今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

心理学理論としての仏教へのスタンス

2025年02月09日 | 仏教・寺巡り

私は”仏教”を神聖なる宗教教義ではなく、苦から脱するための実用的な心理学理論(道諦)とみなす。
※:釈尊の悟りの内容である四諦(苦、集、滅、道)の四つめ。
なので私が構築している「心の多重過程モデル」と照合して、双方の理論を批判的に統合(再構成)していきたい(理論は批判を通して洗練されていく)。
すなわち、仏教の理論(教義)を無批判に承認せず、距離を置いて批判的に接し、あわよくば21世紀の人類に適用できるレベル(最新の知)に洗練させたい(逆に言えば、昔=今のままの仏教だと誰も救われない

たとえば、自我の背後の自己(自己の自我でない部分)は、ヒンドゥー教の「アートマン」なのか仏教の「仏性」なのか「アーラヤ識」なのかという議論は無意味で、むしろ過去にそのように非科学的に実体概念化されていたその部分を「システム3」(自極)として機能的・心理学的に再定義する。
※:「心の多重過程モデル」内での位置づけであって、既存の(システム1と2しか視野にない)心理学概念に還元するものではない。

そして自我(システム2)の限界を乗り越えるシステム3を開発できる実用的な技法として”瞑想”を位置づける。
瞑想についての生理心理学的研究はすでに盛んで、私自身、自分の瞑想の成否を脳波アプリで判定している。

道諦の具体化である”戒律”も、エリート主義的なサンガ(出家集団)のそれではなく、生産労働に従事し、家庭を持つ普通の在家が実行できるものに限定する。
※:性的禁制はもちろん、食事は午前中に1回のみ。所有も生産労働も禁止。なので全員がサンガに入れば人間社会は滅びる。

大切なのは本能的欲望を含んだ人間性(システム0〜2)に対して、基本は肯定し、ただ放縦(欲望による心の支配)に流れない、バランス的に制御する高度な統制力の育成が重要である。
なぜなら、善悪二元論を論拠とする禁欲主義(欲=悪)は、やたら細かい校則と同じで、本人の統制力(智慧)の育成につながらない(独裁政権下の国民が善悪を自分の頭で判断できないのと同じ)。

さらに、既存の心の統制に汲々とするのではなく、未開発の心の能力(システム3以降)を育成することの方が重要だ。
なぜなら、心が高次レベルになれば低次レベルの欲望は自然に低下するから(マズローの欲求階層説でも説明済み)。

ちなみに生成AIはシステム2レベルの既存の能力の効率化であって、システム3以降に対しては無力。
その意味でも21世紀の人間は仏教が目指しているシステム3の開発方向を目指すべきだと思っている。


文章校閲能力の生成AI比較

2025年02月07日 | パソコン・メディア
生成AIを利用することは、情報生産性の面からもはや必須となりつつある。
情報生産は自身の力で、という倫理観もわからなくはないが、研究者がデータ分析をする際、現在では手計算(電卓)ではなく、エクセルやR、SPSSなどのツールを使うのが必須なのと同じだ
※:いいかげん人類は情報処理などの雑務から解放されて、霊的ステージアップにつながる人格の陶冶に邁進する段階に入ってほしい。

現在のところ、用途の多くは”情報検索”だろうが、中国のDeepSeekに関して取り沙汰されているように、情報の信頼性に難がある(そもそもネット上の情報は玉石混交)。
すなわち、情報検察については、情報の信頼度チェック機能のない現行の生成AIに全幅の信頼は置けない。

次に外国情報の翻訳も役立つが、DeepLなどの既存の翻訳エンジンと比べると、まだ後者の方が一日の長がある感じだ(しかもプロンプト作成不要のコピペですむ)。

むしろ、文章作成の補助に使うなら問題ない。
一番重宝なのは要約で、しかも字数制限もできる。
上と合わせれば、外国の論文を翻訳+要約で読めて、先行研究の概観作業が効率的になる。
特に学術の世界では単語の一義化が前提なので(文化に内在する微妙なニュアンスや含意は不要)、専門用語ほど機械的な(1対1対応)翻訳で済む。

それと最近、文章の校閲ができることを知った。
すなわち自分の文章を第三者の目で修正できるのだ。
執筆者にとっては、自分の頭で論理構成された文を自分の目で校閲するには限度がある。
ワードにも若干その機能はあるが、頼るほどのレベルでないし、タイプミスは指摘されても、変換ミスは見逃される。
校閲は、文章の質を向上させるので、文章トレーニングが必要な学生にとって必須(なので卒論指導では指導教員が校閲を担当する)。

そこで、実際どの程度まともに校閲してくれるのか、複数の生成AIで試してみた。
まず校閲の素材となる文章は、今採点を済ませたばかりの学生のレポートにする。
こう言ってはなんだが、学生のレポートだと表現レベルはもちろん、論理構成レベルでも色々問題がある(それらが採点対象となる)。

ある学生の心理学関係の授業のレポート全文について、複数の生成AIにおいて「 以下の文章を校閲してください。」とコピペして、リターンを押した。
まず、OpenAIのChatGPT
「以下の点を校正しました。」と出て、表現の明確化、冗長な表現の削減、論理の流れの整理、用語の統一と自然な表現、という自前の(こちらが指定していない)基準から、問題となる文とその修正結果が示され、その後にそれらの修正後の全文が示される。
変換ミス(家庭→過程)も指摘され修正された。
完璧だ。

次にGoogleのGemini
「レポート校閲結果」と出て、最初にかなり圧縮した全文の要約が示される。
ついで、通し番号付きの大見出し・小見出しと、その内容が1〜2文で示される。
最後は「結論」という見出しで、結論が示される(原文でも結論は示されていた)。
そして大雑把な修正ポイントが示され、さらに「必要に応じて、参考文献や引用元を追加してください。図表などを活用すると、より分かりやすくなる可能性があります。」とアドバイスがつくが、これは一般的すぎてありがたみはない。

3つ目はMicrosoftのCopilot
「全体的に非常に良く書かれていますが、いくつかの表現を調整しました。ご確認ください。」と出て、修正後の全文だけが示される。
しかも「ですます調」に勝手に変更されている(それだけで読む気が失せる)。
ですます調の論文などあり得ないので、このままでは使えない(プロンプトで「である調」指定が必要)。

以上、3つを比較すると、優劣が明白で、校閲として使えるのはChatGPTだけ。
校閲箇所とその理由が示されるため、書き手にとって勉強になる。
Geminiの結果は校閲とはいえない。むしろレジュメ的要約に使える。
Copilotは校閲には使えず、検索用途に特化(出典を明示してくれる)。

忙中閑の浜名湖の旅

2025年02月04日 | 
後期の成績評価と大学入試が重なっている一年で最も忙しい今、その隙間を縫って浜名湖の宿に泊る。
ここは準定宿の1つの”グリーンプラザ”で、安宿チェーンのそれよりはいくぶんハイレベルのバイキングが楽しめる(なにしろ昔はタラバガニが食べ放題だった! ウナギ蒲焼の食べ放題は健在)。
なのでもちろん宿代もそれなりだが、ここは許容範囲内で収まる。
客室も全室和洋室で(リゾートマンションを買い上げた)、窓からは浜名湖が拡がる。
唯一の欠点だった大浴場の湯も運び湯で温泉化したので、もう欠点は無い。

いつもの旅なら車を使うのだが、ここは鉄道の駅から近いので、
名古屋市営地下鉄→展望車つきの名鉄特急→JR東海道線、そしてワンマン・ディーゼルの天竜浜名湖線と乗り継ぐ鉄道の旅を楽しめる。
なんだったら、これに愛知環状鉄道とリニモ(無人リニアモーターカー)も追加できる。

ということで、忙中閑の温泉・バイキング旅でつかぬまの休息を楽しむ。
寒気襲来中なので、夜は露天風呂に雪が舞った。