<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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今年のNHK大河ドラマを見てもう一つ気がついたことがある。
それはCGを多用していること。
まるでSF映画やファンタジーのようなセットではない世界が展開していたのだ。
なんじゃいこれ。
空想時代ドラマ、との印象を持ってしまう大きな原因の一つなのであった。

これまでの大河ドラマでもCGは使われていたが、今回はほとんどがCGじゃないかと思われるくらい画面がビデオゲームだ。
美術担当者もそのあたりを狙っているのか、リアルであるはずの衣装の色彩計画も時代考証や服装の基本はどこへやら。
出演者のメイクもビデオゲームのように奇抜でケバく、日本の時代劇というよりも中国映画の三国志を見ているような雰囲気が漂っている。
いや、映画ではなくゲームの三国志か。

このためというかなんというか、ライブシーンが著しくアレンジされているので凝った画面でも薄っぺらく見えてしまう。
製作の本人たちは「大スペクタクル」感覚で作っているのかも知れないが、見ているこっちは「漫画」感覚になっているのだ。
おまけに肝心の脚本も「画面での迫力」が優先されているためか人間が描けておらず、
「こりゃ、演じる役者さんが可愛そう。きっと楽しくないに違いない」
と思うほど登場人物に感情移入できない残念な仕上がりになっているのだった。

このような画面づくりは最近の若いクリエーターの作品に多い。
とりわけ芸大やデジタル系のアート専門学校の学生が作成する画像にこういう手合の作品が多く、
「テクニック」
を駆使し、
「描写力でアッ!」
と言わせ、
「どうだ、すごいでしょ^^」
という仕上がりなのだが、正直言ってパソコンのキーは触れても鉛筆使って手描きのスケッチなど描けそうにないスキルなんじゃないかと疑ってしまうくらいだ。

これでは高校の文化祭で学生諸君が作っている映像作品のほうがよほど楽しいんはないかと思うのだ。

映画の好きな人ならよくわかると思うけれども、下手なリアルCGよりも手書きの絵や人形アニメーションのほうが感情移入しやすいケースは少なくない。
CGならフォレストガンプの卓球シーンのように、CGと思わせない魅せ方というものがあるはず。

ということで、ビデオゲームに興味のないので次回からの大河ドラマもたぶん見ることは無いだろう。



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