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「ありの行列」小3国語教科書

2021-02-20 16:45:17 | バイオフィリア(身近な生き物たち)

娘はいつも家で宿題として、国語の音読をやってますが、先日オヤッと思ったことがありました。「ありの行列」という文章の音読をしていたのです。これは私の大学時代の師匠が書いた文章です。教科書にこの文章が載っているということは前から知っていたのですが、光村図書小3国語の教科書に載っていて、娘が小学校で習っていることを知って、不思議なめぐりあわせを感じたものです。

 

以下にその文章を抜粋します。

ありの行列  文・大滝哲也

 夏になると,庭のすみなどで,ありの行列をよく見かけます。その行列は,ありの巣から,えさのある所まで,ずっとつづいています。ありは,ものがよく見えません。それなのに,なぜ,ありの行列ができるのでしょうか。

 アメリカに、ウイルソンという学者がいます。この人は、次のような実験をして、ありの様子をかんさつしました。

 はじめに、ありの巣から少しはなれた所に、ひとつまみのさとうをおきました。しばらくすると、一ぴきのありが、そのさとうを見つけました。これは、えさをさがすために、外に出ていたはたらきありです。ありは、やがて、巣に帰っていきました。すると、巣の中から、たくさんのはたらきありが、次々と出てきました。そして、列を作って、さとうの所まで行きました。ふしぎなことに、その行列は、はじめのありが巣に帰るときに通った道すじから、外れていないのです。

 次に、この道すじに大きな石をおいて、ありの行く手をさえぎってみました。すると、ありの行列は、石の所でみだれて、ちりぢりになってしまいました。ようやく、一ぴきのありが、石のむこうがわに道のつづきを見つけました。そして、さとうにむかって進んでいきました。そのうちに、ほかのありたちも、一ぴき二ひきと道を見つけて歩きだしました。まただんだんに、ありの行列ができていきました。目的地に着くと、ありは、さとうのつぶをもって、巣に帰っていきました。帰るときも、行列の道すじはかわりません。ありの行列は、さとうのかたまりがなくなるまでつづきました。

 これらのかんさつから,ウイルソンは,はたらきありが,地面に何か道しるべになるものをつけておいたのではないか,と考えました。

 そこで,ウイルソンは,はたらきありの体の仕組みを,細かに研究してみました。すると,ありは,おしりのところから,とくべつのえきを出すことが分かりました。それは,においのある,じょうはつしやすいえきです。

 この研究から,ウイルソンは,ありの行列のできるわけを知ることができました。

 はたらきありは、えさを見つけると、道しるべとして、地面にこのえきをつけながら帰るのです。ほかのはたらきありたちは、そのにおいをかいで、においにそって歩いていきます。そして、そのはたらきありたちも、えさをもって帰るときに、同じように、えきを地面につけながら歩くのです。そのため、えさが多いほど、においが強くなります。

 このように、においをたどって、えさの所へ行ったり、巣に帰ったりするので、ありの行列ができるというわけです。

 

生物を対象とした研究という行為をとてもシンプルに表現した文章です。ここにはウイルソンというアメリカの学者が出てきますが、この人はハーバード大学の昆虫学者で世界的に著名な社会生物学者エドワード・オズボーン・ウィルソンです。大滝先生も昆虫学者であり、ハーバード大学に留学していたことがあるので、ウィルソンと交流はあったのか、どういういきさつで教科書に文章を書くことになったのかなど、聞いてみたいことはいろいろあるのですが、もう故人なので叶いません。大滝先生は、教育者としては自由、放任の方でしたが、世界の最先端の研究がすごいことになっているというワクワク感を学生に伝えるのがとても上手な先生でした。

PS:ウィルソン氏は2021年12月に亡くなられました。そして最近の著書をレビューしました。



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1 コメント

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Unknown ()
2024-01-22 20:38:11
約だったです。勉強にもなりました
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