2月14日放送のディスカバービートルズは、先週の続きでアビーロードから、今回はB面である。
A面とはだいぶ印象の異なる雰囲気をもつB面で、最初の2曲を除いてあとは小曲がメドレーで繋がっている。
当時イギリスで流行しつつあったプログレッシブロックによくある組曲形式みたいなものだ。
さすがに完成度が高く、このアルバムを名版たらしめている。
1曲目はジョージの作品で、エリック・クラプトンの家の庭で曲が降りてきたらしい。
このアルバムでジョージの曲は2つあるが、両方とも名曲と呼ぶに相応しい完成度で、ジョージの成長の証でもある。
この曲により、ジョージのインド音楽からの影響は表面的なものではなく、完全に消化されて、一聴したところでインド色はまるでないみたいに聴こえる。
2曲目はジョンの曲で、ヨーコの影響による俳句風の歌詞とベートーベン風の曲調で、ジョン、ポール、ジョージの3人のコーラスが美しい。
ビートルズはロックバンドでありながら、コーラスグループのように完璧なハーモニーが出来るバンドであるが、この曲もその実力が発揮されている。
3曲目からはメドレーである。
単に短い曲を繋げてるのではなく、きちんと計算されていて無駄がない。
最初の「ユー・ネバー・ギブ・ユア・マネー」だが、ここで聴けるギターのアルペジオフレーズはジョンだという。
分散和音を上手に使ってるのがジョンらしいとは、DJの杉氏の意見だ。
なので、おそらく次の「サンキング」のアルペジオもジョンだらう。
出だしの「Here comes the Sunking」という歌詞は、B1の『ヒア・カムズ・ザ・サン」と似ていて、つながりを感じる。
「ミーン・ミスター・マスタード」と「ポリシーン・パン」はやや慌ただしく進んでいき、場を盛り上げていく役割を果たして、次の『シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウインドウ」でパッと開けた感じになる。
この辺りの流れは実に見事だ。
「ゴールデン・スランパー」から「キャリー・ザット・ウェイト」「ジ・エンド」までの流れはポールのライブのラストシーンでお馴染みの展開だ。
僕はライブでこれを聴いて本当に感動した。
大きななドラマが終了するような、重圧なラストシーンである。
これにてビートルズは終了するのである。
最後の最後に、オマケみたいに「ハー・マジェスティ」が始まり唐突に終わる。
これは何かの間違いだったらしいけど、僕はあってよかったと思う。
このピタッと終わる感じがいい。
アビーロードのアルバムジャケットは、あまりにも有名な横断歩道を渡る写真だけど、今では多くの観光客がここで写真を撮るため交通事故が絶えないという。
有名になりすぎるのも困ったものである。