、センテンス数3。
 このペースで発話が続いたとすると、12秒は1分の20.0%なので、31を0.2で割る。
 155wpm(156)

 トラック8(0:46) 問題5
 0:02 問題5放送 1回目
 0:13 問題5放送 1回目終了
 問題5 Question 1回目
 0:23 問題5放送 2回目
 0:35 問題5放送 2回目終了
 問題2 Question 2回目
 問題5も問題4と同じパターン。12秒で話者1、総語数31語、センテンス数3。
 このペースで発話が続いたとすると、12秒は1分の20.0%なので、31を0.2で割る。
 155wpm(155)

 トラック9(3:45) 問題6
 0:01 問題6の解答方法
 Look at No. 6. Listen to the tour guide on the bus, and choose the best answer for questions 1, 2 and 3 Let's start.
 0:10 説明終了
 0:12 問題6放送 1回目
 1:17 問題6放送 1回目終了
 Questions 1, 2, and 3
 1:58 問題6放送 2回目
 3:03 問題6放送 2回目終了
 Questions 1,2, and 3
 Saitama Restaurantの説明を聞き、質問を聞き取り、答える(選択する)問題。65秒。総語数159語、センテンス数16。
 このペースで会話が続いたとすると、65秒は1分の108%なので、159を1.08で割る。
 147wpm(143)
 なお、トラックの長さは3:45だが、録音は3:35で終了。問題7までの間10秒弱空白になる。

 トラック10(3:13) 問題7
 0:01 問題7の解答方法の説明
 Listen to the talk between Kayo and John, a student from the U.S., and read the questions. Then write the answer in English for questions 1, 2 and 3.
 0:16 説明終了
 0:19 問題7放送 1回目
 1:30 問題7放送 1回目終了
 1:41 問題7放送 2回目
 2:52 問題7放送 2回目終了
 71秒で話者2、総語数184語、センテンス数26である。
 このペースで二人の会話が続いたとすると、71秒は1分の118%なので、184を1.18で割る。
 155wpm(139)
 なお、問題7(トラック10)の3:04のところで、「放送を聞いて答える問題」の終了が告げられる。午後2時40分の英語試験開始のチャイムから、ここまでが12分半。残り試験時間が37分半程度。
 リスニングテストの配点は100点満点中28点である。


 wpm比較

Questions H29 H30 H31 R2 R3 R4  
1 words 40 34 43 48 47 36  
seconds 15 12 16 18 20 15  
wpm 160 170 161 160 141 154
2 words 57 40 26 34 42 59  
seconds 21 16 10 12 19 22  
wpm 163 150 156 170 133  161
3 words 53 39 46 38 35 61  
seconds 22 13 16 15 14 23  
wpm 145 186 173 152 150 159
4 words 27 28 30 30 26 31  
seconds 12 9 11 10 10 12  
wpm 135 187 164 180 156 155
5 words 28 27 29 39 31 31  
seconds 10 9 10 14 12 12  
wpm 175 180 174 167 155  155 ±0
6 words 141 188 185 195 136  159  
sentences 25 23 22 20 12 16  
seconds 57 72 70 82 57  65  
wpm 148 157 159 143 143  147
7 words 209 212 229 163 179  184  
sentences 18 12 14 22 23  26  
seconds 79 77 85 64 77 71  
wpm 160 166 162 153 139 155

 words:語数
 sentences:文の数
 seconds:英語の流れた時間(単位:秒)
 wpm:1分間でどのくらいの語数を聞き取ることになるか。
    は、令和2年度との比較。△は数値が増加したもの、▼はその逆である。

 【注意】
 問題6と問題7は平成31年度と令和2年度でと出題形式が入れ替わっている。
 ・平成31年度入試
  問題6が会話問題、問題7がスピーチの聞き取り問題。
 ・令和2年度入試
  問題6が話者1の聞き取り問題。問題7が会話問題。

 令和4年度入試も同じである。3年連続なので、数字の変化はこの3年で見るべきだろう。

 令和3年度との比較は以下の通り。
 問題1:難化
 問題2:難化
 問題3:難化
 問題4:易化
 問題5:変化なし。
 問題6:難化
 問題7:難化
 (計測ミスがなければだが)難化している。

 聞き取るべき語数の比較は以下の通り。
 R4 561 534 現1年生
 R3 496 544 現2年生
  中3の時、学校が実質閉まった学年。
  「出題範囲の削減」があった年度。
 R2 547 568 現3年生
  緊急事態宣言が中2の3学期に出ている。
 H31 588 570
 H30 568 569
 左から実施年度、総語数、実施年度を含む3年間平均。

 問題形式、実施時間が大きく変わらず、聞き取るべき語数が、令和4年度入試は、令和2年度並みに増えた。
 普通に考えれば、令和5年2月の入試も、同じ傾向になるだろう。
 

 「令和4年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施状況」によれば、学力検査の得点の平均は以下のとおりである。(全日制の課程,受検者平均点【第9表】より
 過去のデータもあわせて表を作成している。

学力検査問題 選択問題
国語 社会 数学 理科 英語 数学 英語
R.4 62.9 52.9 48.0 52.5 52.6 42.6 58.3
39,805 39,805 29,331 39,805 29,331 10,474 10,474
R.3 68.7 62.6 62.2 56.2 51.4 56 61.6
39,035 39,035 29,376 39,035 29,376 9,659 9,659
R.2 57.2 55.4 67.9 55.1 52.2 55.2 58.9
41,206 41,206 31,796 41,206 31,796 9,410 9,410
H.31 58.3 60.3 42.3 44.5 47.7 53.5 64.3
43,424 43,424 33,564 43,424 33,564 9,860 9,860
H.30 52.8 55.9 44 51.7 55.9 43.7 58.9
44,362 44,362 34,560 44,362 34,560 9,802 9,802
H.29 53.3 60.6 44.4 48.5 52 43.2 71.9
46,455 46,455 36,513 46,455 36,513 9,942 9,942

 年度ごと、上段が平均点、下段が受検者数である。なお、平均点は全日制5教科受検者の得点より算出している。
 平成29年度入試から、英語(と数学)は学力検査問題(いわゆる普通の問題)と学校選択問題の2種類の問題が学校単位で選択制で実施されている。平均点を見ると、後者に当初3年間(平成31年度まで)年度ごとのふらつきを感じる。作問は努力していると思うが、結果に「安定感」がない。これは受験生数を考えるとやむを得ないとも言えるが、いっそうの改善が求められることだと思う。
 選択問題実施校は、県立高校としてはアカデミック・レベルの高いとされる学校である。実施科目である英数の点数と、国社理の点数の平均点の差違があまり顕著なのは、好ましいことではない。


 なお、問題、正答、データ分析は、埼玉県総合教育センターウェブサイトで公開されている。
 https://www.center.spec.ed.jp/(新しいウインドで開きます。)
 (メニューの「入試情報・説明会案内」から)
 ・令和2年度~令和4年度の問題を公開中である。
 今年も分析をするために、東京新聞ウェブサイトの『首都圏公立高校入試特集ページ』を参考にした。問題を見るのならば、このサイトを利用するといい。関東地方の公立高校入試問題を、PDFでアップロードしている非常によくできたサイトである。毎年使わせてもらっている。特記する。
 アドレスはこちら。(新しいウインドで開きます。)
 https://www.tokyo-np.co.jp/tags/exam

 *このエントリにおけるwpmの出し方(考え方)については、こちらです。
 2010-03-11
 「wpm


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