欲望という名の列車

翻訳がいつの間にか、小田島雄志先生から息子になっていた。

鄭 義信演出は、関西弁、またかという感じもしないでもない。

南部の訛りを関西弁としたのだろうが、南部の独特の空気は全然感じられない。それを大阪の下町の雰囲気にしたのかもしれない。それであれば、いっそのこと、得意の置き換えにしてもよかったのではないか。中途半端感。

伊藤は、ぴったりだと思っていたが、大阪弁にすることで、喜劇的要素もちりばめられ、本来のスタンレーにぴったりの良さが出ていないのが惜しい。

沢尻は、狂気が今一つ感じられない。

脇はそれなりに奮闘。

沢尻の復帰というのが主眼か。ほかに何を表現したかったのかが今一つ不明。

新国立劇場中劇場

作：テネシー・ウィリアムズ
翻訳：小田島恒志
演出：鄭 義信

出演：沢尻エリカ / 伊藤英明 / 清水葉月、高橋努、青木さやか、福田転球、中村まこと、久保酎吉、うらじぬの、青木瞭

う蝕

2時間弱のせりふ劇。トラムにしては最初に出てきたセットが大掛かりでビックリ。

災害における人の気持ちについて、考えさせられる。段々、謎が解き明かされる。

坂東はあまり認識していなかったが、しっかりと芝居ができるなあと感心。近藤は難しい役をなんとか。新納は、こういう役もできるんだと感心、普段は癖が強い役が多いが、割合とすっきりしたたくましい役。相島と正名はいつも通り。

シアタートラム

【作】横山拓也
【演出】瀬戸山美咲
【出演】坂東龍汰　近藤公園　綱啓永／正名僕蔵　新納慎也／相島一之

アメリカはなぜ戦争に負け続けたのか

歴代大統領と失敗の戦後史　ハーラン・ウルマン著　中央公論新社2019

読み応えのある良書である。ケネディからトランプまでの大統領における戦争を分析している。ある意味、アメリカ版失敗の本質である。軍人、安全保障の専門家として、行政、議会のことも念頭に、世界情勢と米国の対応を論じる。

コントラ事件やNATOの拡大などは、こういうことだったのかと。アメリカ外交史としても参考になる。

原著は、2017年であり、まだトランプ政権についてはスタートした時点である。バイデンをどう評価するかも興味深い。現在の世界情勢もある程度見通している。

日本は戦争をしないことになっているが、戦争をしても、勝てる体制にないよね、というのを痛切に感じたりもした。

中村仲蔵 ～歌舞伎王国 下剋上異聞～

この劇場は初めて。駅からも近いし、人の移動が階段等が大変だが。

花道を作って、鳴り物もありで、結構頑張って作っていた。舞台はシンプル。

女性客がほとんどで、和服は皆無だったので、歌舞伎ファンは少ないのだろう。これを観て、歌舞伎ファンになる人が出てくると良いが。

専門用語や演目名も多数出てくるので、歌舞伎ファン以外はわかりにくい面も多かったろう。

ドラマと脚本家が一緒にも関わらず、かなり違った筋書きで、驚くくらい。落語とも異なるし、荒俣版とも当然違う。

音楽は、和と洋のドラムはエレキが。

役者は、それぞれ頑張っていたが、口跡がみな、今一つ。狂言回しの池田がベテランのいい味を出している。

アドリブも多いようで、藤原が笑いを堪える場面も。

アフタートークで、10月くらいから所作を含めた稽古していたというが、所作はイマイチ。段々慣れてくると、油断も出るだろう。市原の三味線は凄いと思った。八月から稽古しているそうだ。肉体美も披露するので、毎日ジムにも行ってるらしい。ストイックで素晴らしい。

脚本　源 孝志

演出　蓬莱竜太

中村仲蔵：藤原竜也
初代市川八百蔵／酒井新左衛門：市原隼人
中村伝蔵：浅香航大

志賀山お俊：尾上紫
中村伝九郎：廣田高志
七代目中村勘三郎／中村任三郎：植本純米
瀬川錦次：古河耕史
五代目市川團十郎ほか：深澤 嵐
蕎麦屋の万蔵ほか：斉藤莉生
金井三笑：今井朋彦

コン太夫：池田成志
四代目市川團十郎：髙嶋政宏

原川浩明、木津誠之、稲葉俊一、丸川敬之、永澤洋、草彅智文

パーカッション：萱谷 亮一/奥田 真広

スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内 ヤマトタケル

猿之助襲名以来。隼人は上手くないがしっかり勤めていた。最後の宙乗り、今までの誰よりも、手足が長く、イケメンの隼人が美しかった。

米吉も成長著しい。この芝居は残っていくのかな。改めて三代目の凄さを感じる。

梅原 猛 作

石川耕士 監修

二世市川猿翁 脚本・演出

小碓命後にヤマトタケル／大碓命 兄橘姫／弟橘姫 帝 皇后／姥神 タケヒコ ヘタルベ 犬神の使者／琉球の踊り子／新朝臣　 ヤイラム 老大臣 倭姫 国造の妻 熊襲兄タケル／山神 帝の使者 尾張の国造 熊襲弟タケル みやず姫

中村 隼人 中村 米吉 市川 中車 市川 門之助 中村 福之助 中村 歌之助 嘉島 典俊 市川 青虎 市川 寿猿 市川 笑三郎 市川 笑也 市川 猿弥 市川 青虎 中村 錦之助 中村 錦之助（交互出演） 市川 笑野（交互出演）