風のごと、時も祈りも
第65話 如風act.1―another,side story「陽はまた昇る」
The Rose of Battle
Rose of all Roses, Rose of all the World!
The tall thought-woven sails, that flap unfurled
Above the tide of hours, trouble the air,
And God’s bell buoyed to be the water’s care;
…
Rose of all Roses, Rose of all the World!
You, too, have come where the dim tides are hurled
Upon the wharves of sorrow, and heard ring
The bell that calls us on; the sweet far thing.
Beauty grown sad with its eternity
Made you of us, and of the dim grey sea.
W.B. Yeats「The Rose of Battle」を綴る印字の空白、夕陽染まりゆく筆跡は踊る。
この詩だけでは無い、アイルランド詩人の詩集は頁の全てに注釈が書きこまれている。
狭いベッドに横たわり開いた本、流麗な筆記体はブルーブラックで細かな文字を綴りこむ。
窓ふる黄昏に照らされた万年筆の筆跡は懐かしい、この字癖は幼い頃から見慣れるままに知っている。
―お父さん、こんなにいっぱい注釈を書いてある…すごい、
見つめている筆跡の内容に溜息こぼれてしまう。
大学附属図書館には父の寄贈書が一角を占める、そこからこの本も借りてきた。
いま開いてゆくページはどれも父の筆跡を躍らす、その大半がラテン語で綴られてある。
こんなふうにラテン語を自在に遣うことは稀有だろう、そんな父の姿が行間の注釈に浮き彫りされる。
「ね…本当に英文学の学者さんだったんだね、お父さんは…そうでしょう?」
そっと語りかけるページ、父の肉筆は夕陽に明るます。
すこし開けた窓から夕凪の風は吹く、その涼やかな指がベッドに開く本を捲ろうとする。
そんな無作為の戯れは、懐かしい時間の記憶ごとページを繰って心が15年を超えてゆく。
―…周、ちょっと本から手を離してくれるかな、ページが捲れないよ…それとも、もう一度ここを読んでほしいの?
穏やかなトーンの声が微笑んで大きな手が本を繰る。
抱き上げてくれる膝の温もり、頭の上から降る優しい声、甘く重厚な父の香。
あの頃いつも読んでもらった英国詩の一節を想いながら、今この手で開く詩に周太は微笑んだ。
「お父さん、この詩ね…誰かさんのことみたいって思うんだけど…お父さんも詩を読んで、そういうこと想ったりした?」
夕刻のベッド、ひとり詩の一節に羞みながら微笑んでしまう。
この詩は題名からもう「誰かさん」そのまんまに想えて、なんだか可笑しい。
遠い遥かなアイルランドの詩人に謳われた詩に、父は何を読みとり見つめたのだろう?
そんな想像に微笑んで、ふっと胸が迫り上げて咳ひとつ噎せこみ周太は起きあがった。
「…こほっ、ん…、こんっ、」
やっぱり咳が出る、そんな予想通りに心が緊張する。
その緊張から肩の力を抜きながら、片隅の鞄を開いて薬袋とテルモスを取出す。
すぐテルモスの水で薬を飲み下し、またベッドで横になると詩集のページを開き溜息を吐いた。
―やっぱり射撃訓練すると少し辛い…ね、
第七機動隊銃器対策レンジャー、そこに所属する以上は射撃訓練がある。
そんなこと最初から解っていた、けれど予想以上に射撃の硝煙や埃は苦しい。
こんな体質だと知らず選んでしまった進路、けれど超える為には進むしかない場所に居る。
―…喘息の方が喫煙すると肺気腫という病気になって肺を壊してしまいます。空気の汚い所も避けてほしいです。
風邪など気管支の炎症を起こさないよう注意…炎症が慢性化すると完治が難しくなります。今の発作が無い状態を維持しましょう…
それから出来るだけ睡眠を摂って疲れを溜めないこと。睡眠不足と疲労と、煙草など汚い空気を避ける。それが出来れば治ります、
数日前に雅人医師が教えてくれた言いつけが、自分の体にとって唯ひとつの光明でいる。
あの篤実で優しく強い言葉と懐が今、こうしてベッドに臥す時間の支えになって温かい。
―本当は退職を勧めてくれたのに、すぐ養生しなさいって…なのに無理を言って雅人先生ごめんなさい、ありがとうございます、
弟を亡くしている雅人なら、きっと自分が父を追う気持ちも理解して援けてくれる。
そう信じて飛びこんだ懐は思ったより広やかに温かで、こんなにも自分を支える安堵が優しい。
もし雅人に主治医を引き受けてもらえなかったら独り黙って喘息を抱えたまま現場で斃れたろう。
そんな雅人に会えたのは春3月、英二が雪崩に遭難したことが始まりだった。
―英二を雅人先生が担当してくれて、それで俺も面識があったから診察を頼めて…お父さん、こういうの不思議だね?
雪崩に遭った英二の枕元、哀しくて苦しくて、それでも希望を見つめて看病した。
あのとき雅人に出会えたから今、こうして自分の主治医となってもらえて救われている。
こんなふう物事は帰結の禍福など解らない、そんな思案する枕元で携帯電話が振動した。
「…あ、」
携帯電話の音に息を呑む、今日に起きた予定変更が鼓動を絞める。
今日九月一日は英二の異動日、けれど昼に着任予定だったのに未だ到着した気配が無い。
―怖い、
怖い、英二に何かあったと思うと怖い。
もし英二に異変があれば身元引受人である母に第一報が来る。
そうしたら母は自分に電話をくれるだろう、または事情を知る後藤から自分に直接連絡が来る。
もう一人の引受人である英二の実姉、英理から連絡が来る可能性もあるだろう、だから今、この3つの番号から着信なら?
そんな不安に胸がまた迫り上げそうになって、深呼吸ひとつに落着かせると周太は静かに携帯電話を開きナンバーを見た。
「あ、美代さん?」
見慣れた電話番号と発信人名に肩の力ほどかれる。
きっと大学入試の受験勉強か講義の予習か、このあいだ一緒に読んだ論文の話だろう?
いつもの定期便な電話が嬉しくて微笑んで、寝転んだまま周太は繋いだ先に笑いかけた。
「おつかれさま、美代さん、」
「おつかれさま湯原くん、あのね、宮田くんなら大丈夫よ?」
朗らかな声が予想外を告げてくれる、その意味が嬉しい。
ほっとして寛いだ笑顔のまんま周太は友達に尋ねた。
「美代さん、英二が遅れている理由を知ってるの?」
「そうよ、だから湯原くんの終業時間を計って電話したの、あのね、宮田くんはレスキューに出てるから遅いの、」
やっぱりそうだった。
これは予想通りの解答、けれど嬉しい安堵が込みあげる。
そして美代のトーンから無事だと伝わって嬉しい、そんな予想のままを電話向うは教えてくれた。
「私、秀介ちゃんと青梅署まで宮田くんの見送りに行ったでしょ?それで藤岡くん達も一緒に駐車場で話してたら救助要請が来て。
すぐ宮田くん光ちゃんに電話したみたい、そのまま車で着替えて現場に行っちゃったの、救助終ったら府中に行くって言ってたけど、」
駐車場で救助要請がくるなんて本当に最後の最後だ?
そんなタイミングが何だか英二らしくて嬉しい、そんな想いに周太は微笑んだ。
「英二らしいね、そういうの…もう救助も終わったみたい?」
「うん、さっき御岳の駐在所のぞいたらね、岩崎さんと原くんが戻ってたから大丈夫よ?」
朗らかに笑ってくれる声に安堵が温かい、その温もり一滴ゆるやかに頬伝う。
こんなにも無事が嬉しい、そう気づかされるまま自分の現実に勇気ひとつ生まれる。
―こんな想いを英二にさせたくない、だから絶対に負けない、
喘息を抱える体で銃器対策レンジャーに在籍することは、容易じゃない現実を起こす。
それ以上に厳しい現実が直に始まるだろう、それでも自分は病にも状況にも決して屈しない。
そう願う想いに数日前の記憶から、明朗な笑顔が穏やかな声で言ってくれた。
『生きよう。大丈夫だ、なんとかするよ』
あの言葉を信じる、そう決めて自分は今もベッドに体を休ます。
それは小さな抵抗かもしれない、それでも0.1%でも可能性が近づくなら精一杯に努力する。
そんな勇気ひとつ微笑んで、周太はベッドサイドのライトを点けると電話向うへ笑いかけた。
「ありがとう、美代さん。ね、勉強の質問あるんでしょ?夕飯まで少し時間あるから今、大丈夫だよ?」
「嬉しい、あのね、国語の漢文解釈なんだけど良い?」
すこしトーンが弾んで笑ってくれる、その空気に美代の抱く寂しさが伝わらす。
今日で英二が御岳駐在所から異動した、それは美代にとって寂しくないはずが無い。
―好きな人と、英二と離れるのは寂しいよね?見ているだけでも幸せな人を見られなくなるのは、
この友達の想いはきっと自分がいちばん解かる、だって同じ人を好きだから。
その人は今日から自分と同じ場所に住む、そうして美代と自分は居場所の距離が逆になる。
その前は自分が英二から遠ざかる寂しさを二度見つめた、だからこそ美代の今の気持ちはよく解かる。
―すこしでも俺が笑わせてあげられたら良いな、すこしでも寂しいの紛れるように、
解かるからこそ自分が美代を笑わせてあげたい、そして寂しさを分けてほしい。
そう願うまま周太はレポート用紙とペンを手許に置き、ベッドに寝そべったまま電話の向こうへ笑いかけた。
「はい、準備出来たよ?まず問題の漢文を教えてくれる?」
【引用詩歌:William Butler Yeats「The Rose of Battle」】
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第65話 如風act.1―another,side story「陽はまた昇る」
The Rose of Battle
Rose of all Roses, Rose of all the World!
The tall thought-woven sails, that flap unfurled
Above the tide of hours, trouble the air,
And God’s bell buoyed to be the water’s care;
…
Rose of all Roses, Rose of all the World!
You, too, have come where the dim tides are hurled
Upon the wharves of sorrow, and heard ring
The bell that calls us on; the sweet far thing.
Beauty grown sad with its eternity
Made you of us, and of the dim grey sea.
W.B. Yeats「The Rose of Battle」を綴る印字の空白、夕陽染まりゆく筆跡は踊る。
この詩だけでは無い、アイルランド詩人の詩集は頁の全てに注釈が書きこまれている。
狭いベッドに横たわり開いた本、流麗な筆記体はブルーブラックで細かな文字を綴りこむ。
窓ふる黄昏に照らされた万年筆の筆跡は懐かしい、この字癖は幼い頃から見慣れるままに知っている。
―お父さん、こんなにいっぱい注釈を書いてある…すごい、
見つめている筆跡の内容に溜息こぼれてしまう。
大学附属図書館には父の寄贈書が一角を占める、そこからこの本も借りてきた。
いま開いてゆくページはどれも父の筆跡を躍らす、その大半がラテン語で綴られてある。
こんなふうにラテン語を自在に遣うことは稀有だろう、そんな父の姿が行間の注釈に浮き彫りされる。
「ね…本当に英文学の学者さんだったんだね、お父さんは…そうでしょう?」
そっと語りかけるページ、父の肉筆は夕陽に明るます。
すこし開けた窓から夕凪の風は吹く、その涼やかな指がベッドに開く本を捲ろうとする。
そんな無作為の戯れは、懐かしい時間の記憶ごとページを繰って心が15年を超えてゆく。
―…周、ちょっと本から手を離してくれるかな、ページが捲れないよ…それとも、もう一度ここを読んでほしいの?
穏やかなトーンの声が微笑んで大きな手が本を繰る。
抱き上げてくれる膝の温もり、頭の上から降る優しい声、甘く重厚な父の香。
あの頃いつも読んでもらった英国詩の一節を想いながら、今この手で開く詩に周太は微笑んだ。
「お父さん、この詩ね…誰かさんのことみたいって思うんだけど…お父さんも詩を読んで、そういうこと想ったりした?」
夕刻のベッド、ひとり詩の一節に羞みながら微笑んでしまう。
この詩は題名からもう「誰かさん」そのまんまに想えて、なんだか可笑しい。
遠い遥かなアイルランドの詩人に謳われた詩に、父は何を読みとり見つめたのだろう?
そんな想像に微笑んで、ふっと胸が迫り上げて咳ひとつ噎せこみ周太は起きあがった。
「…こほっ、ん…、こんっ、」
やっぱり咳が出る、そんな予想通りに心が緊張する。
その緊張から肩の力を抜きながら、片隅の鞄を開いて薬袋とテルモスを取出す。
すぐテルモスの水で薬を飲み下し、またベッドで横になると詩集のページを開き溜息を吐いた。
―やっぱり射撃訓練すると少し辛い…ね、
第七機動隊銃器対策レンジャー、そこに所属する以上は射撃訓練がある。
そんなこと最初から解っていた、けれど予想以上に射撃の硝煙や埃は苦しい。
こんな体質だと知らず選んでしまった進路、けれど超える為には進むしかない場所に居る。
―…喘息の方が喫煙すると肺気腫という病気になって肺を壊してしまいます。空気の汚い所も避けてほしいです。
風邪など気管支の炎症を起こさないよう注意…炎症が慢性化すると完治が難しくなります。今の発作が無い状態を維持しましょう…
それから出来るだけ睡眠を摂って疲れを溜めないこと。睡眠不足と疲労と、煙草など汚い空気を避ける。それが出来れば治ります、
数日前に雅人医師が教えてくれた言いつけが、自分の体にとって唯ひとつの光明でいる。
あの篤実で優しく強い言葉と懐が今、こうしてベッドに臥す時間の支えになって温かい。
―本当は退職を勧めてくれたのに、すぐ養生しなさいって…なのに無理を言って雅人先生ごめんなさい、ありがとうございます、
弟を亡くしている雅人なら、きっと自分が父を追う気持ちも理解して援けてくれる。
そう信じて飛びこんだ懐は思ったより広やかに温かで、こんなにも自分を支える安堵が優しい。
もし雅人に主治医を引き受けてもらえなかったら独り黙って喘息を抱えたまま現場で斃れたろう。
そんな雅人に会えたのは春3月、英二が雪崩に遭難したことが始まりだった。
―英二を雅人先生が担当してくれて、それで俺も面識があったから診察を頼めて…お父さん、こういうの不思議だね?
雪崩に遭った英二の枕元、哀しくて苦しくて、それでも希望を見つめて看病した。
あのとき雅人に出会えたから今、こうして自分の主治医となってもらえて救われている。
こんなふう物事は帰結の禍福など解らない、そんな思案する枕元で携帯電話が振動した。
「…あ、」
携帯電話の音に息を呑む、今日に起きた予定変更が鼓動を絞める。
今日九月一日は英二の異動日、けれど昼に着任予定だったのに未だ到着した気配が無い。
―怖い、
怖い、英二に何かあったと思うと怖い。
もし英二に異変があれば身元引受人である母に第一報が来る。
そうしたら母は自分に電話をくれるだろう、または事情を知る後藤から自分に直接連絡が来る。
もう一人の引受人である英二の実姉、英理から連絡が来る可能性もあるだろう、だから今、この3つの番号から着信なら?
そんな不安に胸がまた迫り上げそうになって、深呼吸ひとつに落着かせると周太は静かに携帯電話を開きナンバーを見た。
「あ、美代さん?」
見慣れた電話番号と発信人名に肩の力ほどかれる。
きっと大学入試の受験勉強か講義の予習か、このあいだ一緒に読んだ論文の話だろう?
いつもの定期便な電話が嬉しくて微笑んで、寝転んだまま周太は繋いだ先に笑いかけた。
「おつかれさま、美代さん、」
「おつかれさま湯原くん、あのね、宮田くんなら大丈夫よ?」
朗らかな声が予想外を告げてくれる、その意味が嬉しい。
ほっとして寛いだ笑顔のまんま周太は友達に尋ねた。
「美代さん、英二が遅れている理由を知ってるの?」
「そうよ、だから湯原くんの終業時間を計って電話したの、あのね、宮田くんはレスキューに出てるから遅いの、」
やっぱりそうだった。
これは予想通りの解答、けれど嬉しい安堵が込みあげる。
そして美代のトーンから無事だと伝わって嬉しい、そんな予想のままを電話向うは教えてくれた。
「私、秀介ちゃんと青梅署まで宮田くんの見送りに行ったでしょ?それで藤岡くん達も一緒に駐車場で話してたら救助要請が来て。
すぐ宮田くん光ちゃんに電話したみたい、そのまま車で着替えて現場に行っちゃったの、救助終ったら府中に行くって言ってたけど、」
駐車場で救助要請がくるなんて本当に最後の最後だ?
そんなタイミングが何だか英二らしくて嬉しい、そんな想いに周太は微笑んだ。
「英二らしいね、そういうの…もう救助も終わったみたい?」
「うん、さっき御岳の駐在所のぞいたらね、岩崎さんと原くんが戻ってたから大丈夫よ?」
朗らかに笑ってくれる声に安堵が温かい、その温もり一滴ゆるやかに頬伝う。
こんなにも無事が嬉しい、そう気づかされるまま自分の現実に勇気ひとつ生まれる。
―こんな想いを英二にさせたくない、だから絶対に負けない、
喘息を抱える体で銃器対策レンジャーに在籍することは、容易じゃない現実を起こす。
それ以上に厳しい現実が直に始まるだろう、それでも自分は病にも状況にも決して屈しない。
そう願う想いに数日前の記憶から、明朗な笑顔が穏やかな声で言ってくれた。
『生きよう。大丈夫だ、なんとかするよ』
あの言葉を信じる、そう決めて自分は今もベッドに体を休ます。
それは小さな抵抗かもしれない、それでも0.1%でも可能性が近づくなら精一杯に努力する。
そんな勇気ひとつ微笑んで、周太はベッドサイドのライトを点けると電話向うへ笑いかけた。
「ありがとう、美代さん。ね、勉強の質問あるんでしょ?夕飯まで少し時間あるから今、大丈夫だよ?」
「嬉しい、あのね、国語の漢文解釈なんだけど良い?」
すこしトーンが弾んで笑ってくれる、その空気に美代の抱く寂しさが伝わらす。
今日で英二が御岳駐在所から異動した、それは美代にとって寂しくないはずが無い。
―好きな人と、英二と離れるのは寂しいよね?見ているだけでも幸せな人を見られなくなるのは、
この友達の想いはきっと自分がいちばん解かる、だって同じ人を好きだから。
その人は今日から自分と同じ場所に住む、そうして美代と自分は居場所の距離が逆になる。
その前は自分が英二から遠ざかる寂しさを二度見つめた、だからこそ美代の今の気持ちはよく解かる。
―すこしでも俺が笑わせてあげられたら良いな、すこしでも寂しいの紛れるように、
解かるからこそ自分が美代を笑わせてあげたい、そして寂しさを分けてほしい。
そう願うまま周太はレポート用紙とペンを手許に置き、ベッドに寝そべったまま電話の向こうへ笑いかけた。
「はい、準備出来たよ?まず問題の漢文を教えてくれる?」
【引用詩歌:William Butler Yeats「The Rose of Battle」】
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