子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

全国高校サッカー選手権大会決勝:流通経済大柏高VS藤枝東高=4:0

2008年01月16日 23時37分47秒 | サッカーあれこれ
確かに力量の差はあった。個人の技術,走力,組織力,どれを取っても柏高が上回っていたことは確かだ。しかし,4:0というスコアが両校の差を反映したものだったかと問われれば,そこまでの差はなかったというのが正直な感想だ。
あの程度の差であれば,高校生の試合である以上,番狂わせは起こり得る範囲内だったという感触が残る。それでも現実には4:0というスコアになってしまった。
それは何故なのだろうか。

前半の15分過ぎくらいの時点で,既に最終的にはこういうスコア(一方的な大差)になるかもしれないという徴候はあった。
それは,自陣奥深く攻め込まれた所で,どうにかボールを奪った藤枝東DF陣が,そのボールをことごとくロングボールで逃げようとした姿に表れていた。
練習試合でも勝てなかった相手に,予想通りキックオフ直後からボールを支配された藤枝東高は,数的有利を保っていた場面でも闇雲に前に蹴り出す,繋げそうな局面でもタッチに逃れる,というプレーを連続して行ってしまったのだ。

長短のパスを確実に繋がれ,ドリブルでも最終ラインを破られ,シュートトライを何本かされた時点で,外から見ているよりも深い恐怖が,藤枝イレブンを蝕んでいたのだろう。
柏サイドから見ると,敵陣からサイドに廻されて早めにくさびを入れられる,もしくはワンツーで縦に抜けるようなカウンター,いずれかが一度でも形になったとすれば,それは即攻め上がりの躊躇となって攻撃のペースを変えることになったはずで,「(取り敢えず)蹴っとけ!」という藤枝の守りは,逆に柏を勢い付けたという気がしてならない。

まぁ仮にそれがなくとも,攻勢に出た時の,柏の選手の視野の広さが高校生離れをしていたことは確かで,大前選手の左足ボレーや途中から出てきて追加点を奪った2年生のラボーナなど,卓越した個人技と併せて,勝敗は覆らなかった可能性は高い。
しかしそれでもなお,同じ高校生相手に決して引かないぞ,という気持ちが高いレベルで藤枝の選手に浸透していたならば,執拗かつ丁寧にボールを繋いでカウンターを試みる姿勢となって表れたのではないか,と思ってしまうのだ。
そして,もしそういう展開が前半を通して見られていれば,柏が最も恐れたかもしれない「伝統の力」と相まって,「ニューカマー」たる柏に対して様々な形のプレッシャーが,試合を拮抗させ得た可能性は,確実にあったはずだ。


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