大室山へは西丹沢自然教室から用木沢出合、白石峠、加入道山を経て登頂、犬越路から用木沢出合に降りてくるコースとした。
前日夜に家を出て、登山口手前の道の駅山北で車中泊。
周りが明るくなって起き出し、朝食を車中で食べた。
その間、目の前の道路を山の方へ車が次々と走っていく。
ここも人が多そうだ。
食後すぐに出発。
山村を抜け、程なく西丹沢自然教室に到着した。
荷物を降ろし準備をしていると、午前5時過ぎだというのに駐車スペースは、見る間に埋まっていった。
この後来る人たちはどこに止めるのだろう。
ところがあんなに人がいたのに、用木沢出合から白石峠まで誰にも会わなかった。
みんなどこに行ったんだ?
予想に反して静かな登山を楽しめた。
(後でお話しした人によると、檜洞丸でツツジが見頃らしく、みんなそっちに行ってるのだろうとのこと)
登山道は用木沢出合を越えてしばらくは傾斜も緩く、さくさく進む。
沢沿いを行くのだが、次々と大きな砂防堰堤が現れる。
コンクリート製のガッチリしたものもあれば、鋼材でどすこーいと土砂を受け止めている感たっぷりの古いタイプのものもある。
そのうち重さに耐え切れず押し切られそうである。
堰堤工事の時に作られたのだろう平地は、年若い広葉樹の二次林になっていて、もうすっかり自然に戻りつつあった。
自然復元のため植えられた木が、山の中なのに街の公園の街路樹みたく丸太でもって倒れないよう支えられている絵が、なんかシュールだった。
人工の滝を見つつ、木製の簡易な橋を渡り、左岸右岸を行ったり来たりして登っていく。
次第に傾斜がきつくなり、息を切らせて登るようになると、朝日が稜線を越えて林床に差しこんできた。
登山道の雰囲気がガラリと変わる。
撮影しては息を整え、撮り直す時間を省くため、一発必中を目指してシャッターを押したが、そういうのはやはりうまく撮れていなかった。
ようやく白石峠に到着。
ベンチとテーブルが据えられていたので小休止。
早くも鳴り出したお腹にカントリーマアムを振舞ってやった。
そこからは稜線歩き。
今回の登山で出色の行程であった。
カエデやブナの新緑が光を透す樹下を行く。
右に左にミツバツツジの赤紫が目を射り、心浮き立つ眺めだ。
道がまたいい。
両側に草が盛り上がり、人一人分歩く幅の土の道が緩くうねりつながっていく。
明るい草原の中に続く道みたいで、私の心の柔らかいところにある記憶と結びついたみたいだ。
とても素敵な稜線歩きができた。
しかし登山道は良く整備されていた。
そういった草原の道的な状態にない荒れかけた道や斜面には、木道や階段が至る所に敷設された上、雨水等で削れたのであろう部分には土嚢が置かれ、段差小さく歩けるよう至れり尽くせりな整備状況。
神奈川県ってお金持ちなんだなあ。
都市公園に遊びに行ってもそう思う。
途中稜線の道は見たことのある大きな葉っぱの群落で覆われている。
まだ花が咲いていなかったので分からなかったが、ガイドブックによるとコバイケイソウらしい。
も少し高山で咲くイメージがあった。
これがみんな花を付けたら壮観だろうなあ。
コバイケイソウの森だ。
山頂に到着。
平たい頂上は稜線の道がそのまま続いている感じで、樹々に囲まれ眺めは良くない。
段差に腰掛けておにぎりを食べ、大休止。
汗の匂いにハエとアブがうるさくまといついてくる。
風が吹き抜けるとハエを遠ざけてくれ、涼しさも運んで来てくれる。
パーカーのフードを被ってさらにタオルを被れば、羽音も聞こえず落ち着ける事を発見。
その状態で膝を抱いてしばし居眠り。
下山のコースの眺めも上りと同じ、つまり上りの眺めが逆に展開した。
明るい尾根道を下り、林内に入ると傾斜が急になり、麓が近くなると堰堤が並び、沢沿いに小さな橋で何度か沢を渡りながら下った。
沢の水がとてもきれいだったので、汗ばんだ手を浸し洗ってやった。
冷たさはさほど感じず、雪解け水ではないからなのだろうけど、その透明感からすると肩透かしを食った感が…。
用木沢出合からは行きと同じ道。
オートキャンプ場やバンガローが川沿いにずっと並んでいる。
朝は静かだったが、晴れの日の午後だ、家族連れやグループで賑わっていた。
テント脇で遊んでいるのを見ると、私もテントが欲しくなるのだが、さてどうするかな。