日曜に図書館で仕事をした代わりに、会議のない火曜、名古屋に帰る前に、狭山丘陵を歩いた。
この一帯は、今では「トトロのふるさと」として自然を残す運動の地。
小学校の遠足で行った狭山湖・多摩湖の人造湖だけだと面白くないが(昔は「ユネスコ村」というものがあった)、
むしろ、「トトロの森」となって、東京近郊では貴重な自然林があらたな魅力となっている。
私にとっては山だと膝が心配だが、ここはたかだか比高100mなので散歩気分で歩ける。
第一、早起きしなくていいのが楽。
西武新宿線に乗り、「東村山」で下車。
ここって、「~音頭」だけでなくいろいろ地元の名物があるらしい。
まず、区部にはない「餃子の満州」の店に惹かれたが、あえて素通りする。
なにしろ、今回持参のガイド本『トトロのふるさと 狭山丘陵見て歩き』(トトロのふるさと財団編)によれば、
東村山は”うどん文化の聖地”で「武蔵野うどん」というのが名物らしい。
さっそくその店に達したが、丁度昼時で満席。それに表のメニューによると”L”で3玉とあり、2L,3L,4Lと並んでいる。
うどん3玉なんて、今の私の腹には無理。
こういう店でMなんて頼むと、周囲の目が怖くなる。
楽しみにしていたうどんを諦め、道脇の店で、1/3の長さののり巻き3巻(各60円、計1本分)を買い、
最初の訪問先・徳蔵寺の待合室で食べる。今の私はこれで足りる。
徳蔵寺の板碑は高校の時見たので割愛し、久米川古戦場跡(新田義貞が幕府軍を破った)を過ぎて、いよいよ丘陵に登る。
この将軍塚へ登る道に入ればすぐに自然の雑木林が続き、映画のシーンを思い出す。
奥多摩などの山地はほとんど針葉樹の植林なので、単相で整然と直立した樹相で面白くないが、
狭山丘陵の森は雑木林なので、樹相も樹形も複雑で、何が出てくるかわからない面白さがある。
まさに「トトロ」にふさわしい。
将軍塚を過ぎ、足下に病院が続く八国山の尾根道を通り(映画のシーンを思い出す)、
一旦住宅地に出て、鳩峯八幡神社に登り返す。
林の中の静かな境内(右上写真)には、トトロならぬ鳩ならぬ烏がのんびり一羽歩きまわっていた。
鳩峯公園をぐるっと廻って、保護のために財団が買い取った「トトロの森2号地」を越え、
また住宅地に降り、そして登り返して、ドレミの丘公園の開けた花畑をすぎ、
ネコバスが走ってきそうな森の中の未舗装の車道を進む(右下写真)。
森から明るい浅間神社に出ると、そこには荒幡富士という人工ながら立派な富士塚がそびえている。
頂に立てば、西武園、西武球場のドームなどを一望。
天気がよければ本物の富士とも対面できるという。
近くにある「いきものふれあいの里センター」でトイレを借りるついでに、
さっきの花畑の花の写真を見せて、種類を尋ねたが、野の花ではなく、名はわからぬが外国の園芸種だという。
近隣の人が、種を撒いたらしい。
丘を下って、西ケ谷戸橋で竹林を流れる柳瀬川渡り、西武狭山線の「下山口駅」に着いた。
標高100m台のこの丘陵なら、膝を案じることなく思い切り歩ける。
それに自然の雑木林は、山の植林より見て楽しい。
トトロの森は狭山丘陵のあちこちに分散している。
今日歩いたのは、ガイド本で紹介されている15コースのうち2コース分。
ここなら気楽に来れていい。