横浜ブルク13で、「映画:フィッシュマンズ」を見てきました(2021年7月24日)。
フィッシュマンズは1990年代に活躍した日本のバンドです。ほとんどの作詩・作曲を手掛けるボーカル・ギターの佐藤伸治が1999年3月15日に亡くなり、活動が休止しました。その後、佐藤不在のまま再結成して活動は行われています。そのバンドの結成30年目の節目に、フィッシュマンズに関わった人たちによって回顧する映画が作られました。
フィッシュマンズの音楽性の高さがピークを迎えた1990年代後半、私は私自身の切羽詰まったドラマを生きていたので、音楽好きであったにもかかわらず、そのころどんな音楽が注目されているのかほとんど知る余地もありませんでした。だから、フィッシュマンズのことを知ったのは、ほんの最近のことです。
フィッシュマンズの何が凄いかというと、売れていないのにもかかわらず、音楽好きからの評価が非常に高いことです。ミュージック・マガジンの2019年4月号の特集「50年の邦楽アルバム・ベスト100」で、フィッシュマンズの「空中キャンプ」が6位に選ばれています。私はこの記事で初めてフィッシュマンズの存在を知りました。
そして、Rate Your Musicという世界的な音楽データベース・サイトに、オールタイム・トップ・アルバム・チャートというのがあります。上位は、レディオヘッド、ピンク・フロイド、ビートルズなどの世界的なアーチストのアルバムが占めています。ちなみに1位は、レディオヘッドのOKコンピューターです。そのチャートにおいて、フィッシュマンズの「98.12.28 男達の別れ(ライブ)」が18位、「ロング・シーズン」が41位(2021年7月26日現在)に選ばれています。つまり、フィッシュマンズは海外で評価がとても高いのです。「ロング・シーズン」はジャンルとして、Dream Pop, Neo-Psychedelia, Progressive Pop, Dub, Ambient Popと紹介されています。ワケの分からない日本の音楽としてではなく、世界の人たちにとって感覚を共有できる、普遍性のある音楽として聴かれているのだと思います。こんなことは異例のことで、チャートの100位まで見ても、他に日本のアーティストは出てきません。
さて、「映画:フィッシュマンズ」で描かれているのは、特別なスター・ミュージシャンについてではなく、どこにでもいる学生バンドの成長物語のような、とても身近な感じのするものでした。下北沢シェルターでのライブ映像が出てきて、そんなところでもやっていたのかと個人的には思うところがありました。私が入っていたバンドも同じころ、そのライブ・ハウスに何度か出ていましたので。もちろん、無名のアマチュア・バンドでしたが。フィッシュマンズは音楽的にはすごい高みにまで到達していたにもかかわらす、様々な理由でバンド・メンバーがどんどん辞めていってしまったことが佐藤伸治にはとても辛かったようです。最後のほうは涙無くしてみることはできません。
とにかく、私たちは彼らが残してくれた素晴らしい音楽遺産を、今味わうことができる幸運をかみしめたいと思います。
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