子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

相対性理論「ハイファイ新書」:語呂合わせ,貝合わせ,鉢合わせ

2009年01月28日 23時36分41秒 | 音楽(新作レヴュー)
車で聴きながら思わずツッコミを入れてしまった。「交換留学生,集団下校中」って,西高東低かっ?なんて。

不思議系女子高校生の(ような)舌足らずで,音程がスリリングな囁き声が,意味や語感が対をなす(ような気がする)単語の並びが生み出すリズムに乗って,「平熱36度2分」の気分を歌うグループのメジャー・デビュー盤だ。
耳に飛び込んできた音は,一発芸のような扮装をまといながら,確実に「ザ・スミス」から「くるり」まで,多くの先達を咀嚼してきたと思わせる真っ当なギターバンドの自負も見え隠れしており,マイスペースやiTMSで火が付いた,という事前情報に関係なく,充分に楽しめるものだった。

とにかく笑える歌詞がユニークだ。中年男性をターゲットに据えて「ああ先生,フルネームで呼ばないで」としなだれかかるかと思えば,「フジカラーで写す七不思議」と心霊写真について歌われれば,顔の横に樹木希林の顔が写っていたら,そりゃやっぱり恐いでしょう,とつい応えてしまうというものだ。
ギターを中心に据えたアレンジはシンプルだが,深めのリヴァーブと不安定なヴォーカルとの相性は絶妙で,ヤング・マーブル・ジャイアンツとまでは行かないけれども,この尖った癒し感は癖になる。

最後の曲の中で,一応「もうやめたぁー,世界征服やめたぁー」と唄ってはいるが,どうしてどうして。虎視眈々と北関東制覇くらいは狙っているように見えるし,「なんでもいいから四捨五入」とささやく歌声は案外,「テレ東」の電波が届く領域を越えて,広く遠くまで達する可能性があるかもしれない。
★★★☆


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