いつの間にか今年も押し迫って,仕事納めに年賀状に大掃除に送別会にと,何一つきちんと終えられないまま時間に追いまくられる季節がやってきた。
本当はこんな風に今年の音楽を振り返る時間があれば,どれか一つ(送別会は除く)だけでもきちんと為し終えるべきなのだろうけれど,掃除を始めても部屋の隅から出てきた本を,本棚に収める前に読み出してしまうという習性の持ち主は,そんな当たり前のことが出来ずに,こうしてリストを書き出しては,10枚に絞るべくウーンと唸ってしまうのだった。
今年の10枚(アルファベット順)
1 Beck「Modern Guilt」
2 Brian Eno & David Byrne「Everything That Happens Will Happen Today」(写真)
3 Coldplay「Viva La Vida」
4 Kings Of Leon「Only By The Night」
5 Melody Gardot「Worrisome Heart」
6 Randy Newman「Harps And Angels」
7 Richard Julian「Sunday Morning In Saturday's Shoes」
8 Steve Winwood「Nine Lives」
9 Vampire Weekend「Vampire Weekend」
10 安藤裕子「chronicle.」
「音楽(新作レヴュー)」で取り上げた作品を除いて,簡単に紹介したい。
2はトーキング・ヘッズのリーダーと異能プロデューサーの27年振りのコンビ作。一聴しただけでは「普通のロック」に聞こえるが,コラージュとリズムを武器にして,新しい地平を切り開いた前作とは,地下で繋がっている意欲作。大らかなメロディ,コーラス,ギターの音響,どれを取ってもユニークで心が浮き立つ。
二男に教えてもらった4は新人かと思ったら,2003年のデビュー作が,今年出た快著「死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚」に取り上げられていたテネシー出身バンドの新作。繊細さといかつさが同居する音色の感触が新鮮だった。
5は若手ジャズシンガーのデビュー作。短期記憶障害という,事故の後遺症を乗り越えて作り上げた爽やかかつ艶やかな世界は,ノラ・ジョーンズとはひと味違う魅力を持っていた。円高差益還元が一向に進まない輸入盤の価格戦線にあって,タワーレコードでは1,190円で買えるという値段もグッド。
7はそのノラ・ジョーンズも在籍しているリトル・ウィリーズのメンバー,リチャード・ジュリアンのソロ作。曲のクォリティー,シンプルなアレンジ,スルメ風味の歌声が相俟って,今年一番散歩にフィットしたアルバムだった。
その他では,轟音ギターバンドMogwai「The Hawk Is Howling」の静謐さ,レヴューでも取り上げた大ヴェテラン,Al Greenの「Lay It Down」,奇跡は何度でも起きるのかBrian Wilson「That Lucky Old Sun」,これを聴いたらガンズ&ローゼスの新作は聴けないThe Mars Volta「The Bedlam In Goliath」,話題にならないのが不思議なレヴェルの高さを誇るMercury Rev「Snowflake Midnight」,数々の異種格闘技を経て第2の絶頂期を迎えたRy Cooder「I, Flathead」,侮れないお手軽ユニットThe Ting Tings「We Started Nothing」,9がなければテンに入れていたTV On The Radio「Dear Science」,ハウスの達人がカラヤン,ドビュッシー,ラヴェルに挑んだCarl Craig & Moritz von Oswald「Recomposed」等が,2008年の私を支えてくれた。
シングルではパフュームのB面「マカロニ」と,療養中のエイミー・ワインハウスに代わってブリティッシュ・ソウルの女王の座に就いたDuffy「Rockferry」の「Delayed Devotion」。
6のランディー・ニューマンの新作は,ミュージック・マガジンのロック部門(米国・カナダ)でも1位に選ばれていたが,未だに日本盤は発売されていない。金融はともかく,こうした文化的な閉鎖・閉塞状況は,この国の様々な文化の衰退を加速することは疑いない。是非とも日本版の発売を,廉価で。ここ大事です。
本当はこんな風に今年の音楽を振り返る時間があれば,どれか一つ(送別会は除く)だけでもきちんと為し終えるべきなのだろうけれど,掃除を始めても部屋の隅から出てきた本を,本棚に収める前に読み出してしまうという習性の持ち主は,そんな当たり前のことが出来ずに,こうしてリストを書き出しては,10枚に絞るべくウーンと唸ってしまうのだった。
今年の10枚(アルファベット順)
1 Beck「Modern Guilt」
2 Brian Eno & David Byrne「Everything That Happens Will Happen Today」(写真)
3 Coldplay「Viva La Vida」
4 Kings Of Leon「Only By The Night」
5 Melody Gardot「Worrisome Heart」
6 Randy Newman「Harps And Angels」
7 Richard Julian「Sunday Morning In Saturday's Shoes」
8 Steve Winwood「Nine Lives」
9 Vampire Weekend「Vampire Weekend」
10 安藤裕子「chronicle.」
「音楽(新作レヴュー)」で取り上げた作品を除いて,簡単に紹介したい。
2はトーキング・ヘッズのリーダーと異能プロデューサーの27年振りのコンビ作。一聴しただけでは「普通のロック」に聞こえるが,コラージュとリズムを武器にして,新しい地平を切り開いた前作とは,地下で繋がっている意欲作。大らかなメロディ,コーラス,ギターの音響,どれを取ってもユニークで心が浮き立つ。
二男に教えてもらった4は新人かと思ったら,2003年のデビュー作が,今年出た快著「死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚」に取り上げられていたテネシー出身バンドの新作。繊細さといかつさが同居する音色の感触が新鮮だった。
5は若手ジャズシンガーのデビュー作。短期記憶障害という,事故の後遺症を乗り越えて作り上げた爽やかかつ艶やかな世界は,ノラ・ジョーンズとはひと味違う魅力を持っていた。円高差益還元が一向に進まない輸入盤の価格戦線にあって,タワーレコードでは1,190円で買えるという値段もグッド。
7はそのノラ・ジョーンズも在籍しているリトル・ウィリーズのメンバー,リチャード・ジュリアンのソロ作。曲のクォリティー,シンプルなアレンジ,スルメ風味の歌声が相俟って,今年一番散歩にフィットしたアルバムだった。
その他では,轟音ギターバンドMogwai「The Hawk Is Howling」の静謐さ,レヴューでも取り上げた大ヴェテラン,Al Greenの「Lay It Down」,奇跡は何度でも起きるのかBrian Wilson「That Lucky Old Sun」,これを聴いたらガンズ&ローゼスの新作は聴けないThe Mars Volta「The Bedlam In Goliath」,話題にならないのが不思議なレヴェルの高さを誇るMercury Rev「Snowflake Midnight」,数々の異種格闘技を経て第2の絶頂期を迎えたRy Cooder「I, Flathead」,侮れないお手軽ユニットThe Ting Tings「We Started Nothing」,9がなければテンに入れていたTV On The Radio「Dear Science」,ハウスの達人がカラヤン,ドビュッシー,ラヴェルに挑んだCarl Craig & Moritz von Oswald「Recomposed」等が,2008年の私を支えてくれた。
シングルではパフュームのB面「マカロニ」と,療養中のエイミー・ワインハウスに代わってブリティッシュ・ソウルの女王の座に就いたDuffy「Rockferry」の「Delayed Devotion」。
6のランディー・ニューマンの新作は,ミュージック・マガジンのロック部門(米国・カナダ)でも1位に選ばれていたが,未だに日本盤は発売されていない。金融はともかく,こうした文化的な閉鎖・閉塞状況は,この国の様々な文化の衰退を加速することは疑いない。是非とも日本版の発売を,廉価で。ここ大事です。