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No Music No Life

キャリアポルノは人生の無駄だ

2014年06月08日 | 読書
谷本真由美著書「キャリアポルノは人生の無駄だ」を読んだ。
谷本真由美さんとは、ツイッターでは「めいろま」の名前で活躍中の、ロンドン在住ヘビーメタル大好きキャリアウーマンだ。



彼女の言う“キャリアポルノ”とは、いわゆる自己啓発本のこと。

なぜそれがポルノ扱いなのか?

谷本女史はいう。

私はこれらのゴミ、いや、歯クソをキャリアポルノと呼んでいます。なんで歯クソでキャリアポルノかというと、「読んでる間に気分が良くなって俺って何か凄い」という気分になる物だからです。
オナホで自家発電するのと同じですよ。要するに。意識高い学生や、キャリアセミナーなんかに通っているサラリーマンは、秋葉でオナホや等身大のダッチワイフを買って喜んでいるヲタクより恥ずかしいわけです。



この人はエリートでありながら、偽悪的ともいえる下品な物言いが特徴なのだが、キャリアポルノという言葉の由来は“フードポルノ”らしい。
そして、自己啓発本というのはイカサマ紛いのものが多く、それをド素人が読んだところで何の役にも立たないという。

それなのに何故本屋には自己啓発本がズラリと並び、売れ線になっているのか?

谷本氏によると、非正規雇用の恐怖から来ているという。
現在正社員であっても、それがいつまで続くのか誰もわからない。
非正規の人は、このまま何もしないでいると、這い上がるチャンスすらない。
だから、所謂キャリアポルノを読んで、「自分もなんとかなるかもしれない」という気休めに走るのだという。
しかし、成功者の代表のようなキャリアポルノ著者というのは、実は元々ものすごく金持ちだったり、ハーバードをトップの成績で卒業してるなど、普通の一般人ではないことが多いという。
あるいは、何の後ろ盾もなく会社を興して数千人の組織に育てあげるような人というのは、変人レベルで「絶対に金が欲しい」「俺は組織をでかくしたい」という怨念がなきゃ無理だという。
そんな怨念じみた意欲のある人間というのは谷本氏曰く、「近所にいたら町内会の99.899%の人に『あいつおかしい』と言われているタイプ」だそうだ。

ではどうすればいいのか?

“めいろま”こと谷本女史はいう。

人生、仕事が全てではないでしょ?と。
自己実現をするのは、何も仕事の場である必要はないですよ、と。
恋人と素敵な時間を過ごしたり、家族と食事をしたり、あるいは代官山のオサレ茶店でガトーショコラを食べたり、またはデスメタルバンドでベースを弾き「腐った豚」と叫んだり、それが自己実現でもいいではないか、という。
自分を受け入れ、太っていても、やせていても、中肉中背でも、親が同性愛者でも、妹が刑務所に入っていても、貧しい田舎町出身でも、時給800円の仕事をしていても、それらすべてが自分をつくっているものであり、恥ずかしく思う理由も、卑下する理由もない。
できる範囲で自分の生活をどうしたら楽しくできるか?を考えるべきだという。
例えば、イギリスの工業地帯の若者は週末にアイアンメイデンなどのヘビーメタルのコンサートに行って人生を楽しんでいるじゃないか、と。

僕は以前から谷本氏のブログ“ロンドン電波事情”を読んでいるので、だいたいどういう人かはわかっているのだが、少々欧州贔屓がすぎるように思う。
自己啓発本をキャリアポルノと書くセンスはなかなかのものだと思うが。
確かに自己啓発本の類は、直接は役立たないものだろう。
僕も20代の頃はいくつか読んだが、直接は役立たなくても、モチベーションが上がることはあると思う。
それこそ単なる気休めなのだが、それを言えば週末にアイアンメイデンのコンサートに行くのも気休めじゃないのだろうか?
いやいや、仕事は金のため、コンサートは心の栄養のため、ならアイアンメイデンの方が有意義かもしれないね。
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フォークのヒエラルキー

2014年06月07日 | 邦楽
昨日の昼休み、フォーク大好き人間の“家具屋 姫夫”(仮名)が、井上陽水の「氷の世界」について熱く語ってくれた。
1973年に発売されたこのアルバムは、日本で初めて100万枚を突破する大ヒットとなり、フォークの大名盤だという。

そういえば、もう16~17年くらい前、この男から「氷の世界(曲)」の携帯用着メロを作ってくれと言われ、音を取って採譜したことがある。
ベース音とコードのルートをバックに、歌メロと間奏のハーモニカソロまで採譜し、携帯に入力したのだが、なかなかの出来だったと思う。
これが社内で評判になり、以降いくつかの着メロを作った。
「ホテルカリフォルニア」のエンディングのアルペジオとか、東海テレビの昼ドラ「はるちゃん」のテーマ曲とか。
そのうち、家具屋姫夫が学生時代に作った自作のフォークソングのカセットテープを持ってきて、これを全て楽譜にしてほしいと依頼された。
全部で10曲くらいあったが、結局最初の2曲だけ譜面化して、あとは面倒になって放棄した。

話を井上陽水に戻そう。

家具屋姫夫によると、井上陽水や吉田拓郎のファンは、かぐや姫を格下に見たり、バカにする傾向があったという。
僕は同じ話を"ナイトカフェ弾き語り”の常連さんからも聞いたことがあるので、本当なのだろう。

家具屋姫夫は言う。
そういうのは実につまらないことだ、と。
おそらく、かぐや姫は「神田川」などのヒットにより、一般層にも支持されていたのだろう。
そういうのが、コアなフォークファンからすると気に入らなかったのかもしれない。

テレビに出たから魂売った、とか、ヒット曲が多いから大衆に媚びてるとか、ポップ化したから気に入らないとか、本当につまらないことだ。

そういうつまらないことを言う人は、他を見下すことでしか自分の好きなアーティスト、あるいは自分自身を肯定出来ないのかもしれないが。
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4分33秒

2014年06月01日 | 音楽
今日も現代音楽の話題。

どうも僕は現代音楽というジャンルがよくわからない。
新しいことをやろうとするのはいいが、如何せん前衛的すぎてついていけない。

今日紹介するジョン・ケージ作曲の「4分33秒」もそうだ。
ここまでくると存在意義すらわからない。

全3楽章からなる曲だが、全て休符のみで構成されており、事実上無音が続く。
全て演奏(?)が終わって、きっちり4分33秒。
つまり、4分33秒間の無音なのだ。

実に滑稽なことだが、この曲はたまにコンサートでも演奏される。
指揮者も演奏者も4分33秒間何もせず、只々時間が過ぎるのを待ち、終了すると客席から拍手が響く。

さらにいえば、なんとこの曲のCDもあり、4分33秒間の空白があるらしい。
iTunesでも発売されていて、それなりに売り上げがあるのだという。

驚くのはまだ早い。

信じがたいことだが、この曲のカラオケもあるという。
たぶん、4分33秒の間無音が続き、歌う人はマイクを持って時が経つのを待つのだろう。

これは音楽なのだろうか?

意図的に無音を体感したいのなら、お寺で座禅でも組んでたほうがいい。
歌や楽器以外の音を楽しむのなら、それこそ街や山や海辺で、目を瞑って耳をすませばいい。
今それなりに話題性があるのは、ジョークとしてのネタであり、音楽として評価されてるわけではないのだ。

ジョン・ケージ「4分33秒」
動画再生回数が74万回を超えている。
世の中には物好きも多いものだ(僕もだけど)



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