Running On Empty

Pretenderの備忘録

資本主義の中心で、資本主義を変える

2024-05-20 08:55:12 | 読書
清水大吾著 ニューズピックス(2023)

GSでESGを担当した人間の著書。GSを人員削減で解雇され、それまで考えてきたこと、取り組んできたこと、そして主張をまとめたもの。現在は、みずほ証券にいるようだ。
三部構成。第1部、資本主義は「限界」か?では、GSというのはある意味、純粋な資本主義原理が透徹しているのだろうと思う。その問題点は、短期志向だとされる。第2部、お金の流れを根本から変える、では、政策的株式保有やガバナンスを例に、日本社会の忖度やもたれあいについて論じる。第3部、ピラニアを放り込め!では、企業社会に緊張感を持たせることの重要性を説く。

現状を理解したというよりも、まだこんな状況であったのかと、驚いた。日経平均が示してる通りとも言える。。バブルの際に、持ち合いは系列とともに指摘はされていた。資本コストの視点から米国でコーポレートガバナンスについて学んだときは、日経にもその言葉はなかった。インセンティブとしての報酬が重要だとの議論は、みんなで渡れば怖くないで業績にかかわらず水準を上げてきた日本企業の現状がその有効性をしめしている。

そんな状況の中で、斎藤公平のようなマルクス的な議論が出てきた。ヒントにはなっても解決にはならないだろう。

サンデルの議論は、資本主義の暴走が、民主主義を脅かすというのが根底にあるように感じている。日本の資本市場を知らない「リベラル」にはそうした感性は皆無のことも経験した。

ESGは逆風だが、この先も展開していくことを楽しみにしている。







GS
コーポレートガバナンス ESG 持ち合い 
報酬、人事

資本主義

一ノ矢 同士 広がる 
ベンチャーに問題



コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 立川談春芸歴40周年記念興行... | トップ | 團菊祭五月大歌舞伎 昼の部 »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
マルテンサイト千年ものづくりイノベーション (グローバルサムライ鉄の道)
2024-08-11 01:59:05
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
返信する

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事