清水大吾著 ニューズピックス(2023)
GSでESGを担当した人間の著書。GSを人員削減で解雇され、それまで考えてきたこと、取り組んできたこと、そして主張をまとめたもの。現在は、みずほ証券にいるようだ。
三部構成。第1部、資本主義は「限界」か?では、GSというのはある意味、純粋な資本主義原理が透徹しているのだろうと思う。その問題点は、短期志向だとされる。第2部、お金の流れを根本から変える、では、政策的株式保有やガバナンスを例に、日本社会の忖度やもたれあいについて論じる。第3部、ピラニアを放り込め!では、企業社会に緊張感を持たせることの重要性を説く。
現状を理解したというよりも、まだこんな状況であったのかと、驚いた。日経平均が示してる通りとも言える。。バブルの際に、持ち合いは系列とともに指摘はされていた。資本コストの視点から米国でコーポレートガバナンスについて学んだときは、日経にもその言葉はなかった。インセンティブとしての報酬が重要だとの議論は、みんなで渡れば怖くないで業績にかかわらず水準を上げてきた日本企業の現状がその有効性をしめしている。
そんな状況の中で、斎藤公平のようなマルクス的な議論が出てきた。ヒントにはなっても解決にはならないだろう。
サンデルの議論は、資本主義の暴走が、民主主義を脅かすというのが根底にあるように感じている。日本の資本市場を知らない「リベラル」にはそうした感性は皆無のことも経験した。
ESGは逆風だが、この先も展開していくことを楽しみにしている。
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