蒼穹に馳せる、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/1d/f8685e9cad276e764a4fa68f2609368b.jpg)
虹の花、Messenger of Truth ―William Wordsworth×万葉集
西洋でアヤメ属は「アイリス」ですが、ローマ神話で至高の女神ジュノーに仕えていた侍女イリスが由来の命名です。
美少女イリスはジュノーの夫で全能神ジュピターから口説かれてしまい、困った彼女は遠く逃して欲しいとジュノーに願います。
そこでジュノーは七彩きらめく首飾りをイリスに与えると、神の酒を三回振りかけて彼女に天駈ける力を授けました。
このとき滴り落ちた神の酒が地上に降り、その雫から咲いた花が「イリスの花」アイリスです。
アイリスは黄色から薄紅、紫、白などの濃淡に花色が豊富で、連なり咲く光彩のラインは華やか。
そんな色彩の豊かさから虹のイメージにつながってイリスの花になったんでしょうね。
そうして翼を持ったイリスは天上と地上を結ぶ「神の使者」伝言を司る女神となりました。
彼女が空を駈けてゆくとき七彩の薄衣は翻り首飾り煌めいて、その軌跡が七彩に輝く虹です。
アイリスの花言葉は「吉報、消息、恋のメッセージ」などイリスに因んだものになります。
このうち「恋のメッセージ」はイリスが愛の神エロースの母であることが由来です。
神の伝言者が天地を渡して描く七彩の光。
そんな神話を起源として「虹」は希望の象徴に仰がれます。
My heart leaps up when I behold A rainbow in the sky
So was it when my life began,
So is it now I am a man
So be it when I shall grow old Or let me die
The Child is father of the Man
And I could wish my days to be Bound each to each by natural piety
私の心は弾む 空に虹がかかるのを見るとき
私の幼い頃も そうだった
大人の今も そうである
年経て老いたときもそうでありたい さもなくば私に終焉を
子供は大人の父
われ生きる日々が願わくば 自然への畏敬で結ばれんことを
William Wordsworth「The Rainbow」連載中の小説で何度も引用しているワーズワス代表作です。
夢、希望、輝き、そんな意味をこめワーズワスは「rainbow」を謳います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/51/4c6ec723ba392b715e0015bf50491cad.jpg)
日本でアヤメ属の花は、綾目あやめ、杜若かきつばた、菖蒲しょうぶ。
この3つはよく似た花ですが見分け方をご存知ですか?
綾目は菖蒲・文目とも書きますが、花色は紫か白で外側の花びらに黄色の模様、花期は5月上~中旬。
植生地が乾地であること、花びらに網目が見られること、この2点が他二つとの大きな差です。
杜若は花びらの付根が白+青紫・紫・白の三色で絞り模様もあり5月中旬~下旬、水中や湿地などに育ちます。
花菖蒲の花びらは付根が黄色+赤紫・紫の外にも花色が豊富で湿地に生え、花期はラストで6月上~下旬です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/43/d96d8acb5f5357ea73bd585469facc75.jpg)
吾のみや かく戀すらむ垣津旗 丹頬合ふ妹は いかにかあるらむ 作者未詳
私だけだろうか、こんなに戀するのは。
君との間垣に旗をふり、想いを示し告げたいのは自分だけ?
杜若のように美しい君、紅匂わす頬の君はどう想ってくれている?
紅潮に華やぐ頬と頬ふれ合わせ、逢瀬に見つめ合った恋人は今どうしているだろう。
『万葉集』巻二十に掲載の相聞歌、いわゆるラブレターとして詠まれた歌になります。
杜若の花に恋人を見つめて相手の心を尋ねたいと願う、恋愛のもどかしい空気感は今昔同じですね、笑
歌中の垣津旗は万葉仮名で「かきつはた」と清音で読み「かきつばた」と濁音には発音しません。
この万葉仮名のまま「間垣=心の壁」+「旗=意思表示の旗」と、花の杜若をかけて訳してあります。
本来「旗」は意思伝達の手段に使われていた道具で、今でも祝日に旗を揚げるのはその日を祝う気持の表現です。
恋しい気持ちを相手に伝える「間垣の旗」として杜若を詠むのは、アイリスの花言葉「恋のメッセージ」と似ています。
「丹頬合ふ」は万葉仮名で「につらう」と読みますが、こちらも意味二つ採っています。
丹は赤土の色で化粧品なら頬紅を示し、口紅やアイラインは「紅」「朱」で表す事が多いです。
この丹や朱はいわゆる赤土で、硫化水銀や酸化鉄、酸化鉛など鉱物系なためにモノによったら毒性あり。
これら鉄系の赤色は赭「そほ」とも言い水銀系は真赭「まほそ」でした、で、紅は植物の紅花や茜草が原料です。
そして頬合ふの「合う」は「似合う」と「ふれ合わす」の二つ意味があるのでそのまま訳しています。
なので「丹」についても頬紅=紅匂わすと紅潮した頬と2つに解釈してみました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/b5/4c7dfe7b9b406075380a9540218e81f7.jpg)
第66話「光望2」と「天津風13」加筆校正が終わっています。
コレもあとで加筆しますが、そのあと短編ひとつUP出来たら良いなってとこです。
取り急ぎ、
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虹の花、Messenger of Truth ―William Wordsworth×万葉集
西洋でアヤメ属は「アイリス」ですが、ローマ神話で至高の女神ジュノーに仕えていた侍女イリスが由来の命名です。
美少女イリスはジュノーの夫で全能神ジュピターから口説かれてしまい、困った彼女は遠く逃して欲しいとジュノーに願います。
そこでジュノーは七彩きらめく首飾りをイリスに与えると、神の酒を三回振りかけて彼女に天駈ける力を授けました。
このとき滴り落ちた神の酒が地上に降り、その雫から咲いた花が「イリスの花」アイリスです。
アイリスは黄色から薄紅、紫、白などの濃淡に花色が豊富で、連なり咲く光彩のラインは華やか。
そんな色彩の豊かさから虹のイメージにつながってイリスの花になったんでしょうね。
そうして翼を持ったイリスは天上と地上を結ぶ「神の使者」伝言を司る女神となりました。
彼女が空を駈けてゆくとき七彩の薄衣は翻り首飾り煌めいて、その軌跡が七彩に輝く虹です。
アイリスの花言葉は「吉報、消息、恋のメッセージ」などイリスに因んだものになります。
このうち「恋のメッセージ」はイリスが愛の神エロースの母であることが由来です。
神の伝言者が天地を渡して描く七彩の光。
そんな神話を起源として「虹」は希望の象徴に仰がれます。
My heart leaps up when I behold A rainbow in the sky
So was it when my life began,
So is it now I am a man
So be it when I shall grow old Or let me die
The Child is father of the Man
And I could wish my days to be Bound each to each by natural piety
私の心は弾む 空に虹がかかるのを見るとき
私の幼い頃も そうだった
大人の今も そうである
年経て老いたときもそうでありたい さもなくば私に終焉を
子供は大人の父
われ生きる日々が願わくば 自然への畏敬で結ばれんことを
William Wordsworth「The Rainbow」連載中の小説で何度も引用しているワーズワス代表作です。
夢、希望、輝き、そんな意味をこめワーズワスは「rainbow」を謳います。
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日本でアヤメ属の花は、綾目あやめ、杜若かきつばた、菖蒲しょうぶ。
この3つはよく似た花ですが見分け方をご存知ですか?
綾目は菖蒲・文目とも書きますが、花色は紫か白で外側の花びらに黄色の模様、花期は5月上~中旬。
植生地が乾地であること、花びらに網目が見られること、この2点が他二つとの大きな差です。
杜若は花びらの付根が白+青紫・紫・白の三色で絞り模様もあり5月中旬~下旬、水中や湿地などに育ちます。
花菖蒲の花びらは付根が黄色+赤紫・紫の外にも花色が豊富で湿地に生え、花期はラストで6月上~下旬です。
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吾のみや かく戀すらむ垣津旗 丹頬合ふ妹は いかにかあるらむ 作者未詳
私だけだろうか、こんなに戀するのは。
君との間垣に旗をふり、想いを示し告げたいのは自分だけ?
杜若のように美しい君、紅匂わす頬の君はどう想ってくれている?
紅潮に華やぐ頬と頬ふれ合わせ、逢瀬に見つめ合った恋人は今どうしているだろう。
『万葉集』巻二十に掲載の相聞歌、いわゆるラブレターとして詠まれた歌になります。
杜若の花に恋人を見つめて相手の心を尋ねたいと願う、恋愛のもどかしい空気感は今昔同じですね、笑
歌中の垣津旗は万葉仮名で「かきつはた」と清音で読み「かきつばた」と濁音には発音しません。
この万葉仮名のまま「間垣=心の壁」+「旗=意思表示の旗」と、花の杜若をかけて訳してあります。
本来「旗」は意思伝達の手段に使われていた道具で、今でも祝日に旗を揚げるのはその日を祝う気持の表現です。
恋しい気持ちを相手に伝える「間垣の旗」として杜若を詠むのは、アイリスの花言葉「恋のメッセージ」と似ています。
「丹頬合ふ」は万葉仮名で「につらう」と読みますが、こちらも意味二つ採っています。
丹は赤土の色で化粧品なら頬紅を示し、口紅やアイラインは「紅」「朱」で表す事が多いです。
この丹や朱はいわゆる赤土で、硫化水銀や酸化鉄、酸化鉛など鉱物系なためにモノによったら毒性あり。
これら鉄系の赤色は赭「そほ」とも言い水銀系は真赭「まほそ」でした、で、紅は植物の紅花や茜草が原料です。
そして頬合ふの「合う」は「似合う」と「ふれ合わす」の二つ意味があるのでそのまま訳しています。
なので「丹」についても頬紅=紅匂わすと紅潮した頬と2つに解釈してみました。
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第66話「光望2」と「天津風13」加筆校正が終わっています。
コレもあとで加筆しますが、そのあと短編ひとつUP出来たら良いなってとこです。
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