全英連参加者のブログ

全英連参加者の、言葉やその他諸々についての雑感... 不定期更新です。

ああ、、、話さなければよかった。

2023-10-28 04:00:00 | 教師の仕事 2021+a

 僕は’21年3月末、定年退職した。その1年前の’20年3月、さんは校長で定年退職した。


 1983年4月1日の新任式(辞令交付式)の午後、初任校までのバスに乗るために、僕はとある国鉄駅前バス乗り場にいた。
 見知らぬ男性が、僕に声をかけてきた。

 「〇〇高校ですか?
 「...えっ? はい。
 「自分もです。◎◎といいます。数学です。
 「**です。英語です。

 それが出会いだった。あとで聞くと外見で新社会人、新任の先生と判断したとのこと。
 一緒にバスに乗り、初任校に着任。僕(ら)の先生生活がスタートした。数日一緒に仕事をしただけで、とてつもなく優秀な人間とわかった。


 Aさんは3年半前に退職、どこかに再就職したか、一時期かなり調査した。元同僚が退職後、大学で教員養成系科目を担当。Aさんならば、引く手あまたのはず。必ずどこかでと考えた。Teachers' Teacherに、彼ほど相応しい人物はいないからだ。

 でも、見つからなかった。あることから、悠々自適の隠退生活と考えることにしていた。


 彼の再就職先を探していたころ、イヤな夢を見た。葬式(?)で僕が弔辞を読んでいるのだ。遺影を見上げているが、顔がわからない。奇妙で怖い感覚だ。親戚の葬式以外、僕が話すことはない。ああ、夢なんだ。そう思った。次の瞬間、僕はこんなことを言い始めた。

 「Aセンセ、覚えていますか。初めて会った日を...

 そこで目が覚めた。Aさんの葬式なのだ。
 以後、彼を探すことも、話題にすることも、一切やめていた。


 文化祭のとき、待機時間に同僚と話しをしていた、自分の昔ばなしから、Aさんの話題になった。同僚はAさんが初任校の次の転勤先で、1年間講師をしていたという。その30数年後、顧問を勤める部活動統括団体会長のAさんと再会したとのこと。きちんと同僚のことは覚えていたそうだ。いかにもAさんらしい... そして思いもよらないことを聞いた。病気で亡くなられたとのこと。

 知らなかった。


 何で彼が、あんな優秀な人が、いないんだ。
 僕のような凡庸な人間が生きているのに。

 話さなければよかった、そうすれば知らずにすんだのに。
 R.I.P.


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