郷土博物館巡りが品川区・大田区と続いたので、その延長として川向こうの神奈川県・川崎市に行ってみることにした。
東京で生まれ育った者にとって都境に隣接する”川崎”といえば、東京の羽田空港から望む京浜工業地帯のシンボル・火を吹く煙突のイメージ。
といっても実際に訪れたのは中学の社会科見学での東芝科学館と枡形城址・日本民家園、それに個人で行った川崎大師。
なにしろ横に長い川崎市は、京浜工業地帯の川崎港から川崎大師、そして東京の町田に隣接する多摩丘陵と一言で捉えられない多様性を持つ。
日本の工業技術の象徴ともいえた東芝科学館が閉館となった6月29日の翌日、生まれて初めて川崎駅に降り立った。
駅のホームでは坂本九の「上を向いて歩こう」の曲が流れたので、九ちゃんは川崎出身と知った。
改札を出る前に、駅そばのふたば製麺で名物”ごぼう天うどん”をたべる。
駅そばがこういうオリジナリティある店というのは羨ましい。
駅ビルも立派で、駅前もさすが100万都市の賑わい。
そう、なにしろ東京に隣接する唯一の100万都市なので、同じ川向こうの川口(埼玉県)や市川(千葉県)はおろか、県庁所在地のさいたま市や千葉市よりも繁栄している(そして背後に控える横浜市は大阪市を上回る400万都市)。
そして今年は市制100周年だという。
まずは駅に隣接するビルの3街にある「川崎浮世絵ギャラリー」(500円)に入る。
ここは斎藤文夫という人の浮世絵コレクションで、市制100周年記念の名品展が開催中。
川崎の六郷川など地元の浮世絵も展示。
銀座通りのアーケードを抜け、旧東海道に出て旧川崎宿を進むと「東海道かわさき交流館」(無料)がある。
1階と2階は東海道川崎宿の展示、3階は川崎市の歴史。
3階の展示で分かった事は、川崎市は、東から川崎、小杉、溝口・二子、登戸の4つの宿場・町場が東西に点在し、それぞれ東海道、中原街道、大山街道、津久井道が横断していた。
このままではこれらに接点がないが、それらを東西に結ぶのはまずは多摩川で、それに沿った府中街道、さらに「二ヶ領用水」がこれらの地域を結びつけた。
これが川崎市が多摩川河口から生田の丘陵地まで東西に長い理由だと分かった。
明治以降では鉄道の南武線がこれらの地を結んでいる。
とうことで、京浜工業地帯だけでない川崎というものを知ったのが今日の収穫。
今回は東海道川崎宿の見学で終わったが、溝の口の「大山街道ふるさと館」、生田(登戸)の岡本太郎(川崎市出身)美術館にも訪れたい。