萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

漣、水に光遊ぶ―Wordsworth×万葉集

2013-06-03 22:11:40 | 文学閑話韻文系
空満つ光、水きらめかせ 



漣、水に光遊ぶ―Wordsworth×万葉集

Five years have past; five summers, with the length
Of five long winters! and again I hear
These waters, rolling from their mountain-springs
With a soft inland murmur.-Once again

Nor perchance,
If I were not thus taught, should I the more
Suffer my genial spirits to decay:
For thou art with me here upon the banks
Of this fair river; thou me dearest Friend,
My dear, dear Friend; and in thy voice I catch
The language of my former heart, and read
My former pleasures in the shooting lights
Of thy wild eyes.

五年の月日が過ぎ去った 五つの夏、その長きと共に
五つの長き冬も。そして再び私は聴く 
この水たちは、山の泉たちから廻り来る
陸深き処のやわらかな囁きと共に、今再び

おそらくは、
もし例えば教えられなくとも、僕は
生まれたまんまに快活な僕の魂を枯れさせるなんてしない、
貴方の芸術と共に私はいる、この岸辺に、
この美しい河に、私の親しい友である貴方に、
親愛なる君、親しき友、貴方の声に私は捉えている
私が昔に想った言葉を、そして読みとっている、
私が昔に抱いた歓びを、貴方の天与なる瞳の輝ける眼差しに。

William Wordsworth「Lines Compose a Few Miles above Tintern Abbey」の抜粋です。
昨日撮った写真に合うかなと載せてみました、この詩みたいな思索は自分してないですけどね。笑

詩の後半「thou、thy」は汝・貴方って意味で、神など大きな存在へ向ける二人称みたいです。
なので今は祈祷で神などに呼び掛ける時、詩や古典調の文語として遣っています。
この詩では自然に対してワーズワスは敬愛こめて呼び掛けているみたいですね。
その後に「dear」親愛なる、って表現があるからソウ解釈して訳してみました。



泊瀬川 流るる水尾の湍を早み ゐ堤越す浪の音の清け久  詠み人知らず

泊瀬川の流れは水脈の瀬は速い
堤も越える波の音は、遥か昔から清らかに響く
私の想いも脈々と速まり心の堰を越える、ずっと清らかなままに

いつもの『万葉集』第七巻から引用した歌です。
この「瀬を早み」は気持の高まりに遣われることが多く「堤」「越す」セットだと、
心を抑えている堰を越える=気持が高まっちゃって一線を越えたい、って意味が多いです。
この気持は言うまでもなく恋愛なことが多く、たまに陰謀の実行を謳うケースもあります。



昨日UP短篇連載「不盡の笛2」加筆校正が終わっています。
このあと第65話「如風1」の加筆校正をしていく予定です。

取り急ぎ、








blogramランキング参加中!

人気ブログランキングへ

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第65話 如風act.1―another,s... | トップ | 虹を呼ぶ花―万葉集×William W... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

文学閑話韻文系」カテゴリの最新記事