睡眠トラブルの中でも”不眠”に悩む人が最も多い。
私自身、大学生の時は日が昇るまで眠れない時が続いたので、後述する自分なりの打開策を取って、結果的に不眠を克服している。
まず睡眠に入るにはどうしたらいいのか、一般論を示そう。
哲学者にしてパリ大学心理学教授のメルロ=ポンティは「人は眠る時、まず眠る真似をする」と言ったが、
まさに眠る真似、すなわちあたかも自分が眠っているかのような心身の状態を実現することで入眠が導かれるのは確か。
ただしそれは体を床に横たえ、閉眼するだけでは足りない。
眠れない時に思わずやってしまう「寝返り」という体動をまずは制止する。
体動は目覚めさせる運動になるからだ。
それゆえ、意識的に手足を固定し、静止姿勢を維持する。
次いで、思考を停止する。
あれこれ考えると頭が冴えてしまうから。
具体的には頭に浮かぶイメージ表象を動画で展開させるのではなく、静止画にする。
音声もなくす。
そしてそれをゆっくり暗転(フェードアウト)する。
そうすると、いつしか眠ってしまう。
上の方法でうまくいかない場合、例えば思い悩むことが頭から離れない場合などは、むしろ強制的に頭の中を眠くなる方向に持っていく。
覚醒時に”睡魔に襲われる状態”を再現すればよい。
一番おすすめは、退屈な読書。
小難しい哲学書や、淡々とした記述の歴史書などがいい。
逆に面白い小説は、かえって目覚めてしまう。
実は私の長年の打開策はまったく別の方法を取っている。
ただし健康を害する可能性が高く、言い換えれば高度な自己管理が必要なので、一般的にはお勧めしない(まず医者は絶対に勧めない〕。
それは寝酒+つまみ+鑑賞の3点セットによる毎晩の”入眠儀式”。
観賞は読書でもマンガでもいいが、最近の私はもっぱら映画(ビデオ)。
これは短くても1時間を要する(いずれも途中で眠くなったら観るのをやめる)。
この3点セットは気分転換になってその日のストレスを解消する効果があり、これ自体が楽しみな娯楽行為である(意識的な努力を要しない)。
この場合の観賞はあえて”退屈”である必要はなく、気分転換効果として感動したり笑う内容で構わない(ただしホラーは見ない。夢に出てきたら嫌だ)。
眠気を促進するのは、もっぱらアルコールにまかせるからだが、
酒だけで観賞がないと、頭の中の問題に悶々としてしまう。
寝酒は睡眠の質を悪くするという説があるが、スマートウォッチの睡眠データで毎日確認する限り、”深い睡眠”は標準的に取れている(私は説よりデータを信じる)。
アルコール飲料だけだと体に悪いのでつまみを要する。
つまみはアルコール摂取を促進するとも減らすとも解釈できる。
少なくともアルコールの吸収を遅らせ、また血液を消化活動に集中させることで、脳への血液集中を抑える(昼でも食後に眠くなる。特に糖質摂取後)。
この方法の問題点は複数ある。
まずはアルコールの常用による、アルコール依存症の危険と内臓負担の問題。
それにはアルコール摂取量を増やさない歯止めが必要。
すなわち、アルコール度数を1桁に下げ、総量を一定に抑える。
度数を下げるのは、食道・胃を傷つけないためにも必要。
眠くなるための摂取※なので、酔う必要はない。
※:350mlの缶ビール(5%)1本で心地よい眠気がくるのを帰京時の新幹線で毎度経験。
私は焼酎を数倍の水と若干の酸性の汁で割って、それを小ジョッキ並みのグラスで3杯、時間をかけて飲むことにしている。
一定量に保つことを”習慣化”するのだ。
また肝臓の負担を軽減するためのサプリ(Lシステインなど)を飲む。
もちろん毎年の健康診断で、肝臓の健康度を数値で確認し、2-3年に一度の内視鏡で食道・胃と大腸内部のチェックをしている。
就寝前につまみを食べること自体は、内臓的にも口内的にも良くない。
実際、たんぱく質の他に、糖質中心のスナック菓子を1袋は食べる。
これは体重増加、そして内臓脂肪の増加を招く。
なので、朝夕の食事で糖質を減らし、1日単位でのバランスを維持する。
また糖質の分解を促進するサプリ(キトサンなど)も飲む。
そして眠る前に洗面所で歯を磨くと眠気が飛んでしまう恐れがあるので、歯磨きはせず床の上で歯間ブラシで掃除する。
以上の結果、内臓脂肪はやや多めだが、体重は維持され、肝臓の数値も健康状態を保っている(若干細工をしているが→健康診断に臨む)。
また半年ごとの歯科のチェックでも、歯の状態は良好を維持。
それから寝る前の水分補給自体は悪いことではないが、夜間にトイレに行くことは避けられない。
でもその頻度は1回程度で、睡眠の妨害になっていない。
こういう自己管理をすることで、健康に悪い要素をできるだけ抑えて、楽しい入眠儀式を毎晩やって、ストレスをためずに快眠を実現している。
ただし人にお勧めはしない。
1月6日追記:俳優・吉沢亮の酒の飲み方(酩酊が目的になっている)はよくない。
これだと酒の上のトラブル(実際に発生)やアルコール依存となる。酒は睡眠導入のためで(350mlの缶ビールで可)、ストレス解消(気分転換)は酒よりも観賞の方に求めるべき。もっとも私も量が固定するまで長い時間がかかり、30代の時は飲み過ぎて二日酔いで授業したこともあったが。