萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

山岳点景:如月の森

2017-02-20 22:50:20 | 写真:山岳点景
萌ゆる春に



山岳点景:如月の森

蕗の薹フキノトウ、森の陽だまり芽ぶく春。
そんな早春2月に冬の陽透けて、常緑も明るみます。



頭上は山茱萸サンシュユの黄色ふきだす蕾。



三又ミツマタも黄色ほころびます、うつむきがちですが花ひとつ可憐です。



落葉からオイヌノフグリが咲きだしました、
この花の別名は瑠璃唐草、こっちのほうが似合う青色です、笑



春一番に散らした梅、まだ名残る花に早春まばゆい森です。


撮影地:森@神奈川県

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secret talk29 花翳の夢―dead of night

2017-02-19 23:58:03 | dead of night 陽はまた昇る
Drown my world with my weeping earnestly,
英二side story予告編@第85話+XX日



secret talk29 花翳の夢―dead of night

冬の風、それでも花は春。
そうして映る、優しい幸福。

「…きれいだ、」

微笑んで薄紅ふる、光舞う。
薄紅くるくる風さそう、額ふる陽やわらかに照る。
頬しみだす冷たい風、それなのに明るい優しい花に鼓動そっと緩む、ほら?

―…英二?

君が呼ぶ、ずっと前に聞いた声。
あの声どれくらい聞いていないだろう、逢えていない?
たぐらす想い花のもと、真紅の花束そっと抱きしめた。

「逢いたいよ…周太?」

呼びかけて花が香る、紅い花と薄紅の枝。
花束なのか梢の花か、ただ甘い馥郁ゆだねて心追う。

―…これ、僕に?

黒目がちの瞳が見あげる、黒髪やわらかな額がかわいい。
あの瞳たしかに花束を喜んだ、けれど何年すぎてしまったろう?

「周太…いまでも喜んでくれる?」

花に尋ねて薄紅ふる。
この花あの庭も咲いていた、今も咲くだろうか?
あの幸福そのまま馥郁は咲いて、そこに君はいてくれる?

あの花翳どうかそのままで、君の瞳あの日のままで。
これが最後だとしても。

【引用詩文:John Donne「HOLY SONNETS:DIVINE MEDITATIONS」】

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花木点景:早春桜

2017-02-19 18:08:00 | 写真:花木点景
如月に咲く



花木点景:早春桜

河津桜カワヅザクラは神奈川だと二月の花、
冬の陽に透ける薄紅色が春を兆します、



ココントコいつもの森に行ってなかったんですけど、
そろそろかな?と行ったら満開でした、笑



薄紅の花翳、匂いたつ早春。


撮影地:森@神奈川県

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深夜雑談:家ゴハン×猫

2017-02-18 22:55:13 | 雑談
ノンビリな週末の夜、
ひさしぶりに好きな総菜屋で買ったモン盛りつけ↓コンナカンジ、



FLOっていうチェーン店なんですけど、パテ・ド・カンパーニュとミックスオリーブが好みで。
パテなんたらは付け合せのコンソメジュレがイイんです、笑
白ワインも赤ワインも合うけどシードルもおススメ。

マッシュルームと平茸があるな?
ってワケでほうれん草とキノコのトマトパスタ、
パスタは手軽カンタンすぐできるトコが好みです、笑



っていうゴハン休日、眠り猫@ブランケットに癒されます、笑


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山歩雑談:山岳遭難事故の継承×警鐘

2017-02-17 23:52:05 | 解説:用語知識
目的は?



山歩雑談:山岳遭難事故の継承×警鐘

先週、阿弥陀岳@八ヶ岳で早稲田大学ワンゲルでの遭難事故がありましたけど、冥福を祈ります。

ご遺族は悲しんでおられるだろうと想います、
それでも大学に入ったら山岳部いくぞーなんて学生もいるかなと。
だからこその事実提起なんですけど、

この大学は遭難事故もう何度目ですか?

早大は山岳系サークル複数ある×伝統があり、ワンダーフォーゲル部も探検部も有名です。
早稲田に限らず山岳部の伝統校はいくつかあります、東大や京大、明治大・日大も有名です。
今はホームページを開設しているとこ多いですけど、閲覧してみると温度差がけっこうあります。

○山岳遭難事故を起こした経歴を明記しているところ、
○山の危険性をきちんと記しているところ、

こういうところはイイなって思います、
山は危険が当たりまえ、そこで何十年もサークル部活動やってりゃ事故事例もある、
その事実をきちんと挙げて分析してこそ、次の無事な山行ができるってもんです。

逆に、
過去の事故=いわゆる負の遺産を明示していないところは、危険だなーと。
すべき反省をきちんと継承する気がない、っていう伝統があるのかな?と。

そーゆー危険サークル減ってほしいし、
そういうとこで犠牲になる学生はゼロになってほしい、
なんてことを想うので、某大学の山岳系サークル実例を↓



東京都の山岳地域・奥多摩を管轄する警察山岳救助隊は青梅署と五日市署です、
その青梅署副隊長手記に・ある大学の遭難事故について書かれています。

平成14・2002年5月11日 雨降谷滑落 W大学探検部1名死亡
平成14・2002年7月14日 真名井沢転落 W大学ワンダーフォーゲル部1名重傷

同じ年に同じ大学、たった2ヶ月後に遭難事故が起きました。
2件とも遭難者はサブリーダーを務めていた学生です。

5月の滑落死亡事故は、沢登りで滝を超えるときに起きました。
考えられる原因は二つ、

○セルフビレーの欠略。
○全員が初めての沢でルートを知らず、危険ルートを登ってしまった。

7月の転落事故も沢登り目的で、沢源頭部の岩場を40メートル転落。
頭蓋骨骨折・脳挫傷・脳内出血・脳膜外出血と厳しい容体でした。

○読図上のミス、等高線で判断できる安全ルートをとらず急峻なルートを選択した。
○ザイルで懸垂下降すべき場所でそうしなかった。

上記2件には共通点があります、
1)遭難者はサブリーダー。
2)読図・ルートミス+ザイル欠略=初歩的ミスが原因。

この2点から考えられることは、
○部活サークルOBが初歩的安全策を教えていない。
○リーダーおよびサブリーダーを担える人材が育っていない。

初歩的安全策を徹底することは、登山の基礎です。
怠れば危険が起きてアタリマエ、それは標高にカカワラズ同じこと。
実際・上2件も標高1,000メートルない地点で遭難しています。

奥多摩はこーゆー初歩ミス遭難が多いです。
ってことから考えても、

標高が低い=油断する、

っていうのが一番の遭難原因かな、と。
トコロガ山は油断禁物!油断したら遭難するのが山です。
転落も滑落も足場不如意、足元の不注意や装備不足・ザイル欠略など油断が原因。
登山靴の紐やアイゼンのベルトを締めなおそうとした瞬間、風にあおられ滑落ナンテコトも珍しくありません。

たった一瞬の油断が死、そのリアルは低山でも高山でも同じです。

なんですけど、
じゃ・上2件の事故を起こした大学はドースリャ良かったのか?

1.同じ大学内で別サークルが起こした遭難事故を「他人事」にしない。
2.遭難事故を分析し改善策をうちだす・実行する。
3.別サークルでも情報共有をする。
4.登山に関わるリスクを周知徹底する。

なんてことをしないと、また繰り返すのではないかな?と。

厳しい直言すれば・・・
同じ年たった2ヶ月後にサブリーダーが遭難事故、っていうのはカナリ運が悪いorカナリ低レベルのどっちかです。
別サークルでも同組織内=根源的意識に問題と思うしかないなあと。

もし「運が悪い」なら、
「あ~これは登山しちゃいけないって運命なんだな俺、」と辞めること。
実際・遭難したら山を辞めようと決めている人もいます、ソレも山好きの在り方だろうなと。
もし「低レベル」なら、
「あー技術ちゃんと身に着けてから登ろう、」と努力ちゃんと積むこと。
どんなトップクライマーも「まだ自分は技術不足だな」っていう自己認識から努力がスタートしています。
そういう謙虚な分析力は山を登るイチバンの素質かもしれないです。

とにかく山は「無理をしない」が鉄則、
技術を無理しない、
計画を無理しない、
天候を無理しない、
体調を無理しない、
ってことを客観的に謙虚に分析しながら山を歩く、
この無理をドレか一個でもすれば遭難事故は起こります。

こーゆー分析&山行反省&徹底をしない山岳部サークルは信用NG、
特に大学パーティー遭難事故は「計画・天候」を無理した結果が多いです、
大学の講義とかバイトとか予定があるから~って無理しちゃうんでしょうけど、
毎年何件も大学生の遭難事故が起きていることを軽視しないでください。



大学の遭難事故は表沙汰になっていないものも多くあります、大学イメージのマイナスになるためでしょうか?

上にだした実例も「w大」と伏せられて大学名は公表していません。
多分ココだろなーって大学サークルのHPにも遭難事故について全く触れていません。
上2件は奥多摩で起きていますが、奥多摩の遭難事故は多発すぎてニュースに載らないんだとか。
丹沢も同様・なかなかニュースになりません。

なので思うんですけど、
ニュースにならないのにHP上きちんと明記しているところは信頼性が高いなーと思います、
遭難事故を起こして、それについて改善しているからこそ明示する自信もあるのかなと。
もし、
「山は遭難してもアタリマエ、その危険を遊びに行くのだ」
なんて謳う先輩OBがいたらその山岳部サークルはレッドカードで、笑
登山の最大目的は危険遊びでもピークハントでもありません、無事に山を歩き無事に下山することです。

無事に登り無事下山、

だから山は「他人に迷惑をかけない=遭難しない最大限の努力をする」があたりまえ、
まず自分で出来ることはすべてやる、それが山の大原則「自助&相互扶助」です。

明日の天候は冬に逆戻り、
今日の気温で緩んだ雪は再凍結→がちがち硬いアイスバーン化で滑りやすいと思います。
アイゼン・ピッケル・ストック+足先指先まで防寒しっかりで、強風低温ゼッタイ無理せず楽しんでくださいね、

もちろん受験生は勉強してくださいね?まず入試の山を登ってください、笑


撮影地:富士山@山梨県吉田口、三頭山@東京都檜原村、北奥千丈岳@山梨県
【参考文献: 金邦夫『山岳救助隊日誌』】

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第85話 春鎮 act.17-another,side story「陽はまた昇る」

2017-02-17 23:30:41 | 陽はまた昇るanother,side story
Hold me, Hold onto hope.
harushizume―周太24歳3下旬



第85話 春鎮 act.17-another,side story「陽はまた昇る」

繋いだ手そっとほどく、ちいさな手に受験票一通。
紅い頬の横顔は掲示板を仰いで、瞳そっと瞑った。

「…、」

唇ちいさな声、人波に喧騒に聞こえない。
彼女の独り言、それは祈りの声だろうか?
想い見つめて、それから周太も掲示板を見た。

「…あ」

記憶の番号なぞる、確かにそうだ?
そのあるべき場所を見つめて隣、ちいさな声こぼれた。

「あった…」

番号ふるえる声、ちいさな、でも澄んだ声。
キャンパスの片隅に掲げられた番号表、その一点に周太はふりむいた。

「美代さん、おめでとう、」

言祝ぎたい、今はただ。
だって努力を知っている、どれだけ彼女は懸けてきた?
積まれた時間は出会う前からで、その瞳から涙こぼれた。

「…ほんとに…わたし」

ソプラノかすれて涙になる。
澄んだ瞳あふれて光こぼす、紅い頬きらきら軌跡ひく。
腫れた左頬に涙やわらかい、きらめいて零れて瞳は泣いた。

「私、ほんとに…?ゆはらくん、ほんとにわたしっ…」

ほんとに、本当に?

くりかえして涙こぼれる、紅い頬を光つたう。
涙の底まっすぐ見つめる瞳に周太は深く笑った。

「ん、本当だよ?美代さんの受験番号ちゃんとある、合格おめでとう、」

努力が実る、そんなことばかりじゃない。
そのままに彼女の左頬は紅い、ひっぱたかれた痛みの痕だ。

『こんな齢から大学なんてバカだ、婚期逃すぞ親不孝者って…叩かれたの、』

話してくれた彼女の現実は「今時」じゃないかもしれない。
時代錯誤と笑う人もいるのだろう、それでも彼女に壁は現実たちはだかる。
そうして紅い頬は腫れる痛覚だけじゃない、責められ否定された努力の疼きだ。

「おめでとうって…よろこんでくれる?ゆはらくんは、」

紅い頬が訊く、澄んだ声が問いかける。
こんなこと普通なら訊かないだろう、けれど訊かずにいられない痛みに肯いた。

「ん、僕はすごく嬉しいよ?美代さん合格おめでとう、」

肯いて笑って断言する、だって本当に嬉しい。
この先が見えなくても喜びは真実だ、その想いに微笑んだ。

「おもいっきり喜んでいいんだよ美代さんは、それだけ頑張ってきたよ…だから、胸張って笑って美代さん?」

社会人で24歳、女性、進学を理解しない家族。
それでも働きながら勉強を続けてきた、その時間まっすぐ笑いかけた。

「美代さん、難関突破おめでとう!」

難関だった、今ここにいる誰よりきっと。

それくらい今この大学は「選ばれた」人間だけが二次試験を受け、合格つかむ。
それだけじゃない関門も破る彼女を讃えたい、素直な賞賛にフラッシュ瞬いた。

「合格おめでとうございます!」

え、なにこれ?

「合格したんですよねっ、お話しいいかなっ?」

驚いた視界にフラッシュ弾く。
向けられたカメラとマイクに紅い頬が途惑う、ちいさな手が縋る。
縋る瞳も困惑して、それなのにマイクまっすぐ彼女に向けられた。

「おめでとうございますっ、どこの学部志望ですか?」

なんでそんなこと訊いてくるの?
そんな瞳がこちら見あげる、その横からマイク向けられた。

「君は余裕あるよね、もう前期で合格してるのかな?」

え、僕にまで訊いてくるの?

「一緒に合格発表なんて仲いいんだね、受験も一緒に?」
「同じ高校なのかな、それとも君は在学生?」

質問フラッシュぶつけられる。
とまどって途惑って、ちいさな手そっと腕ふれた。

「…ゆはらくん、なにこれ?」

ちいさな声が見あげて縋る。
どうしよう?そんな瞳の横からマイク向けられた。

「彼氏彼女で合格っていいね、今日から東大カップルだね?」

は?

「…」

言われた言葉に止まる、なに言っているんだろう?
向けられるマイク見つめて呼吸して、状況に訊いた。

「あの…これニュースになるんですか?」

そういえばこの時季、こんなニュースよく流れるな?
記憶ゆっくり落ち着いた視界、カメラとマイクが答えた。

「そうです、今もう中継しているんですけど大丈夫かな?」

大丈夫、だろうか?

ためらい瞬いて昨日が戻る、昨日に知ったこと。
迷惑をかけるだろうか?

『湯原の退職は体調不良を表向きの理由にする、だから退職手続も本人は来られない、』
 
昨日ちいさな部屋で告げられた配慮、それを裏切ることかもしれない。
今ここで中継カメラに映されて、それが今どんな「次」を連れてくる?

それとも「何も」起きないだろうか、伊達が告げたように?

『あのひとのサシガネだよ、もう二度と警察とは関わらせたくないそうだ、緊急措置も辞さないとな?』

あの言葉そのままなら今、こんなふう映されても何も起きない。
そんな状況なのか試験紙になりうる?

―おばあさまの意思がわかる…?どんな力を持ってるのかも、

いつも優しい大叔母、けれど直截な性格と知っている。
あの率直が理性コントロールして自分を匿う、その砦もテレビカメラは壊す?
そうなれば困らせるのだろうか、母も困るだろうか、それもこれで解るかもしれない?

それに、あの名前も。

『違反しても辞めさせられない権力があるってことだ、鷲田という名前にはな、』

名前、どうして、あなたは何も言ってくれなかった?

―逢いたい英二、でも…もうあわないほうが、いい?

あなたは来ない、携帯電話も繋げられない。
もう誰にも望まれていない自分の想い、それくらい解っている。
それでもあがく一通すら返らなくて、それに本当は解っている。

『男の愛人は邪魔な立場になったんだ宮田は、』

ほら昨日の言葉くりかえす。

あの言葉ほんとうは解っていた、ずっと前から最初から。
初めから誰にも望まれていない恋、そんなこと知っている、解っている。
それでも声になれば穿たれる、痛い、苦しい、解っていても疼かされる。

それでも、ああどうか、どうかもう一度だけ。

「君?テレビに映るのマズかったかな?」

マイク突きつけられる、視界が瞬く。

「あ…、」

フラッシュ遮られた思考が今を見る。
引き戻される、今、自分がいるべき場所。

―英二だけじゃないんだ、僕がいる場所は…行くべきところは、

あなただけ、そう世界を抱いていた。
けれど今は違う、もう進むべき先がある、望まれる場所が。
どうして今ここに何のため自分がいる?そして隣の手そっと掴んだ。

「…行こう、美代さん?」

だって今、この手を連れてゆく場所がある。
掴んだ現実に綺麗な瞳が見あげた。

「行くって…ゆはらくん?」

どこへ行くの?

途惑う瞳に声が戻る、さっき彼女は言っていた。
今日のために後悔しないと言った、彼女の涙は。

『だからもう帰るとこないの私、でも…後悔しない、』

ほんとバカだけど、泣くけど、でも後悔しない。
そう言いながら泣いていた、あの涙は自分も同じだ。

同じだ、だから手をつないで歩けばいい。

「行こう?一緒に、」

微笑んで掌さしだして、ほら、視界がにじむ。
見つめる瞳も赤くにじんで、その左頬も腫れて紅い。
ふたり無傷じゃ選べない道、それでも行きたい先へ手をつなぎ、駆けだした。

君も泣く、僕も泣く、それでも行きたい生きたい場所へ。

(to be continued)

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写真訳詩:三色菫の香×Poe

2017-02-16 23:59:30 | 文学閑話翻訳詩
記憶の残像、花



写真訳詩:三色菫の香×Poe

For now, while so quietly
Lying, it fancies
A holier odor
About it, of pansies―
A rosemary odor,
Commingled with pansies―
With rue and the beautiful
Puritan pansies.

【引用詩文:Edgar Allan Poe「For Annie」抜粋&自訳】



翻訳そのうち追記します、笑

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山岳点景:銀嶺三千尺

2017-02-15 23:27:10 | 写真:山岳点景
標高1,000以下の冬



山岳点景:銀嶺三千尺

樹氷まとう白銀世界、撮影場所は標高170メートル程度。
東北や信越ではなく神奈川県の山です。



次は埼玉県秩父市にて、石清水が凍る氷柱群。
標高400メートルほどですが積雪×凍結の凍れる渓谷。



下は三頭大滝、東京都の山岳地域・奥多摩です。
落差35メートル@標高1,098メートル、撮影時気温は零下6度。


風景や街並み38ブログトーナメント
撮影地:嵐山@神奈川県、三十槌の氷柱@埼玉県、三頭大滝@東京都檜原村

今シーズンも遭難事故が続いていますが、冬山を甘く見すぎたコトが原因8割かなと。
こういう↑冬山リアルを知らなすぎ→無理な登山計画×技術レベル読み違えて不幸な事故は起こります。
注※山は10月下旬~5月初旬が雪の季節です、林道も標高2,000超えるとイキナリ雪なんて普通にあります。

○冬山は天候急転が怖いです、対応できる技術と装備が必要になります。
・上空の強風→急な降雪・気温低下→行動不能なんてよくあること、駐車場から200メートルで遭難死なんて事例もザラです。
・ビバーク装備は低山でも必携、冬の低温化する夜でも耐えられる装備×技術×覚悟が要ります。
※万が一ビバークするとき
・幕営地が北斜面OR南斜面で生死が分かれます、北は絶対NG!
・奥多摩でも北斜面にビバークした結果、凍死する事故が起きています。
・低体温になると人間は脳の動きが低下→錯乱状態・正常な判断を見失う→装備ぜんぶ捨てて死亡していることが多いです。
○午後14時には下山完了or宿泊予定の小屋に到着。
・午後になると急激に気温が下がります、正午すぎたら再凍結も始まる世界です。
・北斜面と南斜面では気温が全く違います、スリップ滑落要注意。
○雪山は迷いやすいためルートファインディングが問われます。
・降雪時はびっくりするほど見通しが利かなくなります、降雪でトレース(足跡)が消えることも普通にあり。
・道標なども雪で埋まります、コンパス・高度計・読図の技術が必要です。低山ほど作業道や獣道が交錯し迷いやすくなります。
○雪庇などの踏みぬき注意。
・雪庇=藪や岩に雪がつもり谷へせり出した雪を踏み、転落することがあります。
・穴や段差・木道の隙間などに雪が積もり、知らず踏みぬいて怪我も。
○雪山は体力消耗が激しいです。
・雪や氷に足をとられ夏山の1.5~3倍は時間がかかります、積雪量が多ければもっとです。
・雪が深ければラッセルが必要です、ラッセルの装備が解らない人は雪山登山は止めましょう、笑
・低温下の呼吸は通常とまったく違います、ネックゲイターなど装備の工夫が必要です。
○晴天下の雪山はサングラス必須。
・びっくりするほど高山の雪は太陽光を乱反射します、雪盲の危険が高いので対策を。

冬山は夏山とまったく違う世界です、
特に富士山は難易度が冗談だろってくらい変わります、今シーズンも事故多発中です。
安易ゼッタイに登らないでくださいね?笑



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secret talk28 束縛に花を―dead of night

2017-02-14 22:20:30 | dead of night 陽はまた昇る
Of Elements, and an Angelic sprite,
英二side story予告編@第85話+XX日



secret talk28 束縛に花を―dead of night

君を惹きたくて、視線すら捕まえたくて。

「すみません、花束をお願いできますか?」

ひさしぶりの店、声かけて花が香る。
明るいウィンドー百花色彩きらめく、その光に長い髪ふりむいた。

「まあ…おひさしぶりです、」

ダークブラウン艶やかにエプロンなびく、色白の頬やわらかに薔薇色やさしい。
変わらない店主の笑顔に英二は微笑んだ。

「俺のこと憶えているんですか?」

もう忘れていると思った。
それくらい無沙汰の時間に澄んだ笑顔ほころんだ。

「はい、印象的で…今日はどんな花束を?」
「赤いバラをください、いちばん香がよくて色の深いものを。一万円くらいでお願いできますか?」

オーダー笑いかけて花を見る。
赤、紅色、真紅に深紅、大輪中輪ちいさな花、八重一重。
同じ花でも同じじゃない、そんな花園にガラスの陽ざしふる。

―…すてきなんだ、あの花屋さん…、

声ゆれる、君の声だ。
ガラスの花園たたずむ君、ダッフルコート小柄な黒髪やわらかな横顔。
クセっ毛きらきら陽ざし遊ぶ、その瞳ふる睫きらめいて花を見ていた。

―…花の女神さまみたいで…花のとりかたも優しいんだ、花に話しかけるのも優しくて、魔法みたいで、

穏やかな声が微笑む、澄んだ瞳はにかんで笑う。
あの瞳が声が讃えていた、その指先が赤いバラふれる。

「こちらのバラはいかがでしょう?深いけれど澄んだ紅色で、香も優しくて深いんです、」

問いかける声が澄んで優しい。
この声に見惚れていたのだろうか?たどり微笑んだ。

「きれいですね、」
「はい、今日いちばんの美人さんです、」

優しい声が花に笑う、その涼やかな瞳深く優しい。
この眼ざしに君も笑っていた?見つめる想いに訊かれた。

「こちら、バレンタインのギフトでしょうか?」

さすが花屋だな?
すこしの関心と笑いかけた。

「そうです、ご存知なんですね?」
「はい、本職ですから。イギリス式のバレンタイン素敵ですよね、」

涼やかな瞳やわらかに微笑む。
たおやか優しい女性、そんなエプロン姿に視線が妬く。

―やっぱり女のほうがいいのかな周太、周太も男だし?

男なら、こんな女性は惹かれるだろう?
そんな納得させられるのは多分、この穏やかな空気だ。

―平和だよな、花いっぱいで…窓も明るい、

明るいガラスふる、穏やかな午後の温もり花ほころぶ。
あまい優しい香が陽ざし咲く、木枯らしの外も知らない光で。

「贈るお相手はどんな方でしょう?合わせておつくりしますけど、」

真紅の花に問いかけ透る。
優しい深い瞳は涼やかで、その眼まっすぐ答えた。

「かわいくて凛とした男です、」

バレンタインの花束を男に。

こんなオーダー、彼女はどうするのだろう?
笑いかけた答え見つめる真中、涼やかな瞳ゆっくり微笑んだ。

「すてきですね、」

優しい深い声が澄む、穏やかな指さきバラをとる。
白い横顔たおやかに凛として、花たばねるエプロン姿に笑いかけた。

「驚かないんですか、男が男に花を贈るのに?」

普通なら驚くだろう?
けれど涼やかな瞳は穏やかに微笑んだ。

「いろんな方が花をもとめてくださいます、ここは新宿ですから、」

街の名前に声深く優しい。
どうして彼女がここにいるのか?解るようで尋ねた。

「新宿に店を開いてるのは、そういう理由なんですか?」

いろんな人間がくる、この街は。
そこにいる白い横顔が微笑んだ。

「そうですね、花が誰かを笑顔にできたらって想いますけど、」

できたらって、

そんな言い方は願い籠る。
なにか事情があるのだろう?そんな瞳ふわり笑った。

「花束、こんな感じでいかがでしょう?」

真紅の大輪ふかく澄む、凛と蕾、ほころびかけ、あざやかな満開ひとつ。
蔓バラは薄橙こまやかなセピア色、グリーン爽やかな蔦に葡萄色の蔓、重厚なくせ優しい花束に笑いかけた。

「ありがとう、赤いバラは12本なんですね?」

何か意味がある?
笑いかけた先、色白やさしい笑顔は言った。

「ダーズンローズです、12本は感謝を表すんですよ?花の開き加減も意味があるんです、バラは色ごとにも意味が違います、」

答えながらリボンかけてくれる。
チョコレートブラウンにセピア色、深い葡萄色、まとめてゆく白い指に尋ねた。

「そうですか、この花束はどんな意味に?」
「いくつも意味こめてあります、カードおつけしますね、」

澄んだ深い声が応えてくれる。
その横顔は朗らかに穏やかで、楽しげな指先に笑いかけた。

「ありがとう、いい意味だと嬉しいけど、」
「きっと喜ばれると思いますよ?」

白い指リボン結いあげる。
薔薇色の頬やわらかに微笑んで、美しい花束ひとつ抱きあげた。

「お待たせいたしました、幸せなバレンタインでありますように?」

言祝ぎ花を渡してくれる。
受けとめて、花の重みやわらかに香り高い。

「ありがとう、」

笑いかけて花を抱く、真紅の大輪ふわり唇かすめる。
この花に笑顔は咲くだろうか?毎日いつも見つめて香を感じて、想いだしてくれる?

繋ぎとめたい願い抱きしめて、花が香る。

【引用詩文:John Donne「HOLY SONNETS:DIVINE MEDITATIONS」】


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山岳点景:白銀の時間

2017-02-14 01:26:03 | 写真:山岳点景
如月雪景


山岳点景:白銀の時間

雪の日、牧場は雪原一面・白銀の別世界。
軒先からは氷柱の光。


そんな朝、樹氷きらめく山×青空。


零下に冴える空、梢またたく白銀の光。


樹氷ほどけた牧草地は青空のどやかな白。


梢ちりばめる銀色の光、静寂時間。


第166回 過去記事で参加ブログトーナメント
撮影地:相模湖周辺@神奈川県、美し森@山梨県八ヶ岳下部、南牧村@長野県

○雪に踏みこむと雪の下にある植物・農作物・樹木を傷めることがあります。
・ルート逸れての踏みこみはNG。
・スノーシューで荒らされる事件が増えています、写真撮影よりレジャーより植生保全が大事です・そーゆうやつの写真はロクなもんじゃないし、笑
○雪山は迷いやすいためルートファインディングが問われます。
・降雪時はびっくりするほど見通しが利かなくなります、降雪でトレース(足跡)が消えることも普通にあり。
・道標なども雪で埋まります、コンパス・高度計・読図の技術が必要です。低山ほど作業道や獣道が交錯し迷いやすくなります。
○雪庇などの踏みぬき注意。
・雪庇=藪や岩に雪がつもり谷へせり出した雪を踏み、転落することがあります。
・穴や段差・木道の隙間などに雪が積もり、知らず踏みぬいて怪我も。
○冬山は天候急転が怖いです、対応できる技術と装備が必要になります。
・上空の強風→急な降雪・気温低下→行動不能なんてよくあること、駐車場から200メートルで遭難死なんて事例もザラです。
・ビバーク装備は低山でも必携、冬の低温化する夜でも耐えられる装備×技術×覚悟が要ります。
○雪山は体力消耗が激しいです。
・雪や氷に足をとられ夏山の1.5~3倍は時間がかかります、積雪量が多ければもっとです。
・雪が深ければラッセルが必要です、ラッセルの装備が解らない人は雪山登山は止めましょう、笑
・低温下の呼吸は通常とまったく違います、ネックゲイターなど装備の工夫が必要です。
○晴天下の雪山はサングラス必須。
・びっくりするほど高山の雪は太陽光を乱反射します、雪盲の危険が高いので対策を。

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