白峰の伝統的建造物群

2019-07-30 06:35:46 | その他旅行き
ひとり部屋でぐっすりと眠り、2日に渡る睡眠不足を解消。
5時にすっきり目が覚めた。
朝食まで時間があるので町の写真を撮りに出た。
空は青空。
山の斜面に霧が残り、まだ人気のない山村の朝の景色は清々しい。
伝統的建造物は2階あるいは3階まで段差のない茶色い壁と縦長の窓、屋根にかかったハシゴが特徴のようだ。
土壁でなくても壁の色は同系色で揃えられている感じ。












手に入れた付近のガイドマップによると、白峰の集落全域にそんな建物が残っているらしい。
宿の近くを見るだけでなく、離れたところの建物も見たくなった。
やはり今日の一つ目の観光先はこの地としよう。
宿に戻って朝食を食べ、早々にチェックアウトした。
その時宿の人にこの地の見どころを聞いてみると、建物もそうだがお寺も古いものがあるという。
伝統的建造物群保存地区に選定されたのは比較的最近らしく、選定後は建物の補修に補助金が出るようになり、皆で残していこうという機運が高まっているそうだ。
宿の駐車場に車を置かせてもらったままで、歩いて行くことにした。






屋根に立て掛けてあるハシゴが気になるのだが、なぜそれがあるのか不思議だった。
養蚕が主産業だったとあるので、屋根裏とかに物資の上げ下ろしをするのに使ったのか?でも屋内に階段作ればいいしなあ。
と不思議に思っていたのだが、ある場所に昔の写真入りで説明書きがあり、なんのことはない、屋根の雪下ろし用に付けてあることが分かった。
そうかここは豪雪地帯なんだった。
雪のない地方に暮らしていると、そんなところに考えが及ばない。
あと山里にしては建物が密集して建てられていて、それが独特の雰囲気を醸し出しているそうだ。
なるほど、確かに普通の街中のように家々が隣り合っているなあ。
これ程観光地化されていない伝統的建造物群保存地区を訪れたのはたぶん初めてだ。
愛媛県の内子の町が近いかもしれないが、もう少し資料館やら何やらあったように思う。
こうして純粋にその土地の文化に触れれるのもいいものだ。
他にも特徴的な建物には小さな説明板が付いていたのだが、それぞれを覚えていないので、気に入って撮影した写真を残しておく。
















白峰温泉

2019-07-27 18:52:54 | その他旅行き
エンジンをかけ、車を出した。
ここにきた時は夜で真っ暗だったから道の様子がよく分からなかったが、明るい中で見ると思ったより道幅も広く舗装も荒れているということはない。
林道は慣れているつもりだが、知らない暗い道を走るストレスが道を悪く見せていたようだ。
その日の宿泊先は登山口から車で数十分のところにある白峰温泉の宿。
昨日登山開始前に予約しておいた。
予約時は夕刻に下山するつもりだったから近くの宿にしたのだが、まだ午後1時半だ。
これなら次の目的地として考えていた金沢の町にもっと近づけたなあ。
まあ仕方ない、早くチェックインしてゆっくりしよう。
夕食までまだ時間があるし、昼食はお菓子を食べただけだったから、どこかで軽く食べたいところだ。
行きに市ノ瀬を通り過ぎた時、大きな建物があったから、そこでなにか食べれるだろうと車を進める。



市ノ瀬の駐車場に到着し、車を止めた。
大きな建物は二つあり、右の建物は休憩所のようでお店をやってるようには見えない。
左の建物もビジターセンターぽくて、やはり食べられるものを売っているか怪しい。
入ってみると思ったとおり白山の自然を紹介する展示があるだけだった。
駐車場の反対側に一軒だけお店らしき建物があったので行ってみると、温泉宿のようだ。
日帰り入浴はできるようだが、食事はできなさそう。
そうなのか・・。
行きに見た時は夜で暗かったから、大きな駐車場と大きな建物があれば、道の駅みたいな施設があると想像してしまった。
観光地でもない山奥にお土産屋さんやレストランなんか作ってもやってけないよな。
どうもこの旅は調査不足だな。
でもまあそれが行き当たりばったりな旅というものだ。



再び仕方なくお菓子の残りを食べてお腹を持たせることにした。
自販機で飲み物を買って、休憩所に入ってみるとずいぶん立派できれいな休憩所だった。
畳の広間があり、ベランダにはリクライニングチェアが並んでいる。
誰もいないのをいいことにリクライニングチェアに荷物を広げ、菓子を食べながら宿に持っていく荷物と登山道具を分けたり、履きっぱなしだった登山靴を脱いで脚をストレッチしたりした。
大きな袋菓子もこれで完食売り切れ。
これでチェックインできる時刻になったぞ。



車に戻って白峰の町へと向かう。
白峰は市ノ瀬から県道を下り、国道に出る所にある。
町は県道に沿って細長く広がっているようだ。
宿を見つけ訪いを告げても誰も出てこない。
早すぎたかな。
玄関に呼鈴を見つけて鳴らし、それでようやく出てきてくれてチェックイン。
温泉は暖める必要があるらしく1時間ほど待てとのこと。
総湯という公衆浴場があるらしいのだが、その日はお休みらしい。
そりゃ残念。



部屋は和室だった。
ポットでお湯を沸かし、座り込んで脚を伸ばした。
受付の所にあったこの辺りのガイドマップをもらってきていたので見てみると、白峰の集落は重要伝統的建造物群保存地区になっていた。
へえ、そうなのか。
茶色い壁に三階建の建物、縦長の小さな窓があり、屋根にハシゴがかけられているのがそうらしい。
後で見に行ってみよう。



ようやく温泉に入れる時間になり、着替えを持って風呂場へ行った。
こじんまりとした湯殿だったが、一人で入るには十二分な広さ。
二日分の垢を落としてからお湯に浸かった。
うーむ、気持ちよし。
お湯は無色透明。
脱衣所にあった温泉成分表のpHは中性だったが、アルカリ性の温泉のようなぬめりがある。
しばしひとりくつろぐ。



温泉から上がった後、夕食までの時間、明日の行き先を検討。
やはり受付にあった白山市のガイドマップを見る。
白山市はおもしろい形をしており、日本海から山の方に口を縛った袋のように面積を広げている。
金沢の21世紀美術館に行こうと思うのだが、その途中に寄り道できそうなところをピックアップした。
夕食の時刻となり食堂へ。
テーブルセッティングから宿泊客は他に1組いるだけのようだ。
料理は猪鍋や岩魚の塩焼きなど、地の食材を使ったようなものもあって、美味しゅうございました。
アルコールはビールと地のお酒を頼んでほろ酔い。
地酒と言うには有名な銘柄もあって、石川県は酒どころだったんだなと認識を新たにした。



食後、旅館の外に出て少し散策。
雨は夕刻に止んでいて、程よい気温。
なんでか提灯が軒先に吊られていて灯が入っていた。
暗くなったのでよく観察出来なかったが、伝統的な造りの建物らしきものがそこここにあるようだ。
部屋に戻ってさっき見ていたガイドマップを再度確認。
明日はすぐには発たずに、町を見学して行こうかな。
布団に寝転がってそんな事を考えていたら、あっという間に眠りに落ちてしまった。

<上の写真は全て夕食後の散策時に撮ったもの、です。


下山

2019-07-26 06:32:25 | 山行
翌朝、まだ暗い時間から起きだす人がいた。
山頂にご来光を見に行くようだ。
今日って雨ではないのか?
私はようやく眠りにつけたこの眠気を逃すまいと、そのまま寝続けた。
次に目を覚ました時、周りは明るくなっていて夜は明けたようだ。



今度は起き出して外に出てみると、雨は降っておらず、それどころか青空が覗いていた。
朝食までの時間、しばし辺りを散策。
山頂から戻ってくる人がちらほら。
ご来光は拝めたのだろうか。



食堂へ行って窓際の席に座り、外の様子を眺めながら朝食を食べた。
雨が降り出す気配はなく、別山もスッキリと見える。
なんだ雨降らないじゃない。
雨ならさっさと下山するだけだなと思っていたが、晴れるとなると話は別だ。
少し遠回りして、南竜ヶ馬場に寄り道して下りよう。



食後、荷物を詰めなおして出発。
展望歩道の方へ向かう。
こちらは主要道から外れているからか他に誰も歩いていない。
登山道に残っていた新しい靴跡もいつのまにかなくなり、静かな山歩きが楽しめた。
展望歩道はアルプスが望めるらしいのだが、そこまでお天気はよろしくなく、遠い山は雲の向こうだ。
しかし高山植物は種類多く咲いていて、手近の眺めは非常によろしい。



道は下り基調で楽々と歩く。
遠くに南竜ヶ馬場の盆地と山小屋が見えた。
8時半近くになると昨日と同じく山の谷間から雲が湧き始めた。
空もまた雲が広がって、白くなった。
それでも雨が降る気配はない明るさ。
南竜ヶ馬場は平たい笹原で、木道が敷かれていた。



南竜ヶ馬場にも山小屋がある。
まだ10時だが朝食も早かった事だし昼食にしようと山荘の扉を開けると、小屋の人が外に出ようとするところだった。
食事したいと告げると宿泊のみで食事の提供はしていないとのこと。
ありゃそうなのか。
午前中で下山するつもりだったからお弁当を注文しなかったんだが、どうするか。
仕方ないので小屋前のベンチを借りて、行動食のビスケットやら洋菓子の残りを昼食代わりにした。



そこからは南竜道という道を行き、上りに使った砂防新道の途中に合流する。
下りは観光新道を使いたかったのだがその為には標高にして200mほど登り返さなければならない。
左膝が痛くなってきたし、途中分岐するエコーラインの急坂を見て、そんな気持ちは萎えてしまった。
同じ道でつまらないが、行きと同じ砂防新道で下ろう。



砂防新道に入ってしばらく下ると、甚之助避難小屋に到着。
休憩だ、休憩。
辺りはいつのまにかガスの只中で、行きに見えた景色は白いベールの向こう。
日は陰っていてとても涼しい。
そうだよ、時間はあるんだし、せっかく山の中にいるんだから急いで下りる必要はない。
ここでゆっくりしていこうとベンチの上に横になった。
涼しくて気持ちいいし、睡眠不足だからうとうとした。



あれ?顔に水滴か?
目を開けると周りはさっきと同じ景色。
気のせいと思い再度横になったら霧雨な感じの水滴が再びあたった。
そんな暗さではないのだが、とうとう雨が降り出したようだ。
こうなるとゆっくりしている気分でなくなる。
仕方なくザックにカバーをかけて出発。
雨は徐々に徐々に粒が大きくなる感じだ。
風は無いし両手はフリーで歩ける道なので、カッパは着ずに傘を差して歩く。



下るに従い雨は強まったが、ずっとしとしと降る感じだった。
写真を撮る回数が減ったからか脚の疲れが抜けなくなって、雨降ると休む気が失せるのでずーっと歩き通したら、登山口の吊橋を渡る時には脚が痛くて仕方なくなってしまった。
登山センターの手前に鳥居があって、その脇の石碑に白山奥宮境内地とあった。
行きは鳥居しか気づかなかったな。
山頂だけかと思っていたが、登山口から全てが境内だったのね。
山体が御神体だ。



車まではまだ歩かねばならない。
駐車場までフラフラになって歩いた。
今度こそ到着。
荷物を積んでシートに座り、ようやくひと息。
ここでも細かな雨が降り続いたようで、フロントガラスには大きく育った水滴が均等に乗っかっていた。


白山室堂の一夜

2019-07-24 06:26:03 | 山行
ビジターセンターの窓口で宿泊の手続きをし、部屋へ案内してもらった。
上下二段に布団がズラリと並ぶ、40~50人入れそうな大部屋の一室だった。
一番扉側の下段を割り当てられたのだが、部屋が大きいのに蛍光灯が真ん中にひとつしかなく、窓の反対側の端っこの下段なんて暗闇である。
書物読物ができる明るさではないので、早々に部屋を出てビジターセンターの様子を伺うことにした。
更衣室(布団部屋の空きスペースだが)があるとのことで、着替えと濡らしたタオルを持ち込んで、身体を拭き下着を変えた。
少しさっぱりして、だいぶ気温も下がったのでフリースを着込んでビジターセンターへ向かう。



受付の横に売店があって、アルコールやソフトドリンクが売りに出ていた。
おお、生ビールがある。
缶ビールなら飲まなかっただろうが、生ビールとなれば多少高くても飲まねばなるまい。
ツマミはないのか売店の人に聞くと、背後の別の売り場に食べもの類があると言うので見てみると、食べもの以外のおみやげ物も売られていた。
良いのがあれば手拭いを記念に買おうかと思ったが、興味を引くデザインのものはなく、諦めた。
ビールのツマミは袋菓子だ。
クラッツがあったのでそれと生ビールを購入した。
生ビールはブラカップに注いでくれるのだが、飲み終わったプラカップは持って下山するよう言われた。
缶ビールを買っても缶を持って帰らねばいけないらしい。
まあただのプラカップでなく、白山頂上登拝と印字されているから、いい記念になるか。
白山にはゴミ箱がないそうで、持ち込んだものは全て持ち帰ることが徹底されている。
登山者が多い山はそうでないと受け入れる側は大変なんだろうな。



生ビールとツマミを持って外のベンチに座った。
だいぶ涼しくなって、少し寒いくらいだが、乾き気味の喉に生ビールは美味しかった。
残り1/3はチビチビ飲んで徐々に光を失くしていく御前峰の眺めを惜しんだ。
飲み終えるとちょうど夕食時刻の17時。
食堂へ向かい、流れ作業で配膳してもらい食した。
座席が埋まるほど宿泊者はいないはずだが2回転させていたのは、これから混雑する日々に向けて手順の確認をしていたのだろうか。



さて、夕食後から消灯までの時間が問題である。
寝床へ行っても暗くて何もできないし、スマホはバッテリーを消費したくないので使えない。
今から寝て夜中に目が覚めたらもうその後眠れないだろうし、なんとか起きていないといけない。
ロビーのベンチで何をするということもなく座っていたが、なにもせずに座っているというのがこんなにしんどいとは思わなかった。
文庫本を持ってくるのを忘れたのが痛かったな。
ロビーの隅にテーブルがあり、その向こうに本棚を見つけたので、マンガを読んで過ごすことにした。



エリア88をひたすら読み続け、それでも2巻目の途中で20時になった。
消灯は20時半なので、部屋に戻って就寝の準備をすることに。
部屋に戻ると人が増えていて、全部で5人いるようだ。
トイレに行って枕元にヘッドランプを置いて、床に入った。
隣は空いていて寝るには申し分ない環境であるのに、やはり眠れない。
昨晩は2時間くらいしか眠ってないのになあ。
こんなに疲れて電車に乗ったら、横に人がいても座ったままで眠れるのに、なんでだかなあ。
いびきをかいてる人が羨ましい。


霧の中

2019-07-22 06:30:20 | 山行
ビジターセンターの建物の裏に白山神社奥宮の祈祷殿があるので、まずは無事の登山と良い写真が撮れるようお参りした。
白山神社は正式には白山比咩(しらやまひめ)神社というらしい。
奥宮は山頂にある。
最初なだらかで徐々に勾配の増す道を登って行くと、上から登頂を果たした人たちが次々に降りてきた。
山頂の向こうに小さな池がいくつかあって、自分はそれも見て降りてくるつもりだったが、みんなはそちらには行かず山頂からピストンして戻ってきているようだ。



高度も増して空気が薄くなったのもあるのか、脚の重さがさらに増し、息もすぐに切れてしまう。
普段なら登る前に確認するのだが、今回初日はコースタイムが白山室堂までの4時間だけなので上る標高を調べていなかった。
弥陀ヶ原で大休止した時に地図で調べたら、登山口の別当出合は1260m、白山室堂は2450mで標高差1190mもあった。
過去の登山でも1000mを超える標高差の山はあまり登ったこともないから、疲れてて当然なんだな。
さらに御前峰までとなったら2702mでトータル1442mになる。
下ってないにしても疲れて当然としておこう。



下からどんどんガスが上ってきていて、遠くの山は雲の向こうで室堂平の眺めしかない。
御前峰に到着すると先に到着して残っている人は一人だけだった。
御前峰の向こう側の眺めも近場の山まで。
まあ梅雨時なのに雨が降っておらず、ガスに巻かれて真っ白けでもないだけ幸運である。
奥宮にお参りして、早々に出発。



お池めぐりの池は火口湖だろう、池の周りは荒涼とした岩場、ガレ場である。
山頂から池までは急な下り。
お池めぐりしてるのは、だいぶ先に1パーティしか見えない。
一つ目の池に着くととうとうガスが山頂を越えてこちら側に流れ落ちてきた。
ガスに覆われると急に気温が下がる。







荒涼とした場所で冷たいガスに一人巻かれているとさすがに心細くなる。
何度か雪渓を横断し、池を順に見て回る。
ガスは晴れたり濃くなったり、進むにつれて池や峰の見える角度も変わり、おもしろい。
最後から二つ目の池のあたりの雪渓が深く、道がよくわからなくなったが、室堂へ帰る道にうまく戻れ、最後は単調で緩やかな下り坂を30分程歩いて室堂に戻った。
祈祷殿の向こうの御前峰はすっかり雲の中だった。




白山室堂まで

2019-07-21 18:16:37 | 山行
5時に起き出した。
結局2時間くらいしか眠れなかったが、眠気はなく起きる事ができた。
空は快晴。
車を出て朝食のパンをかじりながら付近を歩いてみると、すぐそばに大きな沢があった。
この音が響いていたのね。
下の駐車場は上の駐車場より遥かに広く、昨晩見た自衛隊の車両が止まっていた。
みんなどこに行ったのだろう。



登山靴を履き、ザックを背負って出発。
登山口と思った林の中への入口は少し先にある登山センターへのアクセス道だった。
5分ほど歩くとトイレや自販機などがある大きな建物が現れた。
広いロータリーもあり、市ノ瀬からのシャトルバスはこちらに直接入るようだ。
トイレを借りて登山届けを出して再出発。
まずは長い吊り橋を渡る。
ガッチリと作られた鋼鉄製の吊り橋で、揺れるかなと思ったが全くと言っていいほど揺れずに渡ることができた。



登山道の植物は夜露で化粧されてツヤツヤツプツプ、いつもよりフォトジェニック。
写真を撮る私を追い抜いて行く登山者は意外と若いお兄ちゃんが多い。
なぜなのか考えてみたが、多分この時間の出発だから日帰り10時間コースで今日の内に戻ってくるのだろう。
走ってる人もいて、すごいなぁ。
私と同じ年頃の人でもザックの小さい人は日帰りなんだろうな。
皆さん健脚で羨ましい。



白山の登山道にはいくつかコースがあり、上りは砂防新道という谷間の道を利用した。
朝見た大きな沢を下に見て歩く道だ。
この沢は災害を引き起こしたことがあるようで、砂防ダムを建設中だった。
朝日が谷間に差し込むようになると、景色は一変する。
光を透かして見る緑は一段と輝いて、とても素敵である。



さて本格的な登山がとても久しぶりな私の足は、よれるはふらつくはつまづくはで自分の思う足取りでは歩けず、登山靴で反対の脚を蹴るので裾をいつも以上に汚してしまった。
写真を撮って休憩しつつ登るのでなんとか続けて歩ける感じだ。
そろそろ腰を下ろしたいなと思う頃に甚之助避難小屋に到着。
小屋前のベンチにザックを降ろし、一休み。
別山がクッキリと望めた。
ところがビスケットをかじっていたら、早くも雲が湧き出し別山を隠してしまった。
そうそう、山のお天気はこんなだったなあ。
朝の9時には眺めを隠してしまう。



小屋のトイレを借りてから再出発。
この辺りから大きな木は無くなり、見晴らしが良くなる。
登山道はよく整備されていて、平たい石が敷いてあるところが多く、歩きやすい。
要所要所に道しるべが立っており、自分の居場所が良く分かる。
時々つるりとした石が敷いてあるので滑ることがあり恐いが、さすが日本三霊山、登山者が多い山は違いますな。
下の方の山はガスに隠れてしまったが、上空はまだ青空が広がり行き先の山肌は緑に輝いて、夏山の雰囲気をしっかり味わえた。



途中、十二曲りと言うジグザグな坂道を上り切ると弥陀ヶ原の笹原に出る。
とても広々とした原の向こうに白山の主峰御前峰が姿を現した。
いい景色なのでここでお昼にする事に。
木製のベンチに腰掛けておにぎりを頬張る。
下から湧いてきたガスが弥陀ヶ原に達し、時々原の上を滑り抜けていく。
うーん、長閑。



そうそう、自衛隊の皆さんが十数人のグループで間を置いて目の前を下って行った。
全部で5グループ(分隊?班?)くらいだろうか。
私は駐車場から道無き道をかき分けて行軍する訓練なのかと思ったが、普通に山頂往復するものだったらしい。
そりゃそうか、国立公園内の山を荒らすような訓練なんてできないよな。
迷彩服を着て登山靴になりそうなブーツを履いて、皆さん鍛えられてるから足取りも軽い。
目が合うと普通の登山者と同じように笑顔でこんにちはと挨拶してくれた。



大休止を終え、弥陀ヶ原を横切り五葉坂という上りを過ぎると、重機で工事する音が聞こえてきた。
突然白山室堂の大きな山小屋が姿を現した。
ふう、到着。
ビジターセンターのロビーに入ると、宿泊受付は13時からとある。
今12時過ぎだから、ちょっと待たねばならない。
掲示板に今日と明日の天気予報が書かれていて、今日は午前快晴、午後一時雨、明日は午前雨、午後雨一時雷雨、とあった。
御前峰に登るのは明日の予定にしていたが、時間もあるし雨の降っていない今のうちに登っておいた方が良さそうだ。
てことで疲れてはいるが再出発。


夜間移動

2019-07-18 22:07:11 | 山行
車で夜を走り、登山口の駐車場で車中泊するいつもの戦法でアクセスしよう。
夜に出発し車中泊とする時の夕食は、コンビニで助六を買って、高速道路の車中でつまみながら走ることにしている。
助六はローソンのが美味いと思う。
店に行くと、これまでなんでかいつでも売っていた助六が売場になかった。
旅に出る時、どんなに遅い時間に店に行っても、他のお弁当はほぼ売り切れ状態であっても、必ずひとつは残っていた助六なのに、今回はどうしたことだ。
家を引っ越したので、昔と入る店が変わったからか。
仕方なくサラダ巻きとおいなりさんを別に買った。
あとは明日の朝食のパンと昼食のおにぎりと非常食兼行動食の袋菓子詰め合わせ、そしてペットボトルのお茶。
でっかいレジ袋が満杯になった。
いいお客さんだこと。

<ササユリ>


20時前に名神高速道路へ流入。
日曜日のこの時間、走ってる乗用車は遊び帰りだな。
私はこれから遊びに行くのだ。
むふふ。
この土日、近畿北陸地方は曇りか晴れだったようだ。
週末に白山を登った人は梅雨の晴れ間にうまく当たってラッキーだなあ。
明日、明後日のお天気はどうだろうか。

<ギンリョウソウ>


米原JCTから北陸道に入ると走る車は激減。
日はすでにとっぷりと暮れて、そう遅くは無いのに深夜の高速道路を旅してる気分になってきた。
たっぷり持ってきたCDから夜の雰囲気に合うアルバムを選び、走行音に負けぬギリギリの音量で流し続ける。
その昔のロングドライブを思い出した。
高速道路もそうだけど、山間の国道県道を深夜に何度も走ったなあ。
街灯に浮かぶ景色とセンターラインの白が後方に流れ続ける時間。

<エゾニュウ?>


福井北JCTから中部縦貫自動車道へ入る。
へえ、こんな道が出来たんだ。
無料開放区間で対面通行の高速道路だ。
新しくできたのかと思ったが、道路の舗装状態や壁やなんかの構成物は使い込まれていて、私が存在を知らなかっただけで結構昔からあったのかもしれない。
勝山ICで流出し下道へ。
恐竜の絵や模型が次々現れる道を走ると、いよいよ山中へと入って行く。
道路が濡れているので、雨が降ったようだ。
やはり下界は晴れてても山は雨なのだろうか。
国道を離れ県道へ入るといよいよ私以外の車がいなくなった。
谷あいのくねくねと曲がる道路には雪から道路を守るシェードが度々現れ、豪雪地帯であることを教えてくれる。
時々ガスに覆われヘッドライトが白く乱反射する。

<カワラナデシコ>


大きな建物が現れたと思ったら、市ノ瀬に到着。
ハイシーズン時は自家用車はここまでしか入れないが、この時期、平日はこの奥の別当出合まで行くことができる。
規制解除と書かれた看板を横目にさらに奥へと向かう。
道はさらに細くなり、シャトルバスが通るというがすれ違えるのか疑問な道を行く。
左手は谷川のようで底まで光は届かず真っ暗だ。
がたがただが舗装はしっかりされている。
こんな道を初めて走った時は怖かったものだが、今や慣れたものだ。
怖かった過去の道を思い出しつつ、ヘッドライトが照らす先へと進む。

<オオバミソホオズキ>


一般車、バス、タクシーを誘導する看板が現れ、別当出合に到着。
私と同じく登山口で車中泊するのだろう先着者の車が数台止まっているのをヘッドライトが舐め、駐車枠に車を止めてエンジンを切った。
駐車場に自販機のひとつくらいあるのかと思っていたが何もなく、ライトを消すと真っ暗。
沢を水が流れる音が辺りに充満するばかり。
ドアを開いて外に出てみると空は満天の星空だった。
おやおや、雨は上がってくれたようだ。
明日の天気は期待が持てそう。

<キヌガサソウ>


背もたれを倒して眠ろうとするが全然眠れず。
これまでであればこんな出発は金曜日の仕事後で、眠くて仕方なくなって車を止め眠るので、車中泊でもそれなりに眠れたのだが、この日は日曜日で夕刻にお昼寝してから出発したのがいけなかったようだ。
時々新たな車がヘッドライトを光らせ仲間に加わる。
そんな中、緑の幌に赤い十字のあるトラックがやってきた。
自衛隊か?と思ったらその通りで、後から後からトラックがやってきてもう一つある広い方の駐車場へ降りていった。
山岳演習でもやるのだろうか。
野生の証明の特殊部隊を思い浮かべた。
しばらくすると隊員に訓示する声が遠く聞こえてきた。
整列してこれから出発するのを脳裏に描いていると、ようやく眠りがやってきた。

<クロユリ>



過去現在形で

2019-07-15 18:16:29 | その他旅行き
今年の夏休みは7月第2週目の5日間を取得。
また旅に出よう。
連れの夏休みとは別日程になったので、一人旅だ。
去年行けなかった山を縦走するか、遠〜いどこかに旅行するか。
でも遠〜くに行くにはそれなりに体力が必要で、二の足を踏む。
年取ったなあ。

<コバイケイソウ1>


縦走ならまだ行ったことのない山域の中央アルプスか八ヶ岳かなと考えはしたが、山小屋泊まりを長く続けるにはそれなりの覚悟が必要で、イマイチ乗り気になれない。
しかしこんな時でないと空いた山小屋には泊まれないからなあ、と考えていたら行きたくて行けてない山があったのを思い出した。
それは白山。

<コバイケイソウ2>


日帰りで登れないことはないのだが、標準コースタイムで9時間かかる大きな山で、私の体力では持つか持たないかの境目だった。
山頂下にある室堂の山小屋に泊まれば行程を2日に分けれるので登れるのだが、根っからの山男でない私はシーズン中の土日なんて山小屋に泊まる気になれない。
で、行けずにいたのだが、今回は世間の夏休みでない平日で、山小屋はがら空きのはず。
一泊なら山小屋OKだと私の中の軟弱な山男も言っている。

<コバイケイソウ3>


てことで今年の夏休みは平日5日間を白山2日と後の3日は行き先を決めない行き当たりばったりな旅とすることにした。
雨ばかりで嫌になって途中で帰るのもあり。
なにしろ山小屋以外は宿を予約せずに行くのだからこの辺の自由度は高い。
白山は登山口へピストンするので車で旅することに。
長期休暇を車で移動するのは久しぶり。
こちらも楽しみ。

<コバイケイソウ4>