戦後、幼少期の記憶が断片的。去年、20世紀を代表する銀幕女優、原節子がなくなって、その時、代表作の「東京物語」が英国映画協会の世界のベスト映画の1位に選ばれていたことを知り、昭和時代をふりかえる意味でもとパソコンでDVDチェック、小津安二郎全集を調達、まずは昭和24年封切りの白黒映画、「晩春」を見た。わたしの4歳の時の邦画。
小津安二郎という監督は日本の家族を描いて有名なようだが今までほとんど関心がなく映画も見たことがなかった。この全集に9本の映画が収録されているがどれもみていない。ということでまずは「晩春」をみたわけ。妻に先立たれた大学教授と一人娘の心模様を描いた作品。27歳になった娘は母代わりに父親の面倒をみて、その関係にも満足、嫁にいこうとしない。父親は娘に嫁ぐ気にさせるため再婚するとほのめかす。父親の友人の再婚した男に不潔というような娘。父親の再婚しようとする女性と3人で能を見る場面、その女性をみる娘の顔がだんだん険しくなり鬼のような雰囲気、能場面とダブル。やや異常とおもえる娘の父親への愛。
やがて父親の妹の勧めで見合いをして、しぶしぶ結婚を同意する。式前に親子で京都旅行、宿屋でやはり父親とずっとこのままでいたいという娘に父親は人の生き方には順序がある。娘は結婚してみずからの人生の幸せを夫とともに築いてゆかねばならない。だから結婚は最初から幸せがあるのではなく年を重ねてつくりあげるものだと説得する。
結婚式の日が来て娘は嫁いでゆく。再婚話は実は口実で一人だけの生活が始まる。柿をむきながらさびしくうなだれる父親の姿が映し出され映画は終わる。あまりセリフが多くなく、笠智衆のとつとつとしゃべる演技と大柄な原節子の抜けるような笑顔と表情が瞬時にかわる演技、白黒の画面の中で昭和24年当時の日本の家族、父娘の哀歓が伝わってくる映画ではあった。次回は昭和26年封切の「麦秋」をみることにする。
おりしもTVで福岡県の子供の5人に1人が貧困家庭でろくに食事もとれなかったり学校にも行けない子がいるというシングルマザーの実態ドキュメントをしていた。手取り収入が平均の230万円くらいの半分110万円以下の世帯を貧困家庭というらしい。離婚をしてシングルマザーになって別れた男から子供の養育費をもらっている世帯はほとんどなく半数が貧困状態だという。今や男の経済力があてにならないから結婚しないという生涯独身女性が増えているらしいがどうも近頃の女性の結婚観や離婚観が問題だね・・