先週週刊誌を読んでいて、いしいひさいちの4コマコミック「ドーナッツブックス」の何巻だったかは忘れてしまったが新幹線ネタがあったのを思い出した。
1970年代か80年代の作品で2人のお百姓が交わす会話。
「国の主導でローカル線廃止なんぞ言って。新幹線をひくちゅう約束だったから」
「無理やり作った新幹線じゃのう」
「ほれ、来た」
2両編成の新幹線が単線の高架橋を走ってくる。
そんな感じの漫画なのであった。
まさか21世紀の今それが実現するとは思わなかった。
国の主導で作っていくと例え新幹線といえど赤字ローカル線が出現するというセオリー。
何の話かというと「北海道新幹線」。
北海道の人には待ちに待った新幹線かも知れないが、それが赤字となると「???」となるのも致し方がない。
関西に住んでいる私としてはまったくといっていいほど利用しないだろうという新幹線。
それが北海道新幹線。
関係がないといえば、関西人だけではなく、たぶん首都圏の人にも関係ないかもしれない。
そもそも東京から北海道函館に行くのにどのくらいの人が高い料金を払って中途半端に時間のかかる新幹線に乗るだろうか。
ちょっと考えてみればわかるのに、かなり辛いところだ。
たとえば大阪から北海道はLCCで片道5000円から10000円。
東京も大阪とよく似た料金。
これが新幹線で行くとなると、その運賃は大阪からは32600円。
所要時間は約6時間20分。
東京からでも5時間ちかく。
料金は23010円。
誰が乗るねん、というところだ。
「仙台の人が乗るでしょう」
という意見もあるだろう。
でも仙台から函館まで新幹線で3時間半。
運賃は約18000円。
空路仙台からは札幌行きはあるけど函館行きはないから仕方ないので新幹線を使うのかもしれない。
でも空路があった方がきっと早いし便利に違いない。
それに仙台でビジネスしている人が、どれほど函館に行くのか疑問もある。
読んでいた週刊誌で、
「北海道新幹線はJR北海道の経営に決定的なダメージを与える」
というような記事が連続して掲載されていた。
札幌へ開通するまで北海道新幹線は当面赤字で、その額はなけなしの資金運営をしてJR北海道が生み出している黒字額とほぼイコール。
新幹線が通じたばかりに赤字転落。
待ちに待った北の大地を走る新幹線はあまり歓迎される乗り物ではないようだ。
そこで北海道新幹線はどの程度の利用があるのかと時刻表を検索してみるとビックリ。
列車は毎時1本。
上下併せて1日に30本弱。
恐ろしく過疎化したローカル新幹線なのであった。
上下併せて30本といえばラッシュ時の東海道新幹線の1時間の本数に足りない。
それで利用者が満席かというとさにあらず。
日経によると新青森~新函館北斗間の平均利用率は20%なんだとか。
ローカル新幹線を作るくらいなら東京や大阪から走っていた豪華寝台列車や長距離列車を運行するほうが、21世紀の日本人のライフスタイルにピッタリで利益も生む。
在来線としての青森、函館間をもっと有効に本数も増やせば地元の利便性もきっと高まる。
在来線でも最高速度は160km。
豪華な列車を走らせれば津軽地方の美しい景色と北海道ブランドでインバウンドにもぴったりだ。
アイデア欠如のエゴで生まれた新幹線。
史上初。
フル規格赤字ローカル新幹線はどこへ行くのだろう。
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