<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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なんだか日本の研究者の地位もづいぶんと零落してしまったな、というのが「小保方事件」。
STAP細胞なる魔法の細胞の存在を確認したことを記者会見で発表し、一躍世界に名を轟かせたのであったがmその数日後には発表した論文に「修正した」写真の掲載は確認されるわ、他人の論文のコピペが見つかったわで、信用失墜。
ついにノーベル賞受賞者の責任者が頭を下げで詫びる事態に発展した。

これだけ研究者としていけないことを繰り返したのにも関わらず、どういわけか、世間はこの主犯小保方さんへの同情を隠そうとしない。
私はほんと「アホかいな」と思うのだが、私の親しい友人の中にも、
「彼女をいじめるな」
というような書き込みをFACEBOOKの中に正々堂々と描いたりする人がいるので愕然としてしまうことおびただしいものがあるのだ。

私も大学関連の仕事をしているので、研究者の皆さんと多少はお付き合いがある。
小保方さんと同じバイオ系の方も含まれている。
彼ら、あるいは彼女たちは非常に優秀で、日夜研究に明け暮れている。
ある研究員は早朝から深夜まで研究室にこもりっきりで研究活動に邁進し、自宅に変えるのは「寝るため」だけ。
まるで大手ゼネコンの現場担当者のような生活をしいているのだ。
研究者という職業は実は体力勝負であり、一見知的作業に観るのだが、実態は肉体労働そのものであり、かつ給料もどこかの国立大の教授職でもない限り安いという特徴も兼ね備えているのだ。

つまり好きでなければ勤まらない仕事なのだ。

小保方さんに違和感を感じるのは、こういう体力勝負の研究者という、科学の汗臭さが感じられず、どこかのテレビタレントのような雰囲気をたたえていることだ。
割烹着を着て、化粧をし、バシッと髪型を決めている女性研究者は、私は知らない。

他人の論文を失敬することはもちろん、「200回も再現しました」と言いながら人前では一度も再現しない実験結果をもってして、「この人を守ろう」という感覚が私には少々理解不可能な領域だ。

ということで、小保方事件は肝心の科学の話は消え伏せて、その人の人格や生活態度といった三面記事に走っているいたって非科学的状況に陥っているところが、科学の地位を著しくそこなっている品位になっているのではないかと、つくづく感じるのである。


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