ソール・ライター展を見に、渋谷のヒカリエホールに行ってきました(2023年7月30日)。「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」というタイトルの写真展で、1940年代からニューヨークで活動していた写真家ソール・ライターの生誕100年記念ということです。2000年代になって急に有名になった、そのころすでに80代になっていたこの写真家は、日本で知られるようになったのもここ数年のこと。いわゆる「エモい」と言われるような写真を撮り始めた元祖のような人です。私も比較的最近知って、写真集の書評を書いています。
テレビ番組「美の巨人たち」でも紹介されていて、世間でカラー写真が脚光をあびるようになったのは1960年代くらいからであったのにもかかわらず、ソール・ライターはすでに1948年くらいからカラー写真を撮るようになっていた先駆者だと言われていました。今回、展覧会では色彩の綺麗さをたんのうしました。
会場にある大きなポスターを撮影すると、撮影者の影が右と左に写りました。そんな仕掛けですね。
この展覧会では、すべて撮影が自由でしたので、たくさん撮りました。
50年代にニューヨークで活躍していた最先端の芸術家・音楽家たちのポートレートが撮られています。ソール・ライターも、彼らと同じような志と熱量を持っていたのでしょう。これは、ジョン・ケージ。
アンディ・ウォーホル。
アンリ・カルティ=エブレッソン。20世紀写真家の巨人。
セロニアス・モンク。
マルセル・デュシャン。
そして、58年から60年代には、ハーバーズ・バザー誌にファッション写真が掲載されました。
シュルレアリスムみたいな写真もあります。
ファッション写真にも、ライターらしさが出ています。
写真撮影と並行して、絵もたくさん描いていました。水彩画が中心で、とくに色彩の鮮やかさがとても印象的です。これは、写真での色彩感覚に通じるものがあるといわれていて、今回、彼の作品の色彩を意識して鑑賞しました。
絵の展示の間に、ときおり写真もはさみこまれていて、その色彩感覚の鋭さに気づかせてくれます。写真では、雨や雪、夜、暗闇といったモノトーンの背景の中に、鮮やかな色を浮かび上がらせるのがとても上手です。
ソール・ライターのカラー写真の多くは、カラースライドで撮影されていました。それを、自分の部屋の壁に投影して、ときには友人とともに、よく楽しんでいたそうです。これは、その再現ルームです。
カラースライド群。我々の仕事でプレゼンテーションをするときも、今はパワーポイントをプロジェクターで映しますが、20年くらい前はカラースライドを映していましたね。
これが、圧巻のカラースライド・プロジェクション。10画面で、それぞれカラースライドが次々と切り替わり投影されていました。この展示が、今回一番良かったかもしれません。小さな写真をちまちま見るより、大画面で圧倒されるのが、展覧会で体感できる醍醐味だと思います。
さて、会場を出て、ヒカリエの中を少し探索します。
渋谷駅周辺の風景。
渋谷スクランブルスクエア。
未来のプレゼンテーション・ツールがどうなるか想像もつかないです。
懐かしい名前がいっぱい出て来る
展覧会だったのですね。
カラースライドを写すことも、ずいぶん
画期的なプレゼンテーション方法に
かつては思えたものでした。
現代風でわかりやすいプレゼンテーション
資料の見た目も、かつてはあまりなくて、
やたらわかりにくい文字の羅列が多かっ
たように思います。このあたりは海外の
資料を日本も模倣したのだと思っています。
それが今やグラフや画像を掲げた
ひとめで見てわかる資料をカラーで、
パワポで素人がキレイに作ったものが
さっとプロジェクターであるいはオン
ラインのスクリーンで見ることが出来る。
この先また四半世紀くらいすると
「昔、パワポってあったねー」なんて
言うのかもしれません。