<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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ついに話題のあの近大水産試験場産マグロ、つまり近大マグロを食べることができた。
結論。
めっちゃ美味かったのであった。

昨年、大阪駅前にオープンしたグランフロンと大阪。
東京にも無い大胆なコンセプトと斬新さと、大阪にはまったく似合わない優れた先進的デザインで地元大阪だけではなく、全国の注目を集めている。
その影響力は凄まじい。
なんと向かいにある三越伊勢丹大阪店を駆逐してしまうほどのインパクトをこの梅田エリアに与えたのであった。
ちなみにう案旧百貨店には勝つことはできなかった。

このグランフロント大阪北館には仕事上の取引先のオフィスがあったり、ここの7階には大阪の大手企業12社ほどが束になって設立したナレッジキャピタルマネジメントが運営するナレッジサロンがあったりと、打ち合わせやセミナーなどのために週に一度は必ず訪問する場所になっている場所である。
当初は、
「なんか東京みたいなところやな。ま、縁はないんちゃう」
と思っていたのだが、どっこい正反対で、何かと用事ができてここを訪れているのだ。

グランフロントには北館と南館とゴーギャスレジデンスエリアの3棟があるのだが、北館の6階にはオシャレな飲食店街がある。
世界中の様々な料理を提供するカウンタータイプの店が並んでいるのだ。
ここの料理や酒は普通であれば大阪人が敬遠するリーズナブルではない価格なのだが、しかしそこは大阪。
味は抜群の美味さなのである。
大阪人も納得のグルメ度なのであった。

この飲食店街の中で最も人気が高いのが、あの「近畿大学水産試験場」。
ここは和歌山県にある近畿大学の水産試験場で養殖されている、世界で唯一の養殖マグロを食べさせる店なのである。
なぜ、世界で唯一かというと、近畿大学しかマグロの養殖技術は持っていないからだ。

この近大マグロのレストランがグランフロント大阪に開業するとともに、話題沸騰。
全国各地から大勢のマグロ好きが集まってくるものだから、つい先々月には東京の銀座の第二号店が開店し、連日多くの客が列を成しているという。
そしてなんと、先日の日経によるとニューヨークにも店を出すかも知れないという。
こうなると、何がなんだかわからないが、はっきり言えることはニューヨークで出す近大マグロと大阪で食べる近大マグロは絶対に味が違うであろうということなのだ。

なぜなら、大阪で食べる近大マグロは「冷凍されたことのない」マグロだから。

先日、ナレッジサロンで仕事の打ち合わせをしたあと、
「ちょっと飲みましょうか」
ということで6階に行ってみると、近大水産試験場前の列が少しすくなく、
「お、すぐに食べられるかも」
と期待して、話題の近大マグロにチャレンジすることになった。

初めての経験というのは何かと心ときめくものだ。
評判の近大マグロ。
どんな味がするのかワクワク感で一杯だ。
価格はリーズナブルではないが(くどい)、それはそれで価値あるものとして納得する必要がある。

レストラン近大水産試験場は刺身を提供するレストランなのだが、日本酒のバリエーションは残念ながら多くはない。
「運営はサントリーなんです。」
とのこと。
さもありなん。
サントリーという大阪地場の企業なのだが、ウィスキーのメーカーなので畢竟、日本酒のバリエーションに乏しいところがあっても仕方が無いのかも知れない。
近大マグロの店の向かいが日本酒のお店なので、できれば近大マグロを肴に、お向かいの日本酒酒場で獺祭をグイッとやりたいところだ。

店が混雑している関係か、刺身が出てくまでは結構時間がかかった。
正直、座席に座るまで待つ時間よりも座ってから刺身が出てくるまでの方が長かったといえよう。
それでも、待つ時間が長ければ長いほど、期待感は高まる。
この期待感、じらし、品薄はマーケティングによる最高の販促方法でもある。
30年前に任天堂がファミリーコンピュータでとった方法がこれであった。
当時、ファミコンはどこの店に行っても売り切れており、
「いつになったら遊べるんやろ」
と首を長くしてまっていた子供がいかに多かったことか。
多くの小売店は、ファミコンばかり売れては困るので、奥の倉庫に在庫をしまい、少しづつ小出しにしていたものだ。

で、近大マグロも期待感が高いだけに、ハズレの場合は失望感も大きくなるので、よけいにドキドキ感は大きくなる。

やがて大きな皿に盛られたマグロが運ばれてきた。

「お~」

となぜか感嘆の声が上がる。
見かけは他の店の刺身と大して変わらないのでに、である。
他の店と違うのは、そこに近大水産研究所を卒業したという花札ぐらいのサイズの小さな卒業証書が添えられていることであった。



「おお!こんなんがついている」
と感動したものの、
「近大ちゅうのは恐ろしいところや。卒業したら即絞め殺されて刺身にされてしまうんちゃうか。はははは~!」
と、若干複雑な気持ちになったのも確かなのであった。

もっとも、人間の場合は卒業されても殺されることはない。
あたりまえだ。
私の実父も、カミさんのお父さんも、どちらも偶然に近畿大学卒なのであるが、どちらもジジイになるまで元気に生きているのだ。

で、肝心の味はと、一切れ目を口中に運ぶと、これはすごい!
何ともいえない食感と旨味が溢れてきて、
「おお!これがマグロか。マグロなのか!」
と感動するような味で、詳しくは実際にそこを訪れて食べてもらうしか無いのだが、それほど美味しいマグロなのであった。

変な脂は一切なし。
爽やかで、それでいて弾力のある切り身。

これは冷凍された経験の一切無いマグロだから可能になった味覚に違いない。
毎朝、和歌山も生け簀で締め上げ、大阪へ運んできてその夜のグランフロントで供する訳だから、美味しいこと間違いなし。

ということで、リーズナブルではないが噂の近大マグロは驚異の美味しさなのであった。

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