萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

山岳点景:九輪草の丘にて

2015-06-20 22:30:00 | 写真:山岳点景
万緑叢中 紅露一滴



山岳点景:九輪草の丘にて

今夏も薄紅あざやかです。
雨上がりの山、雫まとった花は朝陽きらめきます。



ここは標高1,600メートルあたり、知られていない秘密の花園です。
去年に見つけて、そして今日も惹かれてシャッターいくつも押しました、笑



雲駈けてゆく梅雨の晴れ間、草原にゆれる紅いろ輝きます。

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第83話 雪嶺 act.5-side story「陽はまた昇る」

2015-06-19 23:30:29 | 陽はまた昇るside story
Nor all that is at enmity with joy 感情の邂逅
英二24歳3月



第83話 雪嶺 act.5-side story「陽はまた昇る」

山は山岳レンジャーの領分です。

明瞭な言葉、その声は凛然とゆるがない。
いつもどおり底抜けに明るい瞳まっすぐに上司は続けた。

「いま山頂から雲が降りてきています、これは吹雪です。あと1時間でここも雪に巻かれるでしょう、そんな天候に出たら死にます、」

声は徹って幕営を張りめぐる。
譲る気はない、そんな凛然が問いかけた。

「現場は沢上部の小屋ですね?この幕営からいちばん近い、でも厳しい現状を浦部から説明します、」

この山で「立て籠もる」ならそこだろう。
脳裡に登山図ながめ英二はそっと笑った。

―光一が言う通りそこだろうけど絶体絶命だな、冬の今は、

行ったことがある、だから今の状況もう解かる。
あの場所なら狙撃ポイントは?考える隣から地元の男も告げた。

「ガイドとして申し上げます、あの小屋あたりは雪崩の巣窟です。今の時季とくに寒暖差で雪がゆるみます、そこでの発砲は危険です、」

ほら、やっぱり同じ意見だ。

―浦部さんは長野の山について信用できる、いつもならムカつくけどさ?

本音うちに笑いたくなる、だって今こんな時も反発したい。
それはテーブルむこう小柄なアサルトスーツ姿のせいだ、その一人が口開いた。

「班長、私も同じ意見です。出発は明朝にするべきです、」

恬淡、そんな声が朗々と告げる。
マスクで顔隠して、けれど声よく徹って聴きやすい。
身長も高くない小柄な男、けれど大らかに沈毅な声は続けた。

「吹雪と雪崩のリスクを冒したところで途中ビバークするしかありません、どうせ現場に着けないなら明日朝に出ても同じです、私は行かせません、」

落着いた声は低く深い。
この声は自分は知らない、だから当たりだ。

―やっぱり右が周太だ、そして行かせないってことは、

ほら、君が一緒に行くんだ。

いま選択の岐路にいる、その隣いるのはやっぱり君だ。
いま議論はさんで沈黙して、それでも君は共に心呟くのだろう。
そう信じたいテーブルの上、浦部が登山図のコピー1枚ひろげた。

「今いる地点はここです、現場の小屋はこちらで間違いありませんね?」

問いかけながらマーカー出してチェックする。
現在地は赤い丸されランプにゆれる、LEDの灯にマスクの顔は頷いた。

「ここです、小屋の窓を狙えるポイントを教えてください、」
「はい、窓は2方向でどちらも小さいです、」

説明しながら赤で×描く手が白い。
元からの色白が蒼いようで、それでも穏やかな声は言った。

「雪への耐性を重視した山小屋です、そのため窓は小さく2ヶ所だけ、入口も1つで壁も頑丈な造りになっています。北側に面した窓は山頂方面、もう一方は麓への尾根の眺望がいいです。周りの樹林帯も小屋より低いので隠れるポイントはありません、荷揚げや救助ヘリのホイストするポイントなため上空の動きも小屋から見えます、」

説明の言葉に現状対応は難しい。
重たくなってゆく中心で大きな手は着実にラインひいた。

「銃座になり得るのは北側の窓サイドでしょう。小屋から見つからず回りこむルートは2つです、どちらも雪のコンディション次第でリスクが高くなります、」

きゅっ、きゅきゅっ、

ペン先の鳴りながら赤く道が示される。
どちらのルートも懐かしい、そう見つめるまま呼ばれた。

「宮田さん、どちらのルートも経験ありましたよね?意見お願いします、」
「はい、」

穏やかに微笑んで脳裡に道が描かれる。
ここは昨冬も歩いた山、だからこそ気懸りな事実を告げた。

「セラック崩壊が心配です、こちらの斜面は今年もセラックがありますよね?」

こちらの斜面、

そう告げて指さしたポイントに仲間ふたりため息吐く。
何を言いたいか?なんて聴かなくても解かる、そんな信頼と微笑んだ。

「でも銃座のポイントはこの斜面でしょうか、ここは大きな雪壁が毎年できますよね、浦部さん?」

山頂を仰ぐ北斜面、そこへ回りこむルートは小屋から見えない。
そして「遮るもの」はこれ以外ないだろう、択一の場所に地元出身者は肯いた。

「できます、ただブッシュ帯なので足場から崩れる危険があります。上部でセラック崩壊が起きれば連動しやすいです、下は遮るものが樹林帯までありません、」

あやうい脆い場所、けれど他に隠れられる場所も無い。
こんな択一に解かりきった事実を微笑んだ。

「もし雪崩に巻きこまれたら止まれませんね、」

止まれない、そして長時間を雪に流されることになる。
リスク様々にからみつく、そんな現実に低くテノールが言った。

「難しい場所だね、そんなとこへ部下はやれません。行動開始は早くても午前4時です、天候の回復と雪が硬い時間を狙いましょう、」

ばっさり断言がテーブルむこうに笑いかける。
底抜けに明るい瞳の真直ぐ先、壮年のアサルトスーツ姿は言った。

「人質の安全確保が最優先事項だ、1時間後には出てもらう、」

譲るつもりはない、命令を聴け。

そんな傲岸が声を表情を覆っている。
おそらく五十前後、壮年の鋭利な顔にマスクの横顔ふりむいた。

「班長、私も午前4時以降と判断します。この天候では出せません、なにより計画が無茶です、現場を担当する方の意見を尊重すべきと思います、」

低くても大らかに徹る声、その眼差しは見憶えない。
いま初対面の男だろう、けれど信頼できるかもしれない。

―周太を庇おうとしてる、SATでのパートナーか、

おだやかに沈毅な声と視線、でも若いだろう?
若くなければ最前線には立てないはずの部署、それを示す黒いマスクの顔に笑いかけた。

「ありがとうございます、」

ありがとう、そう告げておきたい。
だって大切な人を傍で支えてくれる、だから言っておきたい。
だって自分は12時間後どこにいるだろう?その予想に壮年の指揮官は言った。

「立籠もり犯の対応なら我々が専門だ、この現場は立籠もり事件にある、私の判断が最優先されるべき事件だ、1時間後に出発しろ、」

ずいぶんと頭でっかちだな?
そんな感想つい笑いたくなる、嘲笑と、そして疑念と推測が浮びだす。

―ここまで頑固に言い張るのは観碕の命令かな、でも?

あの男、観碕征治が見ている?

そう想わされる言動と「人質」は無関係と言えない。
そして自分自身も責任無いとは言いないのだろう、もう退けない今に上司が言った。

「午前4時でも1時間後でも到着時間は同じです、この天候では行動不能に陥りますからね?ドッチも一緒なら命の安全を選びましょう、」

結果は一緒、それなら生存可能性を採るべきだ。
それは当たり前の発想だろう、けれど指揮官の腕章つけた男は首振った。

「人質の安全が我々の任務だ、1時間後の出発は上からの指示でもある、任務に命を惜しんでレスキューと言えるのか?」

あ、その言い方きっと危ないな?

―まずいな、久しぶりに切れるかも?

いまNGワードが出てしまった、もう止められないだろう。
諦めと期待とミックスされる隣からテノールまっすぐ場を刺した。

「あのさあ、ナンで俺たち七機が出張ったと思ってんの?ヨソサマの山域にさあ、ねえ?」

ほら、この言葉遣い出たらもう止められない。

「この悪天候でさあ、県内全域とっくに遭難でまくってんの、だから県警が動けないんだろが?県警が動けねえから俺たち七機が出張ってんだよ、ねえ?」

その通り、だから止めることも自分には出来ない。
怒りたくなるのも当然だ、納得するままに凄絶な横顔は唇の端あげた。

「県警がキャパオーバーしちゃうほどの遭難率だって解かんねえのかなあ、もう県警だってビバーク入るよって無線きましたよねえ?ソンクライの現場状況マサカ把握していないとかアリエマセンよね、特殊部隊の指揮官ですもんねえ?キッチリ状況わかったウエで仰ってんですよね、アタリマエですもんねえ、」

しばらくぶりな口調なんだかほっとする?
つい笑いたくなって堪える隣、上司は一撃ぐっさり微笑んだ。

「こんなサイテー状況を冗談で和ませておられるんでしょう、指揮官ラシイ心遣いおそれいります。さ、午前4時の計画キッチリ詰めましょうか、」



(to be continued)

【引用詩文:William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】

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深夜閑話@緩和の癒し

2015-06-19 23:00:00 | 雑談
ねころがるねこ



深夜閑話@緩和の癒し

なぜ手も足もこうするんだろう?
かわいいけど、笑



なんて写真を書いてる合間つい撮りました、笑

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深夜雑談@リアルLIAR GAME

2015-06-18 01:00:00 | 思考雑談
ココントコ話題にしている「消えたやつ」は、やっぱり騙されていた。

そいつと親しくなった女がいる、といっても某WEB空間でだけど。
教養ゆたかな才媛風ってカンジだった、良い時は良いカンジで話してつきあえるタイプ、
で、そいつがアレコレあって某WEB空間にINしなくなった後、彼女は「忙しくなったので辞めます」と言ってきた、

リアルが忙しくなった、
同時並行ができるほど器用じゃない、
だからアバターは知人に譲って自分は辞めます、
だから交流あるコミュニティはぜんぶ切って辞めます、また戻るかもだけど

なんて彼女は言ったから、同情して気にした人も当然いたわけで。
だがしかし「辞めます友も切りますサヨウナラ」言った当日その日さっそく彼女は遊んでいた。
以前も彼女は同じようなセリフで切ったコミュニティがある、そこで彼女は「www」と遊んでいたわけだけど、

辞めるって、それ5分間限定ですか?笑

どうせ交流切ったから追跡できないわバレナイワw
なんて思ったんだろう、が、ツメ甘すぎてバレています、
ってかバレテ良いわってツモリなのか?バレて良いんなら例えばコンナカンジに呼んでいいはずだ、

嘘吐き蝙蝠女?でなかったら粉飾決算女史?笑

1.辞めると宣言したなら言葉どおり辞めたらいい
2.続けるけど絡まないんならそう正直に言えばいい

アレコレヤラカシすぎてしまった結果、彼女が居辛いのは誰も納得していた、
だから「居辛いから交流やめます」で誰も何も責めなかったろう、気持よく「今までありがとう」で終れた、
が、結局1も2もドッチもできず嘘吐いたのは結局「イイ顔していたい」悪者になりたくない甘えた不誠実=虚飾の虚妄だろう?

しかも蝙蝠女史ご本人が「トラブル巻き込まれた」言ってた相手と遊んでいるアタリ、
さて、どう解釈してやればイイのだろう?笑

辞めます、と言われてもきっと嘘だろうと思っていた、だって矛盾だらけだ?笑

辞めるにしては余計な言動&根回しが多すぎた、それでも敢えて黙って笑っておいた、
どーせ縁切れるんなら最後は相手の望みどおり「忘れたフリ」してやれば満足するんだろう、せめての餞だ。
それでも嘘だと思ったことが嘘じゃないなら良いな?そんなかすかな期待も彼女にとったら「www」なんだろう、笑

ソンナ彼女も良い時は良い人だった、
いろんな話をしてくれた、面白い話も打ち明け話もしてくれた、
一緒に遊んだ時間は素直に楽しかった、そーゆー良い時間が事実だからこそ彼女の嘘はやりきれない。
楽しかった時間まるごと嘘塗りたくられてしまう、どこまで嘘で真実だったのか両面性のはざま落っこちている。

きっと嘘だな?

そう解かっていた分だけ信じようとしていた人の傷みが切ない。
そーゆー傷はWEBを通しても心ざっくり刺してしまう、それでも加害者はきっと「傷つけるつもりはない誤解だ」と言うんだろう、
そんな言い訳するならナンデ嘘なんか吐くんだと思う、いっそ「騙しちゃってゴメンねwww」と悪者論理で謝罪ならまだカッコいいのに?笑

これは某WEB仮想空間でのできごとで、
たかがゲーム遊び空間での話、でもリアル直結している事実で現実の人間がやったこと。
やった言動を消すリセットボタンなんて当然に無い、どんだけ逃げたツモリでも事実は消えない、だって本人が結局いちばん解っている。

どんだけ仮想空間であってもゲームの向こうに現実を生きている人間がいる、リアル感情がそこにある。
仮想空間だからって嘘吐いて逃げてイイなんてルールも存在しない、あるのはリアル人間の常識&マナーだろう?
仮想空間ですらマトモに向きあえないんなら、リアルの顔はもっと酷いのかもしれない。

で、しょーじきこんなワケワカランムジュンウソツキヘンタイなんか今どーでもいい、笑
問題なのは「消えた男」蝙蝠に巻きこまれてトラウマ復活ストレスぶっ倒れたヤツのことだ、そっちはどーでもよくない。
こんなウソツキヘンタイに騙されちゃって辞めるとこまで追いこまれたんなら、ホントそいつの体もプライドもゲーマー意地も大損害だ。

消えた男は、蝙蝠女史のトラブルを相談されたから解決に頭脳も時間も使ってくれた。
リアルでも頭良いヤツで優しいヤツなのかなって想わせる、そんな態度でそいつはトラブル解決に時間を割いていた。
彼女が本当に困っている、そう信じたから忙しいリアル時間も割いて対応して、気晴らしにもつきあって話もマジメに聴いていた。
そうして割いた時間の見返りはトラウマ喚起→ストレスぶっ倒れ→職場でも怒られたらしい、で、そのストレスを仮想空間の責任にされた。

ホントの原因は違う、そう解っていても誰にも言えないだろう、だってソイツにもプライドがある。
それに言いかたイジワルだけど、仕事もちだせば誰もが文句言い難いことは、そいつ本人がいちばん知って理由にしてるだろう?

で、そんな顛末にも彼女は謝らない。
私は何も悪くない誤解だ、周りが勝手にやったこと私は知らない、私は疲れたから辞める、
そんなことばかり言って辞めます宣言して、そんな宣言当日ちゃんと彼女はトラブル相手たちと遊んでいた、笑
で、今日も「www」とたのしそーに草生やして遊んでいる。

ここまで一連のこと全部を解っていて、
それでも敢えてソイツが現れないのはメンドウクサイが理由かもしれない、それも仕方ないんだろう?
それとも考えたくはないけれど「消えた男」もウソツキヘンタイコウモりの同類なんだろうか?

…って嫌だなあ、それが当るのは。

でもソイツが戻らない限りどっかで疑念わだかまる、
ウソツキヘンタイのグルだったのかなーとか最初から3ヶ月限定だったのかなーとか、
そんな解釈は良いも悪いも混じってしまう、だって結局のトコ本人にしか真相は解からない釈明できない。

こんな展開まさにライアーゲーム、
Liar Game=嘘吐き詐欺師の遊び、なんて言ったらカッコいいけれど、
Liarの意味はカナリ酷い、虚飾まみれとか信用かけらも無い最低人間とかそんな意味だ。

誰が嘘吐きで誰が騙されたのか?
誰が信用かけらもできない底辺クズなのか、それも甘えた弱さ故なのか?
どっちにしても逃げたままでは何ひとつ終わらない、終ったフリしているだけのまさにLIARだろう?

それでも「消えた男」そいつには信じたいって言ってくれる人たちがいる、いつかその温もり叶うと良い。

自己中・・ブログトーナメント



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休日雑談@同居猫の午後

2015-06-17 16:35:18 | 雑談


休日雑談@同居猫の午後

風呂あがり 毛づくろいしながら昼寝にあくびする
そして丸まるソファ波間 換毛期の白彩々

猫ブログトーナメント




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時限日記@深夜雑談×茶碗

2015-06-16 01:59:26 | 雑談
今朝、割ってしまった茶碗は替えが無い。

奥多摩の山懐、滝へゆく道にあるカフェで見つけた。
なんていう由来モンな飯茶碗はいわゆる作家もの、で、あたりまえだけど一点モノ。
だから同じものを買おうとしても存在しない、せっかく気に入っていたのにもう使えない。

あー今夜からドウシヨウ?

なんて朝からへこまされて、おかげで夕飯はうどんになった、笑
うどん=丼つかうから茶碗じゃない、なんて考えだけど明日はどうしよう?
とか考えてツイまた考えてしまう、だって昨日は日曜だった、今もう一昨日だけど。

日曜の夜なら、と言っていたヤツは昨夜も音信不通。
それを哀しかったのは自分だけじゃない、待っている人たち皆が心配してしまう。
それくらいソイツは誰の代りじゃない「そいつ」だから誰もが待っていて、それは信じたいからだ。

そいつが消えてしまった後、いろんなことがあった。
そいつが現れなくなって知人みんな心配する、そんな時間が始まってすぐ妙な事態になった。
そいつがいなくなった、その原因とフォローについてアレコレ起きて、そうして奇妙な原因点はとりあえず去った。

そんなこんなで昨夜また日曜夜は来て、それでも現れない。
それでもソイツが幸せなのは待っている人たちが信じていることだ。

1.忙しくて来られない?
2.上司などに停められた?
3.入院しているのだろうか?
4.海外出張になった?

いろんな推測が待っている人にはめぐって、これらに共通なのは「信じたい」だ。

何も言わず消えるなんて酷いことはしない。
後始末もせず終わらせるなんて無責任はしない。
優しいやつ、だから皆を傷つけるような終わりはしない。

そんなふう皆が信じている、
こんなにも信じてもらえることは幸せだ、しかも皆が信じて待つと言う。
こーゆー想い向けられていることをソイツは知らないんだろう、でも確かに想っている人たちが居る。

そいつともう一度話したい、会いたい。

ただそれだけの願いは届くんだろうか?
届いて、それを受けとめるだけの真摯を持つヤツなんだと示してくれる?

なんてコトここに書いてみるのは、この小説ブログを読んでくれている可能性があるからで。
もし本人なり知人なり読んでいるのならコメント欄でも感想用メールアドレス宛にでも連絡くれたらいい、
コメント欄は承認制だから即反映されない&非表示もできる、メールアドレスは「お知らせ掲示板」に公開している、
ソイツがその気になればいくらでも音信不通は連絡開通にすることは可能だ、

でも、どっちもコチラからは繋げられない。
いつも受け身にならざるを得ない、そんなことは今まで何度もあった。
読者からの感想に応える&返信することはあっても自分からはアクション起こさない、それはフツーに原則だ。
そうやってココでも相談いくつも受けて色んな話も聴いて、それでいわゆる報いがあったことは無い。
それでもその時そのひとに何らかの明るいモン向けられたなら、それで良い。

だから今回も同じなんだろうとも思っている。
それでもソイツは待っている人たちがいて、そんな願いの可能性に一縷ここへ書いてみている。
そーゆー可能性を想われるほどソイツは待ってくれる人たちがいる、それは替えの無い感情と居場所だ。

居場所、ってありふれているけどナカナカ無い。

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第83話 雪嶺 act.4-side story「陽はまた昇る」

2015-06-15 22:05:18 | 陽はまた昇るside story
Though nothing can bring back the hour 前へ、

英二24歳3月



第83話 雪嶺 act.4-side story「陽はまた昇る」

頬なぶる風雪がいたい。

冷えゆく肌に髪が凍える、ヘルメットの庇から空は白い。
これから気温もっと下がるだろう、ただ懐かしい感覚に英二は微笑んだ。

「帰ってきたな、」

帰ってきた、雪山に。

白銀おおう冷厳の時、ここは息すら凍る世界。
だからこそ肚深く熱くなる、そこに立てる理由なんて本当は何でも良い。

―ただ雪山にいたいんだな、俺、

ただ居たい、それだけ。

それだけに出逢えて自分は良かった。
それだけが結局は自分の救いで、そして未来を夢見れた。
こんなこと2年前の自分は何も知らない、そうして今立つ雪原に呼ばれた。

「英二、打ちあわせ入るよ?」

深いテノールは風雪も徹る。
この声に導かれて山を知った、その時間たち全てから微笑んだ。

「今行くよ、光一?」

いま本当は公人として「小隊長」と呼ぶべきなんだろう?
けれど時間もう無いかもしれない、だから呼んだ名前にザイルパートナーが笑った。

「へえ?任務中に名前で呼んでくれちゃうなんてメズラシイねえ、夏日和にでもなっちゃいそうじゃない?」
「そうしたら雪ぜんぶ溶けてコンディション最悪だな、」

くだけたトーン笑って歩きだす。
さらさら雪が肩を敲く、空色のウェアを透かして感覚ふれる。
この背中には白く文字が染めぬかれて、でも背負ったザックに見えはしない。
さくり一歩ごと靴底ふみしめる雪は氷も硬い、この時季特有の足元に微笑んだ。

「雪が何度も凍って解けてを繰りかえしてますね、雪崩に備えてアイゼン履いていきます、」

さくりざくっ、硬くなる雪も懐かしい。
こんな足元は一年前の日常だった、そこへ帰りたい。
帰りたい場所と時間はあの日々だ、そんな自覚に言われた。

「無茶な任務なら断る、七機全体で出動しない、」

今なんて言った?

「国村さん?」
「無茶なレスキュー活動はしない、山の鉄則だね、」

さらり言い返してた眼差しが前を見る。
その先、雪煙かすむ頂は白く夕闇ながれて蒼い。

「見りゃわかるだろ?上は荒れまくって雪嵐だ、そんなとこへ部下をやる馬鹿はいないね、夜明け前まで行動禁止、」

深いテノール淡々告げる、そんな横顔は薄暮に白い。
舞う雪に澄んだ瞳ふりむいて、そして指揮官は言った。

「俺は七機の現場指揮官だね、山ヤの警官ぜんぶのプライド背負って今ココにいる。ナニしても全員無事帰還させるよ、」

ほら、どんな時でも変わらない。
変わらない信頼と雪歩いて、幕営の前ほっと笑った。

「よかった、ありがとな?」

ありがとう、変わらない君で。

プライド背負って立っている、この言葉ただ嬉しい。
嬉しくて自分が選んだ今に笑える、その隣から小突かれた。

「こんな時ナニ笑ってんのさ?」
「こんな時だから笑ってるよ、変わっていないのが嬉しいんだ、」

変わっていない、だから後悔かけらも消える。
そんな想い素直に笑った。

「前に話しましたよね、俺が山岳救助隊を憧れたのは国村さんの背中の写真からです、あのまま今もカッコいいや、」

警察学校の自習室、あのデスクで開いた資料集。
あのとき隣にいたひとは今行く先で待つだろうか?繰りたい記憶と続けた。

「青いウィンドブレーカー着た雪の尾根、あの背中に俺もなりくて卒配も青梅署を志願しました。自分の足で立ってる背中が羨ましくて、カッコよくて、」

白銀まばゆい尾根の上、スカイブルーの背中は強靭だった。
救助ヘリコプターを仰いだ細身のくせ広やかな背、青そめぬいた「警視庁」の白文字。
青空と銀嶺そのまま映したよう背中まっすぐ凛然とゆるがない、あのままに透けるよう眩しい眼が笑った。

「おまえは変わったね?きっと素に戻ってるんだろうけどさ、良くも悪くもね、」
「おう、良くも悪くも素になってくよ、」

良くも悪くも、なんて素直に認め笑ってしまえる。
こうして山で自分は戻れた、戻れるぶんだけ背骨もう徹っている。
こうして山の時に積まれた気骨が今日も支えるだろう、その感謝おだやかに微笑んだ。

「俺は山で俺になれたんだ、叶わないって思ってた山も光一が登らせてくれたから、俺は自分を認められる程度には強くなれたよ?ありがとな、」

この男に憧れたから自分は生きられた。

―光一に逢えなかったら俺は逃げてた、二人の祖父からずっと、

ずっと自分は逃げていた、祖父たちの名前から。

検事と官僚、それぞれ影響ちいさくない祖父の孫に生まれたこと。
そこには期待がいつもあった、その期待は嬉しかった、けれど束縛と無理解も同居する。
そうして縛る全てを見ないフリして逃げたかった、けれど今行く先ひとつ掴めるかもしれない?そんな可能性の傍ら呼ばれた。

「小隊長、宮田さん、」
「おまたせ浦部、宮田捕まえてきたよ?」

朗らかなトーン隣から応えてくれる。
その前に青い冬隊服姿あゆみよって端整な顔ほろ苦く笑った。

「中は変な空気なカンジします、まさかと思いたいですが無茶を言われるかもしれませんね、」
「ふん、ソレも想定内だね、」

からり笑った瞳は底抜けに明るい、もう切り替えたのだろう。
この頼もしい上司と先輩と幕営に踏みこんで、息止まった。

―周太?

並んだアサルトスーツの黒姿4人、うち2人はマスクに顔隠す。
どちらも小柄な体躯は引き締まる、似たような背格好、けれど解かってしまう。

―右が周太だ、だって俺を見てる、

視線など合わせてくれない、でも見ている。
それくらい解かってしまう、だって幾度もう見つめあったろう?
その瞳はヘルメットの影籠らせて、それなのに解かってしまう瞳は君しかいない。

さあ、どちらが自分と向かう?

「第七機動隊山岳レンジャー、第2小隊長の国村です。これが長野県警からガイドに指名された浦部、むこうが選抜した宮田になります、」

紹介してくれる声は淡々おだやかに凪いでいる。
もう揺るがせない、そんな意志に指揮官の腕章つけた中年が言った。

「宮田君はこちらの隊員を連れて1時間後、日没直後に現場へ向かってもらう、」

ほら危険なタイミング、そこへ共に向かうのは誰だろう?
いま分岐点を願いふたつ鬩ぎあう、その前に議論の口火切られた。

「出発のタイミングは私に任せてもらいます、山は山岳レンジャーの領分です、」

さあ進む、結末どちらへ向かう?



(to be continued)

【引用詩文:William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】

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山岳点景:梅雨晴れに花

2015-06-15 21:10:23 | 写真:山岳点景
雨滴の光



山岳点景:梅雨晴れに花

里山の公園にて、雨上がりの紫陽花です。
藤色×薄紅ぼかし、それぞれに惹かれます。

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山岳点景:里山の夏至

2015-06-14 20:02:02 | 写真:山岳点景
日長し森に



山岳点景:里山の夏至

雨上がり、近場の里山を歩きました。



夏椿も雫きらめきます。
森の下草に白いのはオカトラノオ、風ゆれる姿は優しげです。



木下闇、紅色あざやかな萼紫陽花が群生していました。



頭上は桃の若い実、こまやかな繊毛がかわいいです。



木苺の朱色が燈火のよう映えます。

お散歩写真(2015/6月)ブログトーナメント





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山岳点景:晴のち曇、花鳥風姿

2015-06-13 23:23:01 | 写真:山岳点景
光の透度



山岳点景:晴のち曇、花鳥風姿

丹沢から山中湖へ車ぐるっと走らせて、最初は晴れ。
薔薇やハマナスの紅紫あざやかに咲いていました。



ハマナスの実はちいさな棘があります。
けれど熟すごとに消えて、艶やかな赤い実になると甘いそうです。



道志道をぬけて山中湖につくと曇でした、
湖畔の草叢、あわい光に紅紫色が映えます。



曇天に白い湖畔の樹上、大きな鳥がいました。




イヌワシか鳶か、後頭部の毛が見えると判別しやすいんですけど、
よく見えないうちに飛び立って行きました。



羽ばたきは鷲の特徴で、雄渾な羽根の動きは見惚れます。



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