千葉県八街(やちまた)市で、下校中の児童たちにトラックが突っ込むという痛ましい事故が発生した。
事故を招いた要因として、通学路としての道路管理の問題(数年前にも事故が起きている)も運転手の飲酒(本人だけでなく雇っている会社レベル)の問題もあるが、直接原因そのものが避けられたのではないかと思う。
すなわち、運転行動そのもの。
言い換えれば、この事故は飲酒していなくても、ドライバーの行動特性からみて起りうる事故だ。
直接原因は、ドライバーのハンドル操作を中心とする運転行動にあった。
つまり、走行中、右側から人影が出てきたと思ったので(客観的には確認されていない)、左にハンドルを切ったら、道路脇の電柱に衝突し、そのまま突進して、小学生たちの列につっこんだ。
一般にドライバーは、急に車の進行方向がずれた時、そのずれを回復するために、ハンドル操作に専念する。
これはドライバーなら誰でもそうする。
だが、そういう突発事では頭が真っ白になってしまうため、ハンドル操作がスムースにいかず、方向のずれは回復するどころか拡大して、道路脇に突っ込む。
これは、私自身が、かつて信号のない交差点で、右から直進してきた車(一時停止違反)と衝突して、道路左のガードレールにぶつかった時に経験している。
すなわち、進行方向が思わずずれた時、まずはハンドル操作でそれを回復しようとするのは、人の行動として自然だ。
だが車は制御を失って、結果的に道路脇につっこむ(右直事故での死亡事故の例)。
ハンドル操作による回復の試みはドライバーとしては自然な努力なのだが、
それでなんで車の進行方向を制御できないか、冷静に考えてほしい。
一番の理由は、車が速度を出しているからだ(慣性の力の方向に動く)。
ハンドル操作を思い通りにするには、車の速度(慣性の力)を落とすほどよく、停止すればハンドル操作自体が不要になる。
今回のトラックは、電柱にぶつかった後、子どもたちの列に達するまで距離が40mあった。
その間、ブレーキを踏んでいれば、こんな結果にならなかった。
もっとも既述したように、ドライバーの行動特性として、これは意外に難しい。
だからこそ、すべてのドライバーは、走行に異常が起きたらまずは停止。
ハンドルよりもブレーキ。
これを心に刻みたい。
刻んでおかないと、すぐに行動に移せないから。
そうすれば、今回だけでなく、2019年の滋賀での右直事故での園児たちも犠牲にならずにすんだ。→右直事故に巻込まれないために