Music Mania

No Music No Life

サバスvsオジー対決

2014年06月15日 | 音楽
1982年、全曲ブラック・サバスの曲が演奏された2種類のライブアルバムが発売された。
1つは、ブラック・サバス「ライヴ・イーヴル」。
もう1つはオジー・オズボーン「悪魔の囁き」。

「ライヴ・イーヴル」はサバスの作品なのだから、全曲サバスナンバーなのは当たり前だ。
メンバーは、トニー・アイオミ、ギーザー・バトラーの他、ヴォーカルにロニー・J・ディオ、ドラムにヴィニー・アピス。
問題はオジーの「悪魔の囁き」で、なぜ全曲サバスナンバーなのだろう?
一説によると、契約の関係上どうしても早急にアルバムを作らねばならず、しかしランディー・ローズは不慮の事故で他界したため、ライヴ盤を出すことにしたらしい。
しかし、キーボード奏者が脱退したため、鍵盤なしで出来る楽曲となると、サバスナンバーしかなかったらしい。
この時のメンバーは、オジー他、ギターにブラッド・ギルス、ベースにルディ・サーゾ、ドラムにトミー・アルトリッジ。

同じ時期に同じバンドの曲を演奏すれば、当然同じ曲を演っている。
2つのアルバムからのダブり曲は以下の通り。

N.I.B
ブラック・サバス
ウォー・ピッグス
アイアンマン
チルドレン・オブ・ザ・グレイブ
パラノイド

では、これらの楽曲を聴き比べてみよう。

まずは重量級対決で「ウォー・ピッグス」

ブラック・サバス「ウォー・ピッグス」


オジー・オズボーン「ウォー・ピッグス」


演奏時間は、サバス=9分17秒、オジー=5分35秒
この時間の差はなんだろう?
まずサバス版はヴィニーのドラムソロに繋がっているので、それを除くと7分20秒になる。
それとオジー版は、ギターソロ後のブレイク部分が4小節省かれて、いきなりボーカルが入っている。
それらを差し引いても、オジー版が短いのは、テンポが早いからだ。
若手ミュージシャンによるフレッシュな演奏は、実にタイトで軽快ですらある。
それに対し、サバス版はさすがのヘヴィな演奏で、貫禄を感じる。
ロニーのボーカルはやや力み過ぎか。

次はおどろおどろ系対決で「ブラック・サバス」

ブラック・サバス「ブラック・サバス」


オジー・オズボーン「ブラック・サバス


演奏時間は、サバス=8分34秒、オジー=6分4秒
サバス版は曲の前にギターソロがあるので、それを除くと7分15秒ほどだ。
それでもやはりサバス版の方がスローだ。
歌詞のなかに「Satan sitting near he's smiling」という部分があり、そのあと笑い声が入る。
「サタンが近くに座り笑っている」の笑い声が、オジーは不気味に「ハハハハ…」と微笑むのに対し、ロニーは「ファッハッハッハー!!」と勝ち誇ったように笑う。
同じ歌詞でも解釈の違いで、表現が変わってくるのが面白い。

次はファストナンバー対決で「パラノイド」

ブラック・サバス「パラノイド」


オジー・オズボーン「パラノイド」


こちらはどちらもほぼ同じテンポで演奏される。
サバス版はエンディングが「ヘヴン・アンド・ヘル」に繋がっているので、演奏時間は長い。
こういうアップテンポの曲でも、サバス版は重い印象だ。
ボーカルはやはりオジーの方がしっくりくる。
ギターソロは、アイオミもギルスも弾きまくりだが、ギルスの方が派手で、速弾きあり、アームあり、クリケット奏法ありの自我が強いソロだ。

一説によると、ロニーとオジーは不仲だったらしい。
人一倍プライドの高いロニーからすると、オジーは歌唱力がないくせに大物ぶってるように見えたのかもしれない。
しかし、逆に言えばロニーは歌唱力だけの人で、それ以外ではオジーの方が音楽家として優っているのではないだろうか。
ギタリストを見る目、若い才能を引き出す力、歌メロの作曲力などはオジーの方が優れているように思う。
ボーカリストとしての力量は、ロニーはもう圧倒的で、オジーは逆立ちしても叶わないけど。
コメント (8)