出会いと別れ、忘れられない人。
実話に基づく10年間を描く愛と青春のクロニクル。
自分勝手で少し変わり者の《ボク》は、平凡そのものの女の子・まなみのことがずっと好きだった。高校から大学、そして現在までの10年間でいくつものの出会いと別れを経験しても、まなみに対するボクの思いは変わらず、その理由もわからない。平凡さを嫌って興味あるものの仲間だけを大切に生きて来たボク。
「普通」に大人になっていく彼女、友人、憧れの先輩、先生__。
やがて、まなみが結婚することになり...。
作品紹介を読んだだけでも、少々危うい感がする。川北ゆめき監督の自伝的な作品とのことだ。
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主人公の《ボク》(青木柚さん)
青木さんは『神回』の主人公の役者さん。
《ボク》は高校1年生でまなみちゃんと出会う。そして彼女を好きになる。でも、思いは通じないまま、2人は高校を卒業。1浪後、《ボク》は大学(中央大学?)に進学し、映画作りにかかわることになる。
《ボク》は彼女も複数いる(いた)...色々な女性とかかわりながら、それでもまなみちゃんが忘れられない。見た目、立ち振る舞いは~申し訳ないが~残念なクズ青年だ。
この青年、どこまでが川北ゆめき監督の投影なのかな。
まなみちゃん(中村守里さん)
地味な感じの本作のヒロイン。ストーカー的な《ボク》から求婚され続ける。10年間、なぜ決定的な溝・嫌悪感が《ボク》との間にできないか不思議。謎な人物。《ボク》を嫌いではないが、結婚相手ではない。でも、それを明示しない。ちょっとイジワルかもしれない。
瀬尾先輩(伊藤万理華さん)
《ボク》のあこがれの瀬尾先輩。彼に強い印象を残す。社会人になり再会するが、まもなく若くして亡くなる。きっと監督の生き方や人生に大きな影響をあたえた人なのだろう。相当な難役。伊藤さんはやはりいい女優さんだ。
『サマーフィルムにのって』のスクリーン上の存在感。彼女を現時点で見ておかないと後悔する。そんな確信めいたものを感じる。
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【雑感】
何だかつかみ所のないものがたりだと思う。これは悪口ではない。
瀬尾先輩の死は別として、《ボク》が経験した出会いと別れも、強烈とまでは言えない。平凡さを嫌い、自らの興味を重んじる。1人の人をずっと思い続ける。そんなこだわりに、共感や羨望と小さくない嫉妬を感じた。理解できないとも思った。でも、こういう生き方の人が、いることもわかる。
共感や理解が追いつかないのは、自分が年齢を重ねたからだ。それを実感した。