元日※の地震被害の復興がままならない能登半島に大雨が襲いかかり、死者を出し、復興住宅が浸水した。
※:元日であって元旦(元日の朝)ではない。
まさに”泣きっ面に蜂”状態で、追い討ちとしてつらすぎる。
地震はプレート境界だけでなく、活断層あるいはひずみ帯でも発生する。
大雨をもたらすのは台風の他に停滞前線(梅雨・秋雨)もある。
言ってみれば、地震も気象災害も日本のどこでも起こりうると思っておいた方がいい。
ただ、災害発生の程度は、その地の地質・地形要因で決まり、被害の程度は防災体制で決まる。
すなわち、まず自然要因としての地質・地形によって災害が発生しやすい場所が異なる、言い換えれば”分かる”のだ。
以下、冷酷な記述となるが、客観的にも明白な事実であることを心してほしい。
地質は地盤の硬さを決めるので、地震の揺れの大きさを決定する。
柔らかく・水分が多い地盤ほど揺れやすい。
以上の基準での揺れやすさの順は、河川沿い・三角州>沖積平野>台地>山地となる。
日本の国土の7割を占める山地は地盤は硬いが、急斜面で人は住めない。
なので残り3割の平らな所に人は集まるわけで、
国土において過疎地と人口密集地とに分かれるのは仕方ない。
人が集まる都市は全て河川が持ってきた土砂で作られた沖積平野にある。
すなわち、都市は地盤が弱いので、地震の揺れが大きい。
ただ細かく見ると、例えば日本最大の関東平野にも地盤が比較的硬い”台地”が点在している。
東京区部でいえば、京浜東北線の線路が地盤(台地と平野)の境界で、その東側(千葉県境まで)が弱い。
愛知・名古屋でいえば、市内の堀川が地盤(台地と平野)の境界で、その西側(三重県境まで)が弱い。
地形は、重力に従う水害に関係し、傾斜・標高がポイント(実は上の区分は地形による)。
大雨については、斜面の上(台地)が最も安全で、ついで傾斜面、最悪なのが四方から水が集まる低地・窪地。
その低地の標高が海抜に近いと、あふれた水が引かず、逆に海から海水(津波、高潮)がやってくる。
なので河川の河口付近、海沿いの平野部は危険。
上の東京東部・愛知の堀川以西は、地形の境界でもあり(両地とも海抜以下の0メートル地帯が広がる)、この危険にも該当するダブルで危険な地域※。
※:東京東部はこれらに加えて、首都直下地震の震源予想地に近く、荒川が破堤した場合の水没地帯でもある。愛知の堀川以西は日本最大の0メートル地帯が広がり、仮に木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)の洪水は免れても、ここに南海トラフ地震による高さ5mの津波がやってくる。
では山地は安全かというと、まず山の斜面は居住できない。
その斜面の下の川沿いに集落があるが、実は山の斜面には固有の危険がある。
土砂災害(崖崩れ、地滑り、土石流)だ。
しかも土砂災害は、地震によっても大雨によっても発生する。
すなわち発生確率がそれだけ高いのだ。
大都市でも、丘陵を削って宅地が広がる横浜市や広島市にはこういう危険地帯が多い。
能登半島は、日本海沿いに複数の活断層が走っていて、海沿いは山が迫って平坦部が狭い(そこは津波・高潮の危険地帯)。
すなわち、地震でも大雨でも土砂災害が発生しやすい。
輪島などの小さい平野部は窪地状態なので周囲の山からの雨水が集まって、あっという間に水が溢れる。
これは半島という地形のせいで、房総半島も紀伊半島も同じ※。
※:微妙な違いとして、房総半島は東方沖や相模湾の震源に近い。紀伊半島は元々の多雨地帯で内陸山間部で土砂災害が多く、南海トラフ地震では三重・和歌山の海岸に高さ10mの津波が襲来する。
仮に地震・大雨の発生確率は全国均一だとしても、上述した理由で災害の危険度は地域によって差があり、比較的安全な地域と危険な地域にあらかじめ分かれている。
この冷徹な事実を受け入れた上で、居住地を考え(直し)た方がいい。
現在の自宅がどちらに属するかは、居住自治体発行の(地震、洪水、土砂災害)ハザードマップを見ればわかる。
以上の記述の裏を返すと、ズバリ・一番安全なのは、地盤が比較的硬く、しかも津波・氾濫・土砂災害の危険のない”台地”ということになる。
それは京浜東北線の西側(山手線側の本郷台地・荏原台地)、堀川の東側(熱田台地)に広がっている(台地は水供給に難があって水田には不向きだが、水道の普及で居住地としては問題ない)。