Drown my world with my weeping earnestly,

secret talk29 花翳の夢―dead of night
冬の風、それでも花は春。
そうして映る、優しい幸福。
「…きれいだ、」
微笑んで薄紅ふる、光舞う。
薄紅くるくる風さそう、額ふる陽やわらかに照る。
頬しみだす冷たい風、それなのに明るい優しい花に鼓動そっと緩む、ほら?
―…英二?
君が呼ぶ、ずっと前に聞いた声。
あの声どれくらい聞いていないだろう、逢えていない?
たぐらす想い花のもと、真紅の花束そっと抱きしめた。
「逢いたいよ…周太?」
呼びかけて花が香る、紅い花と薄紅の枝。
花束なのか梢の花か、ただ甘い馥郁ゆだねて心追う。
―…これ、僕に?
黒目がちの瞳が見あげる、黒髪やわらかな額がかわいい。
あの瞳たしかに花束を喜んだ、けれど何年すぎてしまったろう?
「周太…いまでも喜んでくれる?」
花に尋ねて薄紅ふる。
この花あの庭も咲いていた、今も咲くだろうか?
あの幸福そのまま馥郁は咲いて、そこに君はいてくれる?
あの花翳どうかそのままで、君の瞳あの日のままで。
これが最後だとしても。
【引用詩文:John Donne「HOLY SONNETS:DIVINE MEDITATIONS」】

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英二side story予告編@第85話+XX日

secret talk29 花翳の夢―dead of night
冬の風、それでも花は春。
そうして映る、優しい幸福。
「…きれいだ、」
微笑んで薄紅ふる、光舞う。
薄紅くるくる風さそう、額ふる陽やわらかに照る。
頬しみだす冷たい風、それなのに明るい優しい花に鼓動そっと緩む、ほら?
―…英二?
君が呼ぶ、ずっと前に聞いた声。
あの声どれくらい聞いていないだろう、逢えていない?
たぐらす想い花のもと、真紅の花束そっと抱きしめた。
「逢いたいよ…周太?」
呼びかけて花が香る、紅い花と薄紅の枝。
花束なのか梢の花か、ただ甘い馥郁ゆだねて心追う。
―…これ、僕に?
黒目がちの瞳が見あげる、黒髪やわらかな額がかわいい。
あの瞳たしかに花束を喜んだ、けれど何年すぎてしまったろう?
「周太…いまでも喜んでくれる?」
花に尋ねて薄紅ふる。
この花あの庭も咲いていた、今も咲くだろうか?
あの幸福そのまま馥郁は咲いて、そこに君はいてくれる?
あの花翳どうかそのままで、君の瞳あの日のままで。
これが最後だとしても。
【引用詩文:John Donne「HOLY SONNETS:DIVINE MEDITATIONS」】



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