25HOURS

2015-08-27 23:25:19 |  東北 花の山旅+α
「東北 花の山旅+α」のお話しもようやく最終回。
どれだけかけて書いてるんだか。
でも今回は写真をたっぷり撮ったので、記事に使える枚数も多く、これまでの旅記事より賑やかになったかな。
夏休みを夏をかけて反芻し、今年は夏を満喫できた。
では。


7月10日(金) 続き

昼食は小坂鉱山事務所のレストランで食べ、場所を換えて隣の赤煉瓦倶楽部というカフェでお茶にした。
そこの建物は変電所として使用されていたものを改装利用しているのだったか。(記憶はだいぶ怪しい。)
建物の中もいい感じだったがお天気もいいし、外のパラソルの下でコーヒーをいただくことにした。
前日から気温が上がり出し、その日も日向にいると薄っすらと汗をかくような日だったが、日陰だと湿度の低いカラリとした風が心地よい。
青い空を見ながら座っていたら眠くなってしまった。
空いているのをいいことにテーブルに突っ伏して少し眠った。
気持ちよかった。

<赤煉瓦倶楽部>


康楽館のお芝居が終わったようでお客さんが増えてきた。
さ、帰ろう。
14時過ぎ、東北自動道に流入。
翌日の土曜日にかけて走り帰阪する。
到着は土曜日の何時になるだろうか。
予定より遊んでしまい、疲れているはずだが、少しうつらうつらしたのが効いているようで、眠気は遠い。
走って行くと仙台220km、福島300km(だったはず)なんてでかい標識が…。
220kmって大阪からだとどの辺までだ?
なんにせよ、大阪は遥か彼方ということだ。

<アカシアのはちみつ付き>


16時半、前沢SAで給油。
陽が傾いて西日が肌に痛い。
顔の右側だけ灼けてしまうぞ。
走っても走っても道道道。
さて、次の休憩までにどのルートで帰るか決定せねば。
スマホナビは磐越道から北陸道を使うのが一番早いと出るが、平坦な北陸道の単調な道は眠くなりそうだ。
標高が低くて暑そうだし。
やはり代わり映えしないが、北関東道、関越道、上信越道、長野道、中央道で行こう。

<夕方>


夕刻、国見SAで夕食。
牛タンシチューを奢った。
うまかった。



21時半、上河内SAに到着。
うーむ、まだ東北自動車道上にいるぞ。
眠気が出てきたのでここで大休止することに。
いわゆる車中泊。


翌 7月11日(土) 晴れ

2時半頃目が覚めた。
寝苦しく、もう一度眠りに入る気にならず、出発することにした。
長期休暇の旅の帰り道は、寄り道先を設定していなければ、ただひたすら淡々と距離を稼ぐだけ。
今回も別に時間が無い訳ではない。
行きにしたようSAで写真を撮って遊んでもいいのに、楽しもうとする気分に乏しい。
早く帰って片付けを終えて、残りの休みをゆっくり過ごしたいと思う。
この思いは大阪に近づけば近づく程強くなる。
白みつつある空を眺めながら、がら空きの北関東道を行く。



5時、横川SAでトイレ休憩。
上信越道は谷が深い。
朝靄がかかり水墨画の世界だ。
靄が晴れると上空は晴天。
ダメだ、眠い、休憩を取る間隔を2時間くらいにして走ってきたが、それだけもたなくなってきた。

<朝方>


6時過ぎから8時半まで姨捨SAで休憩。
真正面から日の差す車内で上着を被って朝寝。
朝だから大丈夫だと思ったが、そのうち暑さで目が覚めた。
起き出す。
やはり車中で涼しく眠れる夜にしっかり眠っておいた方が良かったかな。
食堂で豚汁朝定食の朝食を食べた。
眺めの良い公園があり、影になった風の通るベンチで少し涼む。
さ、出発。
この辺りまで来ると景色が馴染みある。
走っていると陽は高くなり、段々暑くなってきた。
薄っすらと霞がかった頭で淡々と中央道を下る。
恵那山トンネルを越えた。
今度は2時間頑張ったぞ。
この辺りのPAで涼しいベンチのある所があったはず。



10時半、神坂PAに入った。
あれ?違った。
どこだったっけ。
でもしんどいのでここで30分休憩。
ほら、だんだん苦行になってきた。



そうだ屏風山PAだった。
通過しつつ思い出した。



12時半過ぎ、多賀SAで昼食、昼寝。
昼寝?どこで昼寝したっけ?覚えてないぞ。
ここまで来ると意識は無事帰ることにのみいき、ドライブを楽しむ感覚はもはやない。
前を睨み付け、ただただ走る。



幸いにして渋滞に巻き込まれる事なく、家まで走り切った。
良かったー。
おつかれおつかれ。
時計を見ると、15時過ぎだった。



今回の旅の走行データ。
燃費 20.7km/l
総走行距離2681.5km
例年の年間走行距離の1/3になった。


入場券が記念品だ

2015-08-21 01:48:06 |  東北 花の山旅+α
7月10日(金) 続き

その日二つ目の見学先は、小坂鉄道レールパーク。
小坂鉱山事務所のすぐ近くにある。
当初小坂鉱山の鉱石や資材運搬用に建設され、その後旅客営業も行っていたが、廃止となった小坂鉄道。
その小坂駅の施設を利用したテーマパーク?だ。
2014年にオープンした、まだ出来たての「古い」施設である。

<駅舎>






ここの存在を知ったのはTVニュースで、寝台特急「あけぼの」の車両を買取り、改装して宿泊施設として利用するとの話題を見て。
東北を旅することになって、行けるものならとどんなところか調べてみた。
小坂鉄道が保有していた車両がみられ、機関車庫に入れ、短距離だが構内で観光トロッコやレールバイクに乗れる。
事前に申し込めば本物のディーゼル機関車の運転も体験できるそう。
体験運転料金は高いが人気らしい。
何馬力か知らないけど、強力なエンジンを響かせて巨体を動かすのも面白そうだが、今回は時間が無いので撮り鉄するに留めた。

<ディーゼル機関車>










「あけぼの」はまだ改装前だったが、導入された4両のうち1両だけ公開されていた。
寝台列車での旅は憧れだったが、旅の目的とうまく合致せず、一度も乗れぬままだ。
そのうちどんどん寝台列車は廃止され、ますます可能性が限られてしまった。
実際に運行してる列車では無いが、これまで寝台車両に入ったことすら無かったので、興味深く見学させてもらった。

<あけぼの>














機関車庫には過去のイベントで使用された車両であるとか、施設整備用車両?であるとか、荷物置き場にされてる無蓋車なんかがある。
ディーゼル機関車も1両置かれている。
レールの高さに立ってすぐそばから見上げると、でかいなあ。
エンジン横のカバーが開かれていて、車体側面通路から中を覗けたり、運転台に上ったりできる。
昔使われていたと思われるディーゼル機関車のエンジンなんかも並べられ、展示施設らしくなく(失礼 )、現役(じゃないけど)の鉄道車両基地を見せてもらってる感が普通でなくていい。
簡単には出せない使い込まれてる感が至る所に満載だ。
展示車両は多いとは言えないが、鉄道好きには面白いのでは。

<機関車庫>










観光施設として要望を述べるなら、中に食事できる店があるといいかな。
今回ちょうどお昼時になり、町にも食べ物屋さんを見かけなかったので、見学後に小坂鉱山事務所のレストランに戻って食べたのだ。
長居するには食事できないとな。
構内は広いので、そんなスペースを設けても良いと思う。
それから物販もなにかあるといいな。
記念品的おみやげを買おうと思ったが、なにも売っていなかった。
売ってたとしても気づかなかった。

<広い構内>


<切符>


とは言っても、そんなサービスを提供するに足る入場者数があるのかどうか分からないし、赤字になって経営が立ち行かなくなると問題だ。
可能なら検討して欲しいというレベルにとどめておこう。
ただ、食事やグッズ販売する場合、遊園地然とした雰囲気の店にしてしまうと他のテーマパークと同じ色合いになってしまい、ここの独自性というかこの雰囲気を壊してしまいかねないのでやめた方がいいかも。
やるなら例えば寝台車みたく食堂車を連れてきて構内に留め置き、お昼時のみ営業するなんてどうだろう。
お昼時以外の時間はベタにホームにKIOSK的売店を開いて、軽食、お土産、記念品を売るとか。
ダメかな。

<グッズ例>



小坂町で遊ぶ

2015-08-17 23:01:23 |  東北 花の山旅+α
7月10日(金) 天気:快晴

朝は宿で朝食をいただいて、これまでになく遅い時間に出発。
この日はお昼頃まで観光して、そのあと帰阪予定とした。
大館市の東に小坂という町がある。
半日遊ぶのによい観光施設があり、すぐ近くに東北自動車道のインターチェンジもあるので、そこを今回の旅の最終訪問地とした。

<明治百年通りの公園>


まずは小坂鉱山事務所見学。
なるも事務所の開館時間前に着いてしまった。
開館まで付近を散策することに。
鉱山事務所前は綺麗に整備された華やかな通りで、明治百年通りと名付けられていた。
広い駐車場や公園の間に、康楽館や昔の建物をリノベートしたカフェがある。

<康楽館>


<幟>


康楽館は歌舞伎やら演劇を上演する芝居小屋。
明治時代のもので、小坂鉱山の福利厚生施設として建てられたもの。
回り舞台や花道があって桟敷で観劇する昔ながらの劇場。
普段なら中を見学できるそうだが、その日は公演があって見学出来なかった。
通りに幟がいっぱい並び、和服姿のお客さんなんかも来ていて賑やかだった。

<小坂鉱山事務所>


<前庭>


小坂鉱山事務所の開館時間となったので再び建物に向かい、入館した。
小坂鉱山はかつて、金、銀、銅を産出する日本一の規模の鉱山だったそう。
これは知らなかった。
別子銅山や足尾銅山は名前をよく覚えているが、公害問題で有名であったからだろう。
小坂町は鉱山町で鉱夫とその家族も一緒に暮らす大きな街だった。
当時としては最先端の電気が通じた住宅が与えられ、しかも電気代はただだったそう。
当然鉱山での作業は厳しいものだったろうが、最新設備の住宅や上記の芝居小屋での娯楽を提供するなど、福利厚生面を充実させていた。
鉱山事務所は当時鉱区にあったものを解体し、今ある場所に移築復元したもの。
凝った意匠のバルコニーや螺旋階段などが当時の隆盛をよく伝えていた。

<らせん階段>


<バルコニーから>


<床の釘は銅製>


これら情報は館内の案内スタッフ?の方に伺った。
写真を撮っていたらすすすっと近寄ってきて、「お客様…」と声をかけられ、お願いした訳でもないのに滔々と話し始めた。
鉱山の歴史から当時の暮らし、建物の造りまで造詣深く、自身の思いも織り交ぜていろいろいろいろと教えてくれた。
早口で言葉に地の方言が少し混じるので、時々聞き直さないと分からない部分もあったが、それもまた一興。
ひとしきり話されるとまたすすすっと去って行かれた。
個性的な方だった。

<廊下>


<部屋>


建物は広く、中には模型やパネルで小坂鉱山の歴史を説明する部屋や、レストラン、お土産屋さんがある。
貸しドレスなんかもしているようだ。
鹿鳴館な感じの(私のイメージ)ドレスを着て、この建物をバックに写真撮影して楽しむのだろう。
コスプレの一種だな。
お土産屋さんで山には売っていなかったお土産を買って車に戻った。


合点した

2015-08-14 22:40:55 |  東北 花の山旅+α
毎年お盆の頃になると、家の近くで朝から鳴いていた蝉が静かになり、通勤時これまでに比べ涼しく感じる時が来る。
今朝がそうだった。
秋が来るんだ…、と気付く瞬間だ。
春からただただ上昇してきた大気中のエネルギーが峠を越え、これからは徐々に下降していく。
ホッとすると同時に、寂しさを覚える日々が始まる。

では、

7月9日(木) の続き



予告した田代岳の登山口までの出来事をば。
正直この日は田代岳登山そのものより、登山口までの出来事の方が記憶によく残っている。
写真は前回記事にて触れた田代岳登山道の道程表示板。
今回の記事とは関係なし。
長文になったので、終わるまでの長さの目安になるか、な。



早朝、大館の宿を出て、途中のコンビニで食糧調達し、時刻を見ると6時半。
スマホナビで調べてみると登山口まで34.7km、1時間56分かかると出た。
なんでこの距離でこんなに時間がかかるのだ?
走って行くと山に入り、まだまだ先はあるのに人家がなくなった。
少し悪い予感。
道はセンターラインはないが充分に広い。
がしかし、30分程走った頃に舗装が切れた。
またオフロードだ。
地図上細くはあったが、焼石岳の時の道ほどは細く無かったので、ここは舗装されてるだろうと思っていたが、甘かった。
なるほど時間がかかる訳だ。
オフロードではあるが道幅は広く、いたるところに新しい砂利が撒かれて、頻繁に整備されているよう。
少し安堵する。
焼石岳へのオフロードより気を使わずに走れるが、それでもスピードは出せない。
ガタゴトと進む。



すると後ろからオフローダーがすごい勢いでやってきた。
すごいと言っても自分と比べて速いだけで、普通の速度なんだろう。
道は広いので脇に避けて先に行ってもらう。
ハザードランプをもらって、砂埃を蹴立てて走り去るのを見送る。
やっぱり山遊びにはオフローダーが強いよな。
私も山で遊ぶことが多いんだから、最低地上高の高い車にした方がいいのかな。
なんて考えてガタゴトと走っているとまた後ろから、今度は2台やってきた。
ワンボックスタイプのと普通乗用車。
道を譲るとこちらもあっと言う間に見えなくなった。
見送る後ろ姿の車体が砂埃で真っ白だった。
走りっぷりといい、こんな山道を走り廻っているのだろう。
ワイルドだなー。



と走っているとまたまた後ろからやってきた。
今度は軽トラックだった。
道を譲り抜いていく運転席を見ると作業着姿のおっちゃんだった。
山を登るようには見えないので、林業関係のお仕事に向かうのだろうか。
しかし軽トラックに抜かれるとは。
一般道なら負けないぞ、と変なライバル心を燃やしながら見送る。
その後も軽トラックに普通車にと、合計7台に抜かされた。
田代岳って人気あるんだ。
途中、大広手登山口というもうひとつの登山口があり、そこには2台駐車していたが、抜いていった7台のいずれでもなかった。
もう少しで目的地の荒沢登山口という頃、行先の山の斜面に樹々に埋もれてなにやら大きな建物の屋根が見えた。
登山者も多いし、登山口は意外に整備されているようだ。



思ったより早く広い未舗装の駐車場が現れた。
でも一台も止まっていない。
登山口の駐車場ではないのかな。
トイレもあるがとても小さく、さっき見えた建物ではありえない。
小さな看板に、荒沢登山口この先100m(だったと思う)とある。
この先にも駐車場があるのだろうと進むと、あれれすぐそこに登山口があった。
駐車場はなし。
さっきの駐車場に止めてここまで歩く必要があったようだ。
バックで駐車場まで戻る。



はて??
するとあの7台の車はどこにいったのだ。
登山口の向こうにまだ道は続いているが、この向こうには他の登山口は無いはずだ。
別のなにかがあるのだろうか。
考えていたら例の建物の方からスピーカーでなにやら訴える声が大音量で空に響いた。
ななななんだ?
スピーカーの能力以上のボリュームにしているのか、声が割れて何を言っているのか分からない。
まるで◯翼の街宣車ががなり立てているようだ。
なんでこんな山の中で叫んでいるのだろう。
秘密の集会でも行なっているのだろうか、と怖くなった。
すぐ近くみたいだし、車を置いていって大丈夫だろうかと心配していたら、スピーカーから聞き覚えのある音楽が流れ出した。
んん?これは。
…ラジオ体操だ。
時計を見るとちょうど8時。
ははーん、これまで得てきた情報が頭の中で繋がっていく。



そういえば山のガイドブックで田代岳の登山口へのアクセス説明を読んだ時、ロケット燃焼試験場方面に行けと書いてあった。
宿からここまでそんな標識には気づかなかったのですっかり忘れていたが、途中に見えたあの屋根は試験場のものだったに違いない。
ガイドブックを読んだ時はもっと里に近い方にあって、横を通過するものだと思っていた。
途中抜いていったオフローダーは車体に◯菱重工のロゴと文字があった。
あの7台は試験場に通勤してたのね。
毎日あの道を走れば、そりゃ砂埃で白くなるってもんだ。
最初のスピーカー放送は始業前の連絡事項か、「今日も無事故で業務に励みましょう」的な朝の挨拶、そしてラジオ体操か。
合点。



しかしすごい砂埃というか土埃だ。
自分の車も側面、背面に細かな砂土が降り積もっている。
息を吹きかけるとブワッと舞い散るが、粒子が細か過ぎて全て吹き飛ぶ訳ではない。
ドアの隙間にも侵入してきていて、ドアを閉める度にバフッと砂埃が吹き出る。
また洗車せねば。
登山準備している内にラジオ体操も終わり、そのあとは何の音も聞こえなくなり、静寂な普通の山中に戻った。
安心して出発。



登山を終えて下山してきたら、登山口を出たところの道路にトラックが止まっており、おっちゃんが外に出てきた。
話したそうだったので挨拶すると、登山してきたのかと聞かれるのでそうだと答える。
山頂までかかる時間なんかをお話しして、ならばこちらもと施設の事を聞いてみた。
やはりロケットの燃焼試験をしているところだそう。
種子島で打ち上げるロケットのエンジンのテストをし、名古屋の工場に持って行って組み立てるのだそうだ。
なんでこんな不便な山奥で試験するのか?もう少し山の麓でもいいではないかと聞いてみると、規制があって周りに何もないところでないとテストできないらしい。
これだけ山奥でもエンジン点火すると麓までその音が届くそうな。
へえ、ロケット発射の映像はよく見るけど、どんな音がしてるかは現場にいないとわからないよな。
礼を言って駐車場に戻った。



なるほど、通勤路でもあるし物資も運ばねばならないから、オフロードながらもそれなりに整備されていたのね。
施設は見学できるような性格のものではないだろうから、覗きにいくことはせず、おとなしく引き上げた。
帰り道、オフロード区間の距離と時間を計ってみた。
約12km、私の運転で44分かかった。



湿気たっぷり

2015-08-12 23:00:06 |  東北 花の山旅+α
7月9日(木) 天気:晴れ時々曇り

田代岳に登る日。
頑張って5時に起床し、何をしてたのか6時を過ぎて出発した。
登山口に着くまでにひとつ記事にできる出来事があったのだが、それはまた別途。
8時前に荒沢登山口駐車場に到着、準備をして8時半に歩き始めた。
登山道はずっと深い森の中を歩く。
上り始めに沢の横を歩くが、そこを除けば眺めにほとんど変化はない。
山頂まで一合毎に大きな表示板が設置されていた。
何故か登山口が一合目になってたが…。
その数字が一つ一つ大きくなっていくのを見て、着実に進んでいるんだと自らを励まし歩く。

<林下の登山道>


登山道は湿気が高く、グチャグチャのぬたばが道の真ん中にたくさん現れるので辟易する。
ぬたばだと最初思っていたが、どうやら登山道に水が溜まり、そんな中を歩きたくないので登山者が縁を通り、登山道が広がり、水溜りが広がりして丸くできた、ただのぬかるみなだけのようだ。
とにかく湿り気たっぷりで、道横に堆積した枯葉の間に、ギンリョウソウの白がたくさん見られた。
ギンリョウソウ以外にほとんど花は見られず、比較する相手が悪いが、これまでの三山と比べ一番花が少ない。

<ギンリョウソウ>


<きのこ>


七合目を過ぎると樹高が低くなり、明るくなってきた。
九合目の表示板を過ぎると突然視界が開け、高層湿原が拡がった。
これまでと全く違う開放感あふれる景色で、最後の最後で変化の無かった林下からのこの転換は、なかなかに劇的である。
田代岳は花も期待していたが、お目当てはこの山上の湿原だった。
幾つもの池塘が水をたたえ空を写す。
よろしいなあ。
雲が多く、写る空が青空で無かったのが残念。
それでも上手く雲の切れ目を捉えた。

<開ける頭上>


<湿原へ>


<池塘>


<青空を写す>


山頂は湿原横の高まり。
ひと登りで到着した。
11時過ぎだった。
空気中も湿度が高いのか、山頂からの眺めは白く霞んで遠くは見えず。
山頂の神社前に座りお昼にした。
これまでの三日は涼しかったが、この日は日が照ると暑かった。
うわ、眠気がやってきた。
座ったまま少し眠る。

<山頂>


<湿原展望>




12時前に出発。
時間まで湿原を歩き、被写体を探す。
歩いてきた木道から二つ木道が分かれていたが、グルリと周回できる訳でなく、それぞれの登山口へと繋がっているだけのようだった。
ある程度歩いて引き返す事になった。
山上湿原はそれほど大きなものではなく、こじんまりとしたものだった。
苗場山なんかと比べると遥かに小さい。
それでも登山者が少ないところで、出会ったのは3パーティだけ。
静かに山に浸れる。
暑い日ではなく涼しい風が吹く時に、木道の片隅に座ってほけっとしたいところだ。

<ワタスゲ>


<チングルマ(果穂)>


<モウセンゴケ>


13時過ぎに下山開始。
下りはさくさく歩き、14時半に登山口着。

これにて今年の夏休みの登山予定は全て終了。
あー、終わっちゃった。
なのでその日は次の目的地への移動はなし。
夕刻明るい内に宿に到着できた。
前日と同じく大館に、少しゆっくりしようと食事付きの宿を予約していた。
お風呂に入って、美味しい夕食とお酒をいただいた。


次の旅への申し送り事項

2015-08-10 22:19:58 |  東北 花の山旅+α
にしこりくん、通算10勝目おめでとう。
得意のハードコートで、次はマスターズ優勝だ。
…記事は7月の夏休みの続き。

7月8日(水) 夕刻

翌日は秋田県の北の端にある田代岳を登る予定。
田代岳最寄りの町は大館市。
そこに宿を予約した。
当日8日に歩いた秋田駒ヶ岳は秋田県の中ほどにあるので、車で2~3時間移動せねばならない。

今回の山旅では行き帰りの移動日以外車中泊はせず、山に登った日は必ずホテルなどに宿泊した。
言い換えると、たくさん写真を撮って翌日もたくさん写真を撮る日は必ず宿を取らねばならなかった。
これまでなら山に登る前の日の、一日や二日は車中泊するところだ。
その方が早朝に登山口に着け、山中にいる時間を長くとれる。
今回は登ることより写真撮影することに重きを置いたので、カメラのバッテリーの充電という足枷がかけられてしまった。
山小屋では充電できないことがほとんどであることを知って、アルプス縦走のため昨年までにバッテリーを3個に増やした。
歩くのがメインであれば4~5日はこれで足りるが、撮影枚数が多くなると全くもたない。
昨年の南アルプス縦走では最後に泊まった大門沢小屋で充電できなければ、最終日の撮影に多大な影響がでただろう。
今回は昨年以上に撮るつもりだったから、宿での充電は毎晩必須と思っていた。
しかし、焼石岳で山頂を踏まずに後悔したことから、以降三つの山では見所はできるだけ回るようにしたので、歩行距離つまり歩行時間がほとんどを占め、結果的に撮影枚数は伸びず。
これなら2日分ならなんとか充電無しで足りそうだ。
次回からは麓でずっと撮影するのでなければ、二日に一度は車中泊して山中で過ごす時間を増やすことも考えてみよう。



大館までの国道105号は空き空きだったので、予定時刻より早く宿に着けた。


周遊して楽しむ山

2015-08-07 00:32:19 |  東北 花の山旅+α
7月8日(水) 天気:薄曇り

秋田駒ヶ岳に登る日。
だんだん朝早く起きるのが難しくなってきた。
宿を6:40 出発。
秋田駒ヶ岳は八合目まで車道が通じ、そこから登るのが一般的。
ここも人気の山。
なので平日も日中はマイカー乗り入れ禁止である。
麓にある「アルパこまくさ」というビジター施設から八合目までバスで入る。

7時半、アルパこまくさ着。
お、バスが止まってる。
出発時刻を調べず来たけど何時発かな。
広い駐車場に車を止め、急いで支度してバス停へ。
7時台は7:42発だった。
図ったようにピッタリの時刻。
ラッキー。

八合目への道はとても細くクネクネと曲がっていて、こんなとこバスが通れるのかと心配になる道だ。
しかも道の真ん中が盛り上がって平らで無いのでバスが揺れる揺れる。
乗り物には強いつもりだが、これだけ頭をシェイクされると酔いそうだ。
それでも運転手さんは流石で、なんでもない道の様につかえる事なくするすると上って行く。
途中反対側から来るバスと離合する場所があり、下りのバスが待っていた。
ケーブルカーみたいだ。
8:07 八合目着。



八合目には山小屋がある。
宿泊はできなさそうだ。
帰りのバスの時刻を確認しておこう。
13:30 14:05 14:40 15:15 16:25。
山小屋の貼り紙の表示はこれだけだったが、実際にはもうひとつ遅い時刻のバスがあったみたいだ。
トイレを借りて、8時半に歩き出した。
天気は薄曇り。







秋田駒ヶ岳は複数の噴火口の集合体である火山だ。
カルデラもある。
狭い範囲にピークが幾つもあり、それぞれに名前がつけられている。
男女岳(おなめだけ)、男岳(おだけ)、女岳(めだけ)、小岳に横岳。
これらを見て回るのが標準コース。





ここには10年くらい前に一度来た事がある。
その時は秋田駒ヶ岳から湯森山、笊森山、千沼ヶ原、乳頭山を経て乳頭温泉郷に下る縦走ルートを歩いた。
距離があるので秋田駒ヶ岳は阿弥陀池を見て横岳に登っただけで、ほぼ通過したも同然。
8月だったと思うが、下山した乳頭温泉郷から車を置いたアルパこまくさまでのバスで運転手さんと話す機会があり、登るお薦め時期を聞いた。
やっぱり7月だね、花でいっぱいだよ、との回答だった。
7月って雨の時期ではないかと聞くと、そうでもないよとおっしゃる。
それが頭に残っていて今回の山旅につながる。
今回は秋田駒ヶ岳だけを歩く。







10時前に阿弥陀池に到着。
ここから男女岳山頂を往復する。
池の周りにも花は咲いていたが、男女岳への道でその密度が突然濃くなった。
あ、見たことない花発見。
ツツジみたいだが地べたに花を咲かせてる。
なんだろう。
こういう小さくて頭でっかちな花に私は弱い。
足が止まってしまった。





後でエゾツツジという名だと知る。
草ではなく木だそうだ。
ここの土壌は礫質だが粒は小さいので斜面には低木や草が覆い花が咲き、その様はお花畑と言うにふさわしい。
コースタイム20分の山頂まで1時間20分も使ってしまった。
撮影に時間をかけ過ぎ。
後の行程が苦しくなった。





男女岳山頂からの眺めは前日ほどスッキリとはしていないが、まずまずの見晴らし。
山頂だけ風が吹いていて寒い。
シャツを取り出して着込み、岩陰でお昼にした。



男女岳を下り、今回一番の目的地である大焼砂を目指す。
八合目のバス停から一番遠いところにある。
最終のバスに間に合うよう帰るには撮影時間はあと何時間?何分?取れるのか計算しながら歩く。





男岳と横岳をつなぐカルデラ外輪山を越えてカルデラ内へと降りて行く。
なかなかの急傾斜で足元に気を使うが、草で覆われているためか険しさは感じない。
火口原に下るとそこにはチングルマを主とするお花畑が広がっていた。
これはすごいな。
同じ標高で日当たりにも違いはなさそうだが、既に果穂になったところとまだ白い花を咲かせているところがあった。
果穂になった割合の方が多く、チングルマの花期は終わりかけだった。
中に濃密に果穂が覆う一帯があった。
これは花咲く時期に見たら壮観だったろう。
当然ここでも足が止まる。









14時、ようやく大焼砂に到着。
ここでのお目当てはコマクサ。
一面ピンク色の大群落が見られるとか。
緑の火口原から焦げ茶色の外輪山へと上る。
お、いたいた。
ポツリポツリと緑白色の葉っぱの上に赤紫色した馬面の花が現れだした。
うーん、やっぱり黒っぽい砂礫の上に咲いてると映えるなあ。
しかしなんでこんな荒涼とした土壌で生きていくことができるのだろう。







この砂礫、厚く降り積もっていて歩くと足を取られる。
だいぶ上らねばならないが、砂浜を走ってるかのように力を削がれる。
苦闘して上るうちに徐々に花の数が増えていった。
やがて斜面はコマクサで覆われた。
おー、すばらしい。
ただ土壌は緑が増え白っぽい石も混じり出し、地面があまり黒くなく少し残念。



ここ大焼砂は6月中下旬にはタカネスミレで覆われ黄色に染まるらしい。
その頃にもう一度来て、先ほどのチングルマの群落と合わせ見てみたいものだ。
6月に長い休みを取るのは難しそうだから、隠居してからになるかな。
コマクサが少なくなったのでガンガン歩いた。
15時、横岳を通過。
ほっ、取り返したぞ。
この時間なら充分バスに間に合う。



そして最後のピーク、焼森。
眺めを楽しんで山に別れを告げ、シャクナゲコースを八合目へ下った。


快晴だった

2015-08-02 00:18:58 |  東北 花の山旅+α
7月7日(火) 天気:快晴

早池峰山登山の日。
河原坊から上り、小田越に下る予定とした。
今回は必ず山頂を通過する行程。
平日なのでシャトルバスは運行されておらず、小田越から河原坊まで車道を歩いて帰って来ないといけない。
宿から登山口まで車で1時間以上かかるし、撮影時間も確保したいので、宿を5時半に出発した。

早朝だからか辺りは靄に包まれていて、街を外れると幻想的な風景が広がった。
山裾の田んぼには所々針葉樹が立ち、細長い二等辺三角形が光芒を作りシルエットとなって浮かぶ。
宮沢賢治は花巻の生まれらしい。
花巻の隣にある遠野であるとか岩手であるとかいう言葉の響きに、私が宮沢賢治なイメージで想起する風景が眼前に展開されていった。

登山口へは県道を花巻市から宮古市に向けて走る。
この時期、土日祝日は登山口まで自家用車で入れないが、平日なので登山口まで入り込んでいいようだ。
林の中の細いクネクネとした道を、対向車が現れないかと注意しながら上っていく。
前日に洗車したので朝出るときにフロントガラスを拭くのをサボったら、一晩で意外と汚れていて、林道に差し込む日の光が当たると白く反射して見えづらい。
そして開けた登山口駐車場に到着して気が付いた。
林道であんなに眩しく日が差していたのは雲が全くなかったからなんだ。
木々の下にいる間に上空は快晴に変わっていた。

<早池峰山上空>


早池峰山は蛇紋岩で出来ている。
蛇紋岩は滑りやすい岩らしい。
私は予想外のタイミングで滑るという事態がとても嫌いだ。
なので過去にも登ろうと思えば登れる山だったが二の足を踏んでいた。
尾瀬の至仏山も蛇紋岩帯にあって、同じく登っていない。
雨が降って足場が濡れるとますます滑りやすくなるので、この日に雨が降るというのが一番の心配事だった。
これで憂うことなく登ることができる。
しかしここまで良い天気になるとは…。

<登山道案内図>


早池峰山は百名山の一つでさすがに人気が高い。
平日でも駐車場にはたくさん車が止まっていた。
準備をして7時半頃歩き出す。
最初は背の高い樹々の下を歩く。
足元の陰と日の差し込んだ部分の明暗差がすごい。
樹下から出ると、どうやら広い谷間を上って行く様だ。
足元はゴロゴロと大きな石が重なり、靴を置く場所を探しながら上る。

<林下の登山道>


<開けた眺め>


<陽射し>


<河原坊コースは谷間を行く>


<登ってきた背後の薬師岳>


標高を上げると木々はどんどん低く少なくなって、茶色い岩と石が視界を占める様になって行く。
前日見た湿性の場所に咲く花々から、その日は岩場に咲く花々に種類も変わり目を楽しませてくれた。
この山には原っぱはなく岩場ばかりなので、咲き方はお花畑という感じではない。
歩く先々の岩の間に咲いていてかわいい。
そんな花の中で注目するのはハヤチネウスユキソウ。
早池峰山の固有種でここでしか見られない。
どうも初めまして。

<登山道のミドリ>


<ヨツバシオガマ>


<ハヤチネウスユキソウ(のはず)>


<ミヤマオダマキ>


<ホソバツメクサ>


そんな場所なので岩場も撮影対象として気になる存在。
標高を上げるに従って斜度も急になり、頭上に迫る岩岩岩。
その眺めは見上げる度に新鮮で、何度もシャッターを切ったが、後でまとめて見るとみんな同じ風に撮れてる。
その場その場で感じた違いを表すのって難しい。
蛇紋岩は確かに滑り易かった。
普通の岩なら滑らない傾きの平たい表面に、登山靴を乗せて体重をかけると、ビブラムソールであってもスルッとすべる。
なるほどこういう滑り方か。

<岩場の道>


<蛇紋岩と貫入岩脈>


<ロープ場>


<ハヤチネウスユキソウと>


<イッチバーン>


<小田越コースの稜線>


<頂上へ>


そんな道を上って上って、山頂到着。
12時前だった。
山頂がどんなところか見て回る。
険しい山だったのに結構広い。
大きな避難小屋があり、神社の祠があり、巨大な岩が重なる平地があった。
その岩の上でお昼ごはんにした。
高層に雲が出てきたがお天気は変わらず良し。
早池峰山の近くには高い山はなく、360度視界良好だった。
陽射しを遮るものはなかったが、爽やかな天候で暑さは感じず、眺めの様に気持ちよいランチタイムであった。

<山頂の祠の一つ>


<オオトリが行く>


<岩手山>


<山頂から小田越コースを望む>


13時に下山開始。
小田越コースを下る。
こちらの方が花の密度は濃い気がする。
急に風が吹き出した。
常に強風が吹き付ける。
小田越コースは稜線歩きだし、いつもこうなのかもしれない。
河原坊コースは谷を歩いたので風を感じなかったのかも。
花を撮るには風が無い方がいい。

<山頂を振り返る>


<ミヤマアズマギク>


<下り始め>


小田越コースの方が傾斜は緩いようだ。
他にたくさんいた登山者はいつの間にかみんな先に行ってしまい、残っているのは花をスケッチしてる方や私の様に写真を撮ってるご婦人など数人。
お、まだ上って来る人がいる。
健脚ですな。
途中面白い形状の岩があり、さみしい帰り道の良いアクセントであった。

<ハシゴ場>


<ハイマツと岩峰>


<五合目御金蔵>


<ホソバツメクサ>


<蛇紋岩帯>


森林限界より標高を下げるとアオモリトドマツの木が現れた。
河原坊コースで見たかな?
小田越の方が少し標高が高いので植生が違うのかな。
林の中をしばし歩いて15時半、小田越登山口に辿り着いた。
仮設トイレがあったので小便をしに入ろうとしたら、大きな丸々とした虻がたくさん便器にたかって飛び回っていた。
うわわわわ。
こんなの用を足せないよ。
隣の大用トイレは扉があったので開いてみると、こちらは出口を求めて一匹飛び回ってるだけ。
これならなんとか大丈夫。
よかった。

<再び林内へ>


<ギンリョウソウ>


<キノコの名前は分からない>


並びにあるベンチで少し休憩した後、舗装された県道を歩いて河原坊登山口へ向かう。
歩き出してすぐに市の境界の標識があった。
その時は気づかなかったが、後で地図を見るとこの市境、変なのである。
道は東西に走っていて小田越から西が花巻市、東が宮古市なのだが、この境目に南の遠野市から剣の様に細長い領土が早池峰山山頂に向かって伸びているのだ。
これは一体なんなんだろう。
遠野市も早池峰山を持ちたくて何か調整ごとがあったのだろうか。
詳細不明。

<東側>


<西側>


県道途中に宮沢賢治の詩碑があった。
こんなところに作って誰が見るんだろう、と不思議だったが、再び歩き出すとすぐそこが河原坊登山口であった。
予定では30分を見込んだ県道歩き、40分かかった。
16時半に到着し、ゆっくりと片付けて、17時過ぎに駐車場を後にした。
一日中晴れたままだった。

<詩碑>


<朝と同じ場所で>


翌日は秋田駒ヶ岳を予定。
その日の宿は秋田県は角館町に取った。
3時間かかる。
毎日翌日の目的地までの移動がなかなか大変である。
今回の旅、充実してはいたがのんびりした感が薄いのはこの移動時間の存在のためだろう。


洗車

2015-07-28 00:08:18 |  東北 花の山旅+α
7月6日(月) 夕刻

<夕刻の中沼>


焼石岳登山口には16時半くらいに帰着。
おつかれさん。
帰りを待っててくれた車が目に入った。
無事にいてはくれたが…、やっぱり泥だらけだ。
洗車したい。

翌日の登山予定は早池峰山。
その日の宿は花巻市とした。
花巻市は北上市の北にある。
今朝この登山口に来るのに北上から南下して西進したから、北上まで同じ道を戻る事になる。
来る途中、国道4号沿いに洗車場があったな。
もう一度見つけられればそこで洗車しよう。

再びオフロードをガタゴトと戻り、泥水を上塗りする。
国道に出ると途端に振動がなくなり、まるで氷上を滑るかのような錯覚が。
お尻がなんかスースーする、オフロードを走った後のいつもの感覚。
国道4号に戻るとさすがに夕刻の幹線道路は混んでいた。
洗車場を探しながら進む身としてはゆっくり走れるので反対にありがたい。
この辺だった気がする場所を越え、行き過ぎたかなと心配になる頃、見覚えのある洗車場入口を見つけた。
あったあった。

入ってみるとスプレーガンで自分で洗車するコイン洗車場だった。
3つブースがあって1つは使用中、1つは使用禁止のようだ。
空いてる一つに車を入れ、値段を見ると水洗のみで200円だって。
安い!
大阪だと500円だ。
バケツが無いのでいきなり水を吹きかけた。

うわ、すごい水圧。
泥汚れが吹き飛んでいく。
タイヤハウス内に水を当てると思った以上の泥水が隙間から吹き出してくる。
一回分で泥を落とし切れるかな。
車体前面にも吹き付けるが、小さな虫の死骸はこびりついていて全然取れない。
200円分の時間が終わってしまった。

泥が付いていた場所をよくよく見ると薄っすらと汚れが残っている。
これは水をかけただけではダメだな。
バケツは無いが洗車用のスポンジはあったので、水道で水を含ませ少し撫でてやると泥汚れは落ちてくれた。
虫の死骸は完全には落ちてくれないが、パッと見はそんなものが付いていたとは分からない位にはキレイになった。
オフロードで付けたのでは無さそうな下回りのピッチ・タールは、洗剤が無いので帰り道に付くだろう汚れと共に帰ってから落としてやろう。

再度水を吹き付けて後から出た汚れを洗い流した。
拭き取り場に移動して、クロスで水分を拭き取る。
おー、キレイキレイ。
洗ってる最中に後からお客さんは来ず、後を気にせず洗車できた。
平日で良かった。
車がキレイだと運転時の気分も違う。
渋滞とまでは言えない混雑具合の道を、気持ち良く花巻に向かった。


写真は全てその日登山口以降に撮ったもの

2015-07-25 23:12:26 |  東北 花の山旅+α
世は夏休みである。
朝、駅に揃いのユニフォームを着た子供たちが集合しているのを見るとそう思う。
どこかに遠征だろうか。
実力出せるよう頑張って。

さて、夏休み日記はようやく本題の花の山登山一日目。

7月6日(月) 天気:曇り時々晴れ

宿の駐車場を6時半に出て、焼石岳へと向かう。
街を抜け、国道はまた山中へと入っていく。
ただでさえ車の少ない東北の道がさらに空き空きだ。
登山口に向かう時、前方にある山に向け標高を上げて行くのが、「これから山に登るぞ」って感じで好ましい。

<紋様>


<ヒオウギ?アヤメ>


石の積まれたダムを越え、そろそろ国道から外れる頃だと枝道を探していると、焼石岳登山口への入口を示す小さな看板があった。
ありがたい。
右折すると、うっわ、いきなりオフロードになった。
そうか、この可能性を考えてなかったな。
そういえば地図上の道はやたら細かった。
舗装されてなかったか。

<ハクサンチドリ>


<ズダヤクシュ>


仕方なくスピードダウンして、ガタガタと途端に乗り心地の悪くなった車を操る。
右に左に振られ、轍が深い所は車の腹をこすらないよう道の端により、大きな石が飛び出ていたら避け、水溜りにはゆっくりとタイヤを沈め、段差の手前でブレーキをかける。
6 kmほどの道に20分もかかった。
あー気を使った。

<ミズバショウの花。一つ一つ小さな花が集まったものらしい。>


<夏のミズバショウの葉は巨大である。長さ1mくらいになっていてビックリする。ここのも大きくなりつつあった。>


7時45分過ぎ、焼石岳中沼登山口着。
あんな道だったのに駐車場は結構広い。
がら空き。
車を降りて車体を見ると側面が泥だらけ。
やれやれ。
夏の夜に高速道路を走ったので車の前面に小さな虫の死骸もいっばい張り付いている。
それも合わせて洗い落としたいものだ。

<コバイケイソウ>


<シラネアオイ>


準備して出発。
最初の内、林内にあまり花は見られず。
サクサク歩いて中沼に着く。
その辺りから花の種類がグンと多くなった。
焼石岳は山頂往復するとなかなか時間を取るので、登る前から半分登頂は諦めていた。
今回は花の撮影に時間を使おうと決めていたので致し方なし。

<中沼>


<中沼の畔にお化けツクシを発見した。下界のツクシもこうしてスギナになるのだろうか?初めて見る。>


ガイドブックにはこの中沼と、も少し先の上沼辺りに咲く花の名前が沢山書かれていた。
だからこの辺で撮影に時間を使おうと撮り始めたものの、あれれ数はそんなに多くない。
ガイドブックには焼石岳は東北トップクラスの花の山だと書かれていたが、こんなものなのか?
も少し先まで行けば花の密度も上がるのだろうか。
期待して歩くもあまり変わりばえせず。
多少群落が見られるようになったがお花畑と言うほどではない。

<上沼>


<咲き始め?のトウゲブキ?>


撮影しながら歩くからかお腹の空き方がゆるやかで、腹へった感なく歩いていたが、もうすぐ12時だ。
眺めのいいところが来たらお昼にしようかと思いつつ歩いても、林下からなかなか出られない。
ずっと立詰めでしんどい。
もう道の真ん中に座って食べよう、とザックを降ろしかけたら下って来る人がいた。
銀名水という湧き水が出てる場所があるらしいが、まだまだ先か?と聞いてみた。
いやいやすぐそこですよと、との回答。
礼を言って歩くとほんとにすぐそこだった。

<あれ? 春見るミズバショウが咲いてる場所があった。>


<と思ったら雪渓があった。その周りだけまだ春早い感じ。天然の冷蔵庫で冷やされていたからだな。>


<雪渓横の木はまだ芽が出たてだった。雪渓から少し離れれば夏の緑なのに、雪の影響力って大きい。>


<これも雪渓横で。ショウジョウバカマとホバリングするアブ。>


そこはちょっとした広場になっていて、ベンチもある。
ようやく休憩、お昼にした。
銀名水は雪融け水のようで冷たい冷たい。
喉を潤した。
ベンチでお昼を食べながらガイドブックを読み直してみると、お花畑と言えるほど花が咲くのは山頂付近の原っぱだったようだ。
この辺りはまだ林の中。
そうだったのか。
失敗した。
せっかくこんな遠くまで来たのに事前調査がなってないと時間を無駄にする。
失意もあってベンチで13時までゆっくりしてしまった。
もう山頂までは行けない。

<銀名水の広場のベンチに乗ってた。>


<上を見るとサラサドウダンが咲いていた。>


その後、下山可能な時間まで進んでから引き返そうともう少し上った。
下ってくるお二方と遭遇。
年上のお母さま方。
お一方に無邪気にも「人間はっけーん。」と言われた。
こりゃどうも。
確かに山中で会ったのはこれで4人目。
静かな山行だ。
雪が大量に残った雪渓が現れた。
今回はアイゼンを持って来ていない。
結構締まった雪質でアイゼン無しで上り下るのはだいぶ疲れそう。
そこで引き返すことにした。

<この雪渓まで>


そんな訳で花を撮りに来たのに、また撮れる条件にあっただろうに、撮れなかったという悔しい山行きとなった。
が、後で撮った写真をチェックすると結構たくさんの花をゲットしてる。
花の密度は低くても花の種類は多かったということか。
ガイドブックの記載も間違ってたわけではないって事だ。
花の密度はその場所で咲く花の時期も関係するのだろう。
焼石岳は再訪対象の山として記憶しておこう。

<つぼみ>