満を持しての善福寺川の川沿い歩き。
先月は、まだ冬枯れの中、下流側合流点から出発し、中ほどの緑地公園の天王橋まで歩いた。→記事
残りの後半部は3月下旬にやろうと思っていた。
その間、母の脳梗塞発症で実施が危ぶまれたが、
従姉が来てくれて、家を空けられるようになったので、
再び満を持して、桜開花の声を聞いた今日、後半部をやりとげることにした。
といっても街中の川沿い歩きなので、準備も覚悟もいらない。
まず開始地点の天王橋へは、地下鉄丸ノ内線の「南阿佐谷」で降りて、徒歩で向う。
善福寺川が北に大きく屈曲する頂点の天王橋付近は桜並木になっており、今が絶好のシーズン(写真)。
ここから上流に向って歩きはじめる。
水源までは6kmとの表示を見る。
さっそく近くの「尾崎熊野神社」に立寄る。
「尾崎」とは川の屈曲地形を指しているとのこと。
ここには樹齢400年の大きな黒松があり、区指定天然記念物になっている。
木が高すぎてカメラのファインダに入りきらない。
さらに川沿いの公園内を進むと、調整池の工事をやっており、残念ながらその区域だけは川沿いに歩けない。
神通橋で川沿いになるが、和田堀公園から続いたここまでの長い公園は終わり、ここから先はずっと民家の裏側を通る感じになる。
iPadminiで携行する「MapFan+」(オフラインで使えるから便利)では、ここから先は川べりには道がなくなるが、実際には人1人がやっと通れる(すれ違いできない)細い歩道が両岸に続いている。
環八の大通りは歩道橋で越える。
川自体は水が澄んで、サギやカモなどが所々にたむろしている。
ただ魚影はまったく見えない。
あの鳥たちは、川底の虫でも食べているんだろう。
川床は妙正寺川のようなコンクリではなく、かといって自然状態でもない。
一旦作ったコンクリの川床を壊して自然に近づけたような感じ。
そんな中、川草の茂ったある地点で、金色の大きな(80cmくらい)鯉が一匹だけ悠然と尾びれをゆらして泳いでいた(写真)。
橋の上からズームで写真を撮っていると、自転車に乗ったおじさんが止まって、同じ鯉に目をやる。
おじさんに「大きな鯉がいますね」と話しかけると、「この川は、(下流の)神田川とちがって、水はきれいなんだが、生活排水があるためか、魚がいない」という。
魚影が見えなかったのもうなずける。
JR中央線の高架を川とともにくぐり、右に左に蛇行する川沿いの歩道を進むと、正面に井荻中・小学校の建物が川を覆うように建っていて、その間は道はあるものの通行止めになっている。
妙正寺川でもやはり川沿いの歩道を遮断しているのは、川をまたいでいる区立学校だった。
迂回路の案内図があり、それに従って再び川沿いに出ると、行く先に木立が見える。
そして最後の蛇行を曲がると、行く先の木立の下に川の終点が見えた。
近づいていくと、そこは水源である善福寺池からの流出口で緩い滝状になっている(写真)。
そこが善福寺川の開始点であり、下流からの遡行の終点だ。
最後の美野山橋(写真に写っている橋)を横断し、善福寺池からの流出口すなわち川の開始点に達する。
そこは池から川へ流れる水がいったん溜まった状態になっており、小学生の男の子たちが遊んでいる。
ということで、水源の善福寺池に着いた。
すなわち、善福寺川の遡行が完了した。
ただし、善福寺池は上下二つに分れており、川への流出口があるのは”下の池”。
真の水源があるのはこの先の”上の池”だ。
はやる心を抑えて、また寄り道をする。
この付近の総鎮守・井草八幡に参拝するのだ。
下流の大宮八幡には及ばないものの、水源の井草八幡もなかなか立派(あちらは源義家、こちらは源頼朝にゆかりがある)。
ただ併設の民俗資料館は日曜のみの開館のため入れなかった。
あと、境内の隣りに浅間神社と小さな富士塚があり、境内にも富士講の石像があった。
善福寺池に戻り、自販機でアイス(ソフトクリーム)を買い、上の池に行く。
上の池の方が面積が大きく、日曜にはボートも出る(写真)。
この池が善福寺川の真の水源なので、池畔のベンチに腰かけ、池を眺めながらアイスをなめる。
だが訪れる先は最後にもう一ヶ所ある。
善福寺川の真の水源のさらなるピンポイントとなるのは、善福寺池の上の池の西側にある「遅野井の滝」。
頼朝が「遅い」と言った湧水からの滝なのだが、残念ながら今は枯れて機械で地下から汲上げている。
人工湧水であっても水源であることには変わらない。
こうやって水源それ自体を目で確認できるのも遡行した甲斐があるというもの。
すなわち、善福寺川は神田川との合流点から水源の滝まで、ほとんどすべてを通して見ながら歩ける貴重な川である。
たった一ヶ所、井荻中・小学校の迂回路を除いて…。
この後、近所の「善福寺」に詣で、西武新宿線の上石神井駅まで歩いた。
歩数は2万歩を超え、久しぶりのウォーキングなので中殿筋に痛みを感じた。
これにて春休みの予定完了。