子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

Black Uhuru「Sinsemilla」:素晴らしき低額旧譜の世界

2009年08月27日 20時39分51秒 | 音楽(アーカイブ)
特定の企業の肩を持つことは筆者の本意ではないのだが,某大手輸入レコード店が展開している「輸入盤千円生活」キャンペーンは,そんな建前を越えて宣伝したくなるような嬉しい企画だ。
子供の教育費が家計を圧迫し,ボーナスも下がる中,頑張って品揃えを充実させているTSUTAYAでも入荷する可能性が低いと思われるような,かなり渋めの旧譜がきっかり千円で手に入るというセールは,音楽愛好家にとっては文字通り「悪魔の囁き」以外の何物でもない。

交際費の捻出に四苦八苦している状況を顧みず,トラフィックの「John Barleycorn Must Die」や,P.I.Lの「Flowers Of Romance」を手にして狂喜していたのだが,今度は千円オーバーのものも加えて,「アイランド(レーベル)特集」というコーナーが新設されてしまった。
フェアポート・コンベンションやボブ・マーリーといった,レーベル創成期を支えたアーティストから,「少し愛して,長く愛して」の典型とも言えるような活動歴を誇るトム・ウェイツ,更にはダブリンから出て見事超ビッグ・ネームへと成長を遂げたU2まで,百花繚乱のカタログは80年代に青春を過ごした昔の若者を幻惑することこの上ない。

まんまと昔懐かし商法にはまったおじさんは,別に頼まれた訳でもないのだが「レゲエに強いアイランド」という看板を守るべく,Linton Kwesi Johnsonの「Bass Culture」とBlack Uhuruの「Sinsemilla」の2枚を計2,000円で手に入れて,ひとりほくそ笑んでいる。

どちらも一時代を画したエポック・メイキングな名盤なのだが,ジャケットの方は,「Bass Culture」がエッジ鋭く迫ってくるポエット・リーディングが聞こえてくるような,リントンを知らない若者までをも惹き付けるであろう美しくシンプルなデザインなのに対して,三流ホラー映画の手描き看板のような「Sinsemilla」の方は,好き好んで手に取る若者はいないだろうダサさが新鮮だ。
しかし,スライ&ロビーという名うてのリズム・セクションが叩き出す強靱なビートに支えられたマイケル・ローズの粘着質の声は,30年近い時を越えて今もなお私を金縛りにする。

言うことなしの低価格セールだが,こんな名盤3枚が束になっても,コブクロの新譜3,150円は買えません。悪しからず。


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